キャッシュを増やす仕組みが分かる!~会計の基礎を分かりやすく解説します~

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

暦の上ではもう秋ですが、残暑はまだまだ厳しいようですね。熱中症対策など体調管理には十分お気をつけてお過ごしください。

さて、「キャッシュを増やす仕組み」についてはこれまでのブログで何度かお伝えしてきましたが、みなさんご一読いただけましたでしょうか?

これまでは主に、ストラック図を活用したり経営サイクルを見直したりすることで、利益を増やす方法を学び、キャッシュが増える仕組みについて理解を深めてきました。

ですが、いくら利益を出したとしても、それがすぐにキャッシュにならなければ、会社のお金は増えないので安定していきませんよね。そればかりか、最悪の場合、会社のお金が無くなってつぶれてしまうこともあるのです。

そこで今回は、改めて会計の基礎に立ち返り、利益をキャッシュ化するまでの時間をコントロールする、ということに焦点を当てて解説していきたいと思います。

ちなみに、前回までの関係するブログのリンクを以下に貼っておりますので、おさらいのつもりで再読いただき、ぜひみなさんの会社経営にお役立てください!

キャッシュを増やす仕組み〈その1 利益と借入金のバランス〉
キャッシュを増やす仕組み〈その2 ストラック図の分析と目標設定〉
キャッシュを増やす仕組み〈その3 検証によって見えてくる改善のポイント〉
正しい経営サイクルを確立させるための3STEP~キャッシュを増やすために~

財務三表とは

まず初めに、決算書というものがどういうものなのか、ここで改めて振り返っていこうと思います。

中小企業においては、決算書と言えば「貸借対照表」「損益計算書」の2つであることが一般的だと思いますが、今回はこれに「キャッシュフロー計算書」というものを含めた、『財務三表』について簡単に解説していきます。

貸借対照表は「一定時点」

まず貸借対照表は、「一定時点」の会社の財政状態を表します。

つまり、設立時点からずっと積み重なってきたものを、決算期末時点で切り取った時の状態を表している、ということになります。

さらに言うと、過去の累積があるということは、この貸借対照表を改善させるには非常に時間がかかる、ということになりますね。

損益計算書は「一定期間」

一方、損益計算書は「一定期間」の会社の経営成績を表します。

設立時点から今までの業績が全て詰まっている貸借対照表に対し、損益計算書が表す会社の成績は、その事業年度1年間だけに限定されているのです。

そのため損益計算書だけでは、会社の状態が良好なのか、それとも不安定なのかは判断できません。

ですが、直近3期分を分析することで、会社の収益性や、会社が採ってきた戦略というものが見えてきます。

キャッシュフロー計算書は「お金の流れ」

それから、キャッシュフロー計算書は一定期間の収支=「お金の流れ」を表しています。

損益計算書と同じように、その事業年度の1年間、どのようなお金が入ってきて、どのように使われていったのか、そして差し引き、どのくらいのお金が残っているのか、ということを読み取ることができます。

注目すべきは当座比率と自己資本比率

ここで、みなさんに注目していただきたいのは、貸借対照表から読み取れる以下の2つの指標です。

●当座比率 : 当座資産 ÷ 流動負債
●自己資本比率 : 自己資本 ÷ 総資本(総資産)

これまでにも度々、過去のブログで登場してきたこれら2つの比率ですが、これから財務三表の関係性を見ていくうえで、大変重要なカギとなってきます。

ここで改めておさらいをし、頭に入れておきましょう。

まず当座比率は、短期的な負債に対する支払い能力を表す比率で、高ければ高いほど財務安全性が高いことになります。

次に自己資本比率は、総資本に対する自己資本の比率で、高ければ高いほど財務的に安定していると言えます。

そのためこれら2つの指標は、会社の良し悪しが分かる大切な指標と言えるのです。

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財務三表の関係性

さて、財務三表それぞれの性質や、当座比率・自己資本比率についてのおさらいができたところで、これらがどのようにつながっているのかを見ていきましょう。

貸借対照表を中心につながっている

早速ですが、財務三表のつながりを表したのが以下の図です。

ご覧のとおり、貸借対照表を中心にしてそれぞれつながっていますよね。

このつながりを文字にしてみると、次のようになります。

●貸借対照表の「剰余金」 = 損益計算書の「利益」
●貸借対照表の「当座資金」 = キャッシュフロー計算書の「期末現預金」

それぞれ一体どういうことなのか、また、当座比率や自己資本比率はどう関係してくるのか、次項から詳しく見ていきましょう。

貸借対照表の剰余金と損益計算書の利益

まず、損益計算書の「利益」について見てみましょう。

ここでいう「利益」は、「当期純利益」のことを指します。

「当期純利益」とは、売上や営業外の収益・特別利益など全てを含む収益から、販売管理費をはじめ、営業外の費用・特別損失などを含む費用および税金などを全て引いて残ったものです。

