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個人事業主が確定申告をしないとどうなるか?想定されるリスク
目次
こんにちは。川越の税理士法人サム・ライズの林公士郎です。
会社に所属せず、個人事業主として仕事をしている場合、その所得額に応じて確定申告を行わなければいけません。
しかし、確定申告は面倒な手続きが必要ですし、税金を支払うことになるためしたくないという人もいるでしょう。
では、確定申告をする必要がある個人事業主が確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
今回は、個人事業主が確定申告をしない場合のリスクや、確定申告をしなくてもバレる理由などについて詳しくご紹介します。
確定申告をしない(無申告)場合どうなるのか、より詳細を知りたい方は以下の記事もご覧ください。
確定申告をしなくても良い個人事業主の条件
個人事業主で確定申告をしなくても良いのは、「所得が48万円以下の人」です。
所得というのは、売上ではなく、売上から経費を差し引いた金額です。
個人事業主として仕事をした際、その仕事を行うためにかかった経費は、所得から差し引くことができます。
情報を得るための書籍や新聞購入費、打ち合わせの移動にかかった交通費などはすべて経費にあたります。
経費の基準は、「その仕事を行うために必要であったもの」です。
例えば打ち合わせに着ていくスーツは、経費で落とそうとするとNGの可能性が高いです。
その仕事の打ち合わせを行う上で、必ずしもそのスーツでなければいけないというわけではないから、というのが、経費にできるかどうかの基本的な考え方になります。
確定申告をしない場合も住民税の申告は必要
住民税は、自分が住んでいる都道府県および市区町村に対して納める税金のことで、これらをまとめて「住民税」と呼んでいます。
住民税は、前年所得に対し1月1日時点での住所地に課税されます。
住民税の金額は、所得額に応じて課税される「所得割」と、所得金額に関係なく負担する「均等割」で構成されています。
事業所得が48万円以下だった場合、確定申告を行う必要はありません。
ただ、その場合は別途住民税の申告が必要となります。
確定申告をしていれば、その申告書で前年所得がわかるため、あらためて住民税の申告をする必要はありませんが、確定申告をしていない場合、前年所得がいくらであったかがわからないため、別途住民税を確定させるための申告が必要になるということです。
住民税の申告方法は、1月1日時点に住んでいた市区町村役場のWebサイトで案内されているはずなので、そちらを確認してください。
個人事業主が確定申告をしないと想定されるリスク
個人事業主が、確定申告をしなければいけない対象であるにも関わらず申告を怠った場合、様々なリスクや損をすることがあります。
具体的にどのようなことが起こりうるのかをご紹介します。
延滞税や無申告税を追加で支払うことになる
確定申告対象者である場合、必ず確定申告を行わなければなりません。
しかし、それをしなかったことがバレた場合や、期限が過ぎてからようやく申告を行った場合、あるいは、納めるべき税金を期限が過ぎても納めていない場合、以下のような罰則が課せられます。
■無申告加算税
個人事業主が、確定申告が必要にもかかわらずしないまま放置していた場合、「無申告加算税」が課せられます。
無申告加算税は、納付すべき税額に対し、「50万円までは15%」、「50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額です。
ただし、確定申告の期限が過ぎた後でも、自主的に確定申告をした場合は、無申告加算税が軽減され、「5%の割合を乗じて計算した金額」になる場合があります。
■重加算税
副業をして確定申告をしなければいけない対象者であるにも関わらず申告をせず、特にその内容が悪質であると判断された場合、「重加算税」が課せられます。
重加算税の税率は、「追加本税の35~40%」です。
具体的には、二重帳簿や帳簿書類の改ざんといった内容があてはまります。
重加算税対象となるペナルティの内容は、国税通則法68条に定められていますので、下記ページで確認しましょう。
参考:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
■延滞税
支払うべき税金があるにもかかわらず、定められた期限までにおさめなかった場合、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、延滞税が課せられます。
納税額は、滞納額と期間によって変わります。
国税庁のWebサイトで、シミュレーションができるので、気になる方は以下で確認してみてください。
医療費控除などの各種控除が受けられない
所得についての確定申告をおこなっていない場合、医療費控除や住宅ローン控除といった、各種控除を受けることができません。
