メルカリで稼ぎがあっても確定申告しなかったらどうなる?
目次
こんにちは。川越の税理士法人サム・ライズの林公士郎です。
コロナの影響で収入が減ってしまったために、メルカリなどのフリマアプリで副収入を得る方が増えています。
メルカリなどのフリマアプリで収入があった場合、条件によっては確定申告を行う必要があるということはご存知でしょうか。
もしも今、メルカリなどのフリマアプリで収入を得ている方は、ぜひ自分が確定申告をしなければいけない対象なのかどうかをチェックしてください。
また、もしも確定申告をしなかったら、どのような罰則があるのかについてもあわせて解説します。
メルカリの売上を確定申告しなかった場合の罰則とバレる可能性
メルカリで確定申告をしなければいけない対象であるにも関わらず、確定申告をしなかった場合、あるいは納めるべき所得税を支払わなかった場合、どのような罰則があるかご存知でしょうか。
確定申告をしなかったことがバレた場合や、期限が過ぎてからようやく申告を行った場合、納めるべき税金があるのに期限までに支払わなかった場合などには、以下のような罰則が課せられます。
■無申告加算税
個人事業主が、確定申告が必要にもかかわらずしないまま放置していた場合、「無申告加算税」が課せられます。
無申告加算税は、納付すべき税額に対し、「50万円までは15%」、「50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額です。
ただし、確定申告の期限が過ぎた後でも、自主的に確定申告をした場合は、無申告加算税が軽減され、「5%の割合を乗じて計算した金額」になる場合があります。
■重加算税
副業をして確定申告をしなければいけない対象者であるにも関わらず申告をせず、特にその内容が悪質であると判断された場合、「重加算税」が課せられます。
重加算税の税率は、「追加本税の35~40%」です。
具体的には、二重帳簿や帳簿書類の改ざんといった内容があてはまります。
重加算税対象となるペナルティの内容は、国税通則法68条に定められていますので、下記ページで確認しましょう。
参考:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
■延滞税
支払うべき税金があるにもかかわらず、定められた期限までにおさめなかった場合、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、延滞税が課せられます。
納税額は、滞納額と期間によって変わります。
国税庁のWebサイトで、シミュレーションができるので、気になる方は以下で確認してみてください。
確定申告未の申告は危険!国税局の「電商チーム」による調査
確定申告に関しては、売上の規模に関わらず、そして個人か法人かに関わらず、税務署の税務調査や、国税庁の重点調査が入ることがあるため、確定申告をしなくてもバレないということはあり得ません。
また、国税局には、電商チームという「電子商品取引専門調査チーム」があります。
電商チームの調査対象は、法人・個人は関係なく、電子商取引を行う全ての者です。
そのため、メルカリなどで所得があり、確定申告の義務があるにも関わらずそれをおこなっていない場合は、当然調査対象となります。
調査が入ったら、「知りませんでした」は通用しません。
先にあげたいずれかの罰則が科せられることになります。
特に近年ユーザーが増えているフリマアプリなどは、調査ターゲットになる確率が高いと言えるでしょう。
後悔しないためにも、もしも自分が確定申告をおこなうべき対象であるのであれば、期限が過ぎているものでも対応をすることをおすすめします。
メルカリで販売した商品により確定申告の要・不要は異なる
メルカリで商品を販売して、何かしら収入があったとしても、そのすべての人が確定申告をしなければいけないというわけではありません。
販売する商品の内容や、金額などによって変わってきますのでご紹介します。
不用品であれば基本的には確定申告は不要
メルカリで服や靴、生活用品などの「不用品」を売りに出して得た収入は、所得税の課税対象ではない「譲渡所得」にあたるため、確定申告の必要はありません。
国税庁のWebサイトでも、「生活用動産の譲渡による所得」は、所得税の課税されない譲渡所得であると定めています。
つまり生活をするために必要な商品を処分するために販売し、得た利益については基本的に「非課税」ということになります。
ただ、注意すべきは、例え生活用動産にあたる品物であったとしても、それを継続的に販売して利益を得ている場合は、「課税」対象となります。
これは、「営利目的」にあたると判断されるためです。
コロナ禍の中、人気のゲーム機などが転売ヤーによりメルカリなどで販売されていることが話題になりましたが、これも複数のゲーム機を継続的に販売しているのであれば「課税」対象です。
非課税扱いとなる生活動産は、「一過性のもの」に限ると認識してください。
参考:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
