クラウドワークスで確定申告する必要があるか
目次
本記事は、「クラウドワークスで収入を得ている」方に向けて、「確定申告が必要かどうか」について簡潔に解説しています。
こんにちは。川越の税理士法人サム・ライズの林公士郎です。
クラウドワークスの仕事はすべて業務委託方式となるため、所得額によっては自分で確定申告を行う必要があります。確定申告をしなければいけない対象にあてはまる場合、確定申告をしないと大きな罰則を受けることとなってしまいます。
そこで今回は、クラウドワークスの仕事をしている人で、どのような条件の人が確定申告をしなければいけないのか、確定申告をしないままとしているとどのような罰則があるのかについて解説します。
確定申告をしない(無申告)場合どうなるのか、全体を網羅的に知りたい方は以下の記事もご覧ください。
1. クラウドワークスでの稼ぎを確定申告しなければならないのはこんな人
クラウドワークスでの稼ぎを確定申告しなければならない人は、以下の2つのパターンの人です。
クラウドワークスでの確定申告をしなければならない人 2パターン
- クラウドワークスは副業で、「所得」が20万円を超えている人
- クラウドワークスが本業で、「所得」が48万円を超えている人
次章以降、詳しく解説していきます。
2.クラウドワークスでの稼ぎを確定申告しないとどうなる?
確定申告を行わなければいけない所得があるにも関わらず確定申告を行わなかった場合、以下3つの罰則・罰金が適用されるケースが多いです。
罰金の種類 | 税率 | 説明 |
---|---|---|
無申告加算税 | 5%〜30% | 確定申告が必要にもかかわらず、期限が過ぎても無申告だった場合に課される |
重加算税 | 35%〜40% | 確定申告が必要にもかかわらず、期限を過ぎても無申告で、特にその内容が悪質であると判断された場合に課される |
延滞税 | 2.4%〜14.6% | 支払う税金があるにもかかわらず、定められた期限までに納めなかった場合に課される |
以降、それぞれ解説します。
1:無申告加算税
自主的に申告した場合、
本来の税金に「5%」の割合を乗じて計算した金額
調査で判明した場合、
本来の税金に「50万円までは15%」あるいは「50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額
クラウドワークスの仕事をして、確定申告をする必要がある所得を得ているにも関わらず、申告をしないままとしていた場合は、「無申告加算税」が課せられます。
「無申告加算税」とは、本来納付しなければならない税額に対して、「50万円までは15%」あるいは「50万円を超える部分は20%」の割合を乗じて計算した金額分が課せられることです。
ただし、もしも確定申告の期限が過ぎてしまった場合でも、自主的に後からでも確定申告をした場合は無申告加算税が軽減される場合があります。
その場合は、「5%の割合を乗じて計算した金額」での支払いとなります。
いずれにせよ、確定申告をしなかったために、追加納税をしなければいけなくなるということです。
そのため、確定申告を行わなければいけない対象の場合、期限内に必ず確定申告を行うべきですが、万が一期限が過ぎてしまった場合でも税務署からの指摘を受ける前に、自主的に申告を行ったほうが賢明です。
2:重加算税
内容が悪質である場合、
本来の税金の「35~40%」の割合を乗じて計算した金額
クラウドワークスの仕事をして、確定申告をする必要がある所得を得ているにも関わらず申告をしないままとしていて、その内容が特に悪質であると判断されると「重加算税」が課せられます。
「重加算税」は、「追加本税の35~40%」という高い税率を追加で支払うことになります。
悪質であると判断されるケースの例としては、帳簿書類の改ざんや二重帳簿などの隠匿行為などです。
重加算税対象となるペナルティの具体的な内容は、「国税通則法68条」に定められています。
下記ページに記載されているため、気になる方は確認してください。
いずれにせよ後悔する事態となりますので、確定申告をしないままでいるという人はすぐに税理士などの専門機関に相談することをおすすめします。
参考:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
3:延滞税
確定申告をしたが税金が未納の場合、
本来の税金の「2.4%〜14.6%」の割合を乗じて計算した金額
確定申告をした後、支払わなければいけない税金があるものの、結局期限までに納税しなかった場合は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が課せられます