仮に個人事業主として得た売上金額が、確定申告が必要のない所得額であったとしても、医療費控除などを行なう際は、あわせて個人事業主で得た金額も確定申告書に一緒に記載する必要があります。
そのため、確定申告をしなければいけない対象であるのに、医療費控除の申請だけを行った場合、そこについて税務署から突っ込みが入るでしょう。
医療費控除や住宅ローン控除を受けることができる条件や期限などは、それぞれ定められているものがあるので、別途国税庁のWebサイトで確認をしてください。
収入を証明する手段がなくなる
確定申告対象者であることがわかっているにも関わらずしなかった場合、「社会的信用」を失います。
確定申告をしないということは、公的に収入を証明できるものが何もないということになるため、無職と変わらない扱いになります。
そのため、賃貸の契約や、車のローン審査なども通らない可能性が高いと言えます。
また、今後個人事業主として事業を大きくしていく際にも、銀行などから融資を受けるのは難しいでしょう。
国民健康保険料の減額が受けられない
国民健康保険料は、所得によっては減額されます。
しかし、確定申告をしていないとそもそも所得がわからないので判定ができず、減額を受けることもできなくなります。
そのため、例え所得が低く、確定申告対象者ではなかったとしても、確定申告をしたほうが、減額措置を受けられるためメリットがある場合もあります。
個人事業主が確定申告をしていないことがバレる理由
確定申告をするべき人がしていない場合、どのようにしてバレるのでしょうか。
基本的には、以下のような流れからバレることがあります。
①税務署の税務調査や、国税庁の重点調査でバレる
個人事業主であっても税務調査は入ります。
あるいは、取引先に税務調査が入った際、その取引先として雪だるま式にバレることもあります。
取引先の支払先リストに自分が入っていた場合、当然その相手のことも調べられるため、もしも確定申告をしていない場合は、そこでバレてしまいます。
②支払調書からバレる
個人事業主が取引先から支払いを受けけた際に、「支払調書」を受け取ることがあります。
支払調書とは、会社が「誰に、どのような内容で、年間いくら支払いをしたか」を税務署に報告するための書類です。
会社は、この支払調書を税務署に提出する必要があり、税務署は提出された支払調書をもとに、報酬の支払先である個人が確定申告をしているかどうかをチェックします。
そのため、一定以上の所得があるにも関わらず確定申告がされていない場合は、無申告がバレてしまうということです。
開業直後であれば赤字であってもメリットがある場合も
個人事業主として何らかの事業を行っている場合、一年目は売上が出ず、赤字になってしまうということもあるでしょう。
この場合、確定申告の義務はありませんが、確定申告を行っておくことにより得られるメリットがあります。
確定申告を行なう際、青色申告を選択した場合、赤字を3年間にわたり繰り越すことができます。
これを「繰越控除」と言います。
もしも赤字で利益が出なかった場合は、その赤字分を利益が出た年に繰り越しをすることで、赤字分を相殺できる仕組みです。
例えば、個人事業主としての所得が、前年は200万円の赤字で、今年の所得が400万円の黒字だった場合、400万円の黒字から、前年の赤字200万円分を差し引いた金額で税金算出を行うことができます。
今年の所得:400万円ー昨年の赤字200万円=今年の申告所得:200万円
400万円の所得で申告するよりも、200万円の所得で申告をしたほうが、所得税を減らすことができるため、節税につながります。
ただしこの繰越控除を適用させるには、赤字の年にも確定申告を行っていることが条件となっています。
そのため、翌年黒字に転換できる事業計画を立てている場合などは、赤字の年も確定申告を青色申告でおこなっておいたほうが、メリットが大きいと言えるでしょう。
青色申告と白色申告の違い徹底解説【2021年からの変更点も】
個人事業主が確定申告をしないとどうなるか?想定されるリスクまとめ
個人事業主の場合、事業を大きくしていくのであれば、確定申告の対象であるか否かに関わらず、行っておいた方が得られるメリットが多いと言えるのではないでしょうか。
また、確定申告は期限が切れてからでも行うことができるので、もしも確定申告をしていない年がある場合は、今からでも申告手続きを進めてみてはいかがでしょう。
何をどこから整理したらよいかわからないといった場合は、税理士に相談をすることで間違いなく正確な確定申告を行うことが可能です。
税理士法人サム・ライズでは、確定申告をおこなっていないという方のために、申告業務の代行を行っていますので遠慮なくお問い合わせください。
遠方の方はオンラインでの無料相談も可能なのでお気軽にご連絡ください。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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