不用品でも貴金属など高額商品の場合は確定申告対象
例え不用品であったとしても、一点30万円以上の貴金属や美術品などの高額商品の売買により得た売上は、所得税の課税対象となります。
これも、国税庁のWebサイトで「ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。」と明確に定められています。
例えばプレミアがつくような希少価値の商品も、上記にあてはまるとされ、所得税の課税対象となる可能性が高いと考えた方が良いでしょう。
手作りした商品の販売でも確定申告の対象
最近はメルカリ以外にも、「クリーマ」や「ミンネ」などのように、自分で作成したハンドメイドの商品を販売するサービスも増えています。
また、農家の方が、JAなどを通さずに直接メルカリなどで販売している場合もありますが、これも継続的に販売して利益を得ていることになるので「課税」対象となります。
メルカリで稼ぎがあったら確定申告をしなくても良い対象
前述したのは、メルカリで販売する商品について、所得税の対象になるかどうかのお話です。
次は、具体的にいくらの所得があったら確定申告をしなければならないのか、について解説します。
メルカリでの販売を副業として得た所得が20万円以下
日中はサラリーマンとして本収入が別にあり、メルカリでの営利目的による所得が副業である場合、その副業で得た所得が、20万円以下の場合は確定申告の対象ではありません。
そのため、基本的には確定申告をしなくて良いということになります。
なお、所得とは、メルカリで得た売上から、必要経費を差し引いた額のことを指します。
また、副業で得た所得の場合は、10種類ある所得区分のうちの「雑所得」に該当します。
雑所得で、確定申告が必要な場合は、「白色申告」で確定申告を行います。
また、メルカリ以外にも副業で得ている所得がある場合は、それぞれに20万円以下ではなく、副業で得た所得すべてを合算した額が20万円以下の場合は確定申告が不要ということになりますので、もしも他の副業での所得も合算すると20万円を超える場合は確定申告を行いましょう。
メルカリでの販売を本業として得た所得が48万円以下
給与所得がなく、メルカリでの販売を本業としておこなっている場合は、メルカリで得た所得が48万円以下の場合は確定申告の必要はありません。
しかし、もしも48万円を超える所得がある場合は、確定申告を行いましょう。
なお、この場合の所得は「事業所得」が該当します。
事業所得の場合も、販売にかかった経費は売上から差し引いて計算します。
事業所得の場合は、事前に申請をしておくことで、「青色申告」での確定申告を行うことが出来ます。
青色申告は、白色申告よりも申告方法が面倒ではありますが、その分受けられる税収メリットが大きいのが特徴です。
青色申告と白色申告の違いについては下記ページで紹介していますので、あわせて参考にしてください。
青色申告と白色申告の違い徹底解説【2021年からの変更点も】
メルカリポイントの状態でも申告は必要
メルカリでは、メルカリで得た売上金を「メルカリポイント」に交換することができますが、もしもメルカリポイントに変更していたとしても、「売上」であることに変わりありません。
確定申告をおこなうべき対象の所得を得ている場合は、必ず確定申告を行いましょう。
所得の申告時はかかった必要経費を忘れずに引いて税金対策を
所得については、前述したとおり、「売上」から、商品を販売するためにかかった「必要経費」を差し引いたものです。
必要経費で所得額を少しでも少額にできれば、納めるべき税金も安くなるため節税対策になります。
ただし、「必要経費」でもないのに経費として計上してしまうと、税務調査時にチェックが入るので注意してください。
メルカリで商品販売を行なう際に経費として計上が認めてもらえそうなものの例としては、以下のようなものがあります。
・販売商品の仕入れにかかった費用(在庫も含む)
・事務所などの光熱費
・インターネット通信費
・商品仕入れ時などの交通費
・商品仕入れ時の振込手数料
・メルカリでの商品販売手数料
・商品発送時の梱包費
・商品にかかる送料
など
上記はあくまで一例であり、具体的に発生する必要経費や、そもそも経費として認めてもらえるかどうかは販売商品の内容によっても変わるでしょう。
とはいえ、販売商品が何であったとしても、経費として計上できるのは、あくまでメルカリでの商品販売をする上で、直接的に必要なものにかかった費用だけです。
経費として計上する場合、それらを購入したことが証明できるよう領収書やレシートは必ず保管しておいてください。
ちなみに、インターネットの通信費について、メルカリでの販売のためだけに使うわけではない場合、「按分」という考え方でその一部を計上することができます。
正式には「家事按分」といいますが、例えばインターネットの通信費を仕事のために使う頻度は、全体の2割程度で、残りの8割はプライベートでの利用という場合、月の通信費の2割だけを経費として計上するという考え方です。