納税額は、滞納している金額と滞納している期間によって変わります。
下記の国税庁のWebサイトで滞納額のシミュレーションができるので、気になる方は確認してみてください。
3.クラウドワークスでの稼ぎを確定申告する必要がないのはこんな人
クラウドワークスの仕事をしていても、確定申告が必要のない人のパターンは以下の2つです。
1:クラウドワークスは副業で「所得」が20万円以下である
1パターン目の確定申告の必要がない人の条件は、
- 本業で別の仕事があり、クラウドワークスは副業
- 1月1日~12月31日までの1年間で得た「所得が20万円以下」である
クラウドワークスでの仕事は、クラウドワークスに雇用されているわけではないため、業務委託で仕事を請けていることになります。
そのため、正社員で会社に雇用されている場合と違い、もしも所得が20万円を超える場合は、確定申告を行う必要があります。
ちなみに、「所得」とは、クラウドワークスから支払いのあった全金額のことを指しているわけではありません。
もしもクラウドワークスで請け負っている仕事の中で、何らかの経費がかかった場合、その分を差し引いた最終利益が「所得」ですので間違えないようにしましょう。
2:クラウドワークスは本業で「所得」が48万円以下である
2パターン目の確定申告の必要がない人の条件は、
- クラウドワークスの仕事が本業
- 1月1日~12月31日までの1年間で得た「所得が48万円以下」である
上記条件の場合、所得よりも所得控除額が大きく、課税所得がゼロとなり、納付すべき税金がないので確定申告は不要となります。
前述したとおり、「所得」は、クラウドワークスでの仕事を行なう際に発生した必要経費を差し引いた金額です。
「課税所得」は、基礎控除や生命保険などの所得控除分を、クラウドワークスで稼いだ所得から差し引いた差額です。
「課税所得」に対して税金が課せられるため、稼いだ所得よりも各種控除額のほうが大きい金額となった場合、納付すべき税金がないため確定申告を行う必要がないということになります。
4.クラウドワークスで稼いだ収入の所得区分
副業であれ、本業であれ、確定申告を行わなければいけない基準は、
クラウドワークスで得た「所得」の額となります。
そこで、この項では「所得」についてもう少し詳しく解説します。
確定申告は、国に支払うべき「所得税」を確定するための申告です。
「所得税」には、10種類の所得区分があり、収入の種類によってどの所得になるかが異なり、税率も変わってきます。
クラウドワークスでの所得は、その条件により「雑所得」または「事業所得」のいずれかに該当します。
どちらに該当するかにより、受けられるメリットも異なるので、それぞれの内容について理解しておくと良いでしょう。
1:雑所得
「雑所得」とは、
雑所得以外の9種類の所得区分*1のいずれにも当てはまらない場合に適用される所得です。
*1利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のこと
所得とは、「収入から経費を差し引いたもの」です。
確定申告を行う場合は、かかった経費を収入から差し引いて「所得」を算出しましょう。
もしも最終所得額が20万円以下であった場合は、確定申告は必要ありません。
なお、雑所得は「青色申告」できません。
ちなみに、正社員としてメインの仕事があったとしても、「クラウドワークスでの仕事も毎日している」「収入額が大きい」場合、「雑所得」ではなく「事業所得」とみなされることもあります。
2:事業所得
「事業所得」とは、
その仕事をメインとして行い、生業をたてている場合に適用される所得です。
クラウドワークスでの仕事を本業として行っている場合、その所得は「事業所得」として確定申告を行うことになります。
「事業所得」の場合も「雑所得」と同様に必要経費を差し引くことができるので、クラウドワークスから得た収入から必要経費を差し引いた金額が48万円以下であるかどうかが確定申告をしなければいけない対象であるかどうかの分かれ道となります。
なお、事業所得は確定申告を「青色申告」で行うことができます。
「青色申告」は「白色申告」よりも、税金面で大きなメリットを受けることができるので節税効果もあります。
ただし、「青色申告」は事前に税務署への届け出などを行う必要があること、また白色申告よりも申告すべき内容がやや複雑という側面があります。
とはいえ、大きな税金免除の特典を受けることが出来るので、青色申告をすることをおすすめします。
「青色申告」と「白色申告」の違いについては、下記ページで解説しているので興味がある方はぜひあわせてお読みください。
5.確定申告ではかかった必要経費を忘れずに引いて税金対策を
確定申告をする際、かかった必要経費を差し引くことができると説明しましたが、具体的に経費にできる項目一例をご紹介します。
経費として認めてもらえる可能性のある項目 一例
- インターネット通信費
- 電話代
- 家賃
- 水道光熱費
- 書籍などの購入費
- 取材などの際にかかった交通費
- パソコンなどのOA関連購入費 など
上記はあくまで一例です。
必要経費は、その人の仕事内容により異なります。
必要経費として計上できるかどうかは、それがなければ仕事が成立しないものであるかどうかが考え方の基本となります。
ちなみに、経費計上をする際、「家事按分」という考え方があります。
「家事按分」は、例えばインターネットの通信費を仕事のために使う頻度は、全体の2割程度で、残りの8割はプライベートでの利用という場合、月の通信費の2割だけを経費として計上するという考え方です。
ただし、白色申告の場合は、業務の割合が5割超の「家事関連費」しか経費にすることができません。
span class=”sp_mg_p”>つまり、「業務で半分以上使っている」ものしか経費に計上できないということになるので、例えばインターネット通信は毎日使うが、そのうちクラウドワークスでの仕事を行うために利用するのが2割ほどである場合、残念ながら家事按分はできません。
一方、青色申告は、かかった経費の事業相当額を合理的に区分できれば、家事関連費をすべて経費にできます。
この点からも、青色申告のほうがメリットが大きいということになります。
なお、経費として計上する場合は、白色申告か青色申告かに関係なく、購入した際に受け取った領収書やレシートは必要になるので必ず保管してください。
6.クラウドワークスでの確定申告は源泉徴収額の記載を忘れずに
クラウドワークスで、所得税をあらかじめ天引きされ、源泉徴収の支払いをしている場合には、
確定申告の際に、必ずその源泉徴収税額を記入してください。
クラウドワークスで法人のクライアントより仕事の依頼を請けた場合は、源泉徴収分の所得税を天引きして、代わりに納付をしてくれるため源泉徴収票を発行してくれるようになっています。
確定申告の際に源泉徴収額を記入すると、確定した税額よりも多く源泉徴収がされていた場合、その差額分が還付金として戻ってくることがあるので忘れないようにしましょう。
7.確定申告をしなくて良い対象でも住民税の申告は必要
クラウドワークスでの仕事しかしていないものの、最終所得が確定申告をしなくても良い金額であった場合は、
別途、住民税の申告だけを行いましょう。
住民税は、自分が住んでいる都道府県および市区町村に対して納める税金のことで、これらをまとめて「住民税」と呼んでいます。
住民税は、前年所得に対し「1月1日時点での住所地」に課税されます。
住民税の金額は、所得額に応じて課税される「所得割」と、所得金額に関係なく負担する「均等割」で構成されています。
もしも確定申告を行うべき対象でなかった場合でも、別途住民税の申告は必要となります。
確定申告をしていれば、その申告書で前年所得がわかるため、あらためて住民税の申告をする必要はありませんが、確定申告をしていない場合、前年所得がいくらであったかがわからないため、別途住民税を確定させるための申告が必要になるということです。
住民税の申告方法は、1月1日時点に住んでいた市区町村役場のWebサイトで案内されているはずなので、そちらを確認してください。
8.確定申告をしなくてもバレないのでは?
確定申告をしないと、
ほぼ100%バレます。
できれば税金を払いたくないという安易な理由から、確定申告をしないという選択をする人がいます。
個人レベルの確定申告など、しなくてもバレないだろうというのが主な理由のひとつのようです。
しかし、それは大きな誤りです。
税務署は、個人や法人などその規模や内容に関係なく、ランダムに税務調査をおこなっています。
実際に少額の売上であったとしても、税務調査が入ったケースもあります。
また、昨今副業などで利用する人が増えているクラウドワークスなどでの仕事は、今後税務署に目を付けられやすい仕事の一つと言えるでしょう。
もしも税務調査が入った場合、受けるダメージはとても大きいと言えます。
そんなことにならないよう、確定申告の期限が切れている年のものも含め、今からでも申告することをおすすめします。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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