ただし、白色申告の場合は、業務の割合が5割超の家事関連費しか経費にすることができません。つまり、「業務で半分以上使っている」ものしか経費に計上できないということになるので、例えばインターネット通信は毎日使うが、そのうちメルカリ販売のために利用するのが2割ほどである場合、家事按分はできません。
一方、青色申告は、かかった経費の事業相当額を合理的に区分できれば、家事関連費をすべて経費にできます。
確定申告に関連する注意点
最後に、確定申告を行なう際に注意しておくべき点についてご紹介します。
会社に副業がバレたくない場合
メルカリなどで副業をした際に、確定申告をしない理由として、「会社にバレたくない」というものがあります。
そもそも確定申告をした際に、副業が会社にバレる理由は、住民税の金額が収入により変わるからです。
会社は、社員の年末調整をした後、各従業員の年収を地方自治体に報告します。
地方自治体は、その内容をもとにそれぞれの住民税を計算し、会社に納付書を送付します。
そのため、もしも副業により会社とは別の収入や所得がある場合は、その分の住民税も加算した額を会社に通知することになるわけです。
つまり、その納付書により、自社で支払っている給与に対して住民税が高いことに気づき、副業をしていることがバレるということになります。
会社に副業をしていることがバレないようにするためには、メルカリで得た所得分の住民税は「自分で支払う」ようにすれば、バレる可能性はかなり低くなります。
確定申告書には、「住民税の納付書を「会社の分」と「副業の分」で分けて発行する」という欄があります。
その項目にチェックをいれて提出をしておけば、副業分の住民税は会社とは切り分けて自分で支払うことになるので、会社に知られる可能性は低くなります。
ただし、これも100%バレないとは言い切れないところがあります。
なぜなら、その項目にチェックが入っていることを見落とされてしまい、会社に丸ごと納付書が送付されてしまう場合も無きにしも非ずだからです。
絶対に会社にバレたくないという場合は、さらに自分が1月1日時点で住んでいた地方自治体に電話をして、住民税の納付書を絶対にわけて発行してもらうよう、電話でお願いするという二重ブロックをかけておくのも一つの手です。
扶養に入っている場合
メルカリで販売をおこなっている方が専業主婦であり、配偶者の扶養に入っている場合、年収が103万円を超えてしまうと、その扶養者は配偶者控除を受けられなくなります。
もしもメルカリ以外にも収入がある場合は、両方の合算金額が対象となるので、扶養を外れたくないという場合は注意してください。
参考:国税庁「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要となる場合も
住民税は、自分が住んでいる都道府県および市区町村に対して納める税金のことで、これらをまとめて「住民税」と呼んでいます。
住民税は、前年所得に対し1月1日時点での住所地に課税されます。
住民税の金額は、所得額に応じて課税される「所得割」と、所得金額に関係なく負担する「均等割」で構成されています。
もしもメルカリでの売上が、確定申告を行わなければいけない対象ではなかった場合、確定申告を行う必要はありません。
しかし、その場合は別途住民税の申告が必要となります。
確定申告をしていれば、その申告書で前年所得がわかるため、あらためて住民税の申告をする必要はありませんが、確定申告をしていない場合、前年所得がいくらであったかがわからないため、別途住民税を確定させるための申告が必要になるということです。
住民税の申告方法は、1月1日時点に住んでいた市区町村役場のWebサイトで案内されているはずなので、そちらを確認してください。
メルカリで稼ぎがあっても確定申告しなかったらどうなる?まとめ
メルカリでの売上は、その年の1月1日~12月31日までの合計所得が対象となります。
確定申告をしたくないという場合は、年末に向けて売上調整を行うために販売数を減らすといった対応が必要になるでしょう。
しかし、12月に思いがけず売れてしまい、所得が20万円、もしくは48万円を超えてしまった場合、確定申告が必要になります。
とはいえその手続きが面倒で、ついついしなくてもバレないのではないかと思ってしまう人もいるようですが、メルカリなどでの商品販売により所得を得ている人が増えている今、バレない保証はどこにもありません。
どんなに少額であったとしても、義務である以上、確定申告はしっかりと行っておきましょう。
何をどこから整理したらよいかわからないといった場合は、税理士に相談をすることで間違いなく正確な確定申告を行うことが可能です。
税理士法人サム・ライズでは、確定申告をおこなっていないという方のために、申告業務の代行を行っていますので遠慮なくお問い合わせください。
遠方の方はオンラインでの相談も可能なのでご連絡ください。
副業の確定申告を損せず行う方法と相談先の選び方【税理士直伝】
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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