そしてこの「当期純利益」は、貸借対照表の純資産を構成する「剰余金」に積みあがっていくことになるのです。

貸借対照表の当座資金とキャッシュフロー計算書の期末現預金

次に、キャッシュフロー計算書の「期末現預金」について見てみましょう。

「期末現預金」とは、前期から繰り越してきた「期首現預金」に、現金として入ってきたすべての収入を足したところから、現金で出ていった全てのお金を差し引いて残ったものです。

そしてこの「期末現預金」は、貸借対照表の資産を構成する「当座資金」となっていくのです。

当座比率・自己資本比率との関係性

最後は、これら財務三表と、当座比率・自己資本比率とがどう関係してくるのかを考えたいと思います。

ここで、先ほどご覧いただいた図をもう一度見てみましょう。

先ほどは、三表のつながりに焦点を当てて見ていましたが、ここでは当座比率・自己資本比率をそれぞれアップさせるにはどうすれば良いのか、というところに注目してみてください。

どういうことかというと、まずは自己資本比率について考えてみます。

先ほど、損益計算書の「当期純利益」は、貸借対照表の「剰余金」に積み上がっていくとお伝えしました。

ということは、「当期純利益」=「剰余金」がどんどん積み上がれば積み上がるほど、会社の純資産が増えるので、その結果自己資本比率がアップしますよね。

同じように、次は当座比率についても考えてみます。前項の解説で、キャッシュフロー計算書の「期末現預金」は、貸借対照表の「当座資金」になることが分かっています。

ということは、「期末現預金」=「当座資金」が増えれば増えるほど、会社の当座資産が増えるので、その結果当座比率がアップする、ということになるのです。

つまり、この2つの指標を見るだけで、財務三表全体を見渡すことができるうえ、会社が良くなっているのかどうかがよく分かるのです。

損益と収支の違いは「時間」の捉え方

ところで、今回のブログによく出てくる、損益計算書の「損益」と、キャッシュフロー計算書(=収支計算書)の「収支」という言葉。

似たような意味合いの言葉ですので、よく混同されてしまいがちです。

ここからは、これら「損益」と「収支」の違いについて、解説していきたいと思います。

損益は「発生主義」

まず「損益」とは、収益と費用から計算されるものになります。

ここでいう収益とは、例えば何かしら商品を売り上げた時に、まだ入金がなくても売上として計上するものです。逆に、前受金を受け取っていても、商品の引き渡しがまだであれば、その前受金は収益に計上されません。

費用についても同じように、実際には支払っていなくても、費用が発生した時点で費用として計上します。

こうしたことから、「損益」は「発生主義」と言われています。

収支は「現金主義」

次に「収支」とは、収入と支出から計算されるものになります。

収入においても支出においても、単純にお金の入と出だけを考えます。当期に収益や費用となるかどうかは関係なく、借入金などのお金の出入りも含まれるのです。

こうしたことから、「収支」は「現金主義」と言われています。

説明だけでは分かりにくいと思いますので、具体的な事例で考えてみましょう。

●500万円の車(=不動産)を現金で購入した場合

・損益 : 〔費用〕に、減価償却した分の金額を計上する
・収支 : 〔支出〕に、500万円を計上する


このように、現金で不動産を購入した場合は、500万円だけは先にお金として出ていきますが〔支出〕、そのうち500万円を耐用年数で割った金額だけが減価償却費〔費用〕として計上されるため、損益と収支とが一致しない、ということになります。

つまり、損益と収支とでは、「時間」の捉え方が大きく違うのです。

この「時間」の捉え方が大きく違っているが故に、利益には上がっている(=損益)のに、手元に現金がない(=収支)、という事態に陥ることもあるのです。

では、そういった事態に陥らないよう、損益と収支それぞれの「時間」を一致させることはできるのか、ということが課題になってきます。

ここで重要になってくるのが、「キャッシュサイクル」という考え方になります。

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キャッシュサイクルとは

キャッシュサイクルとは何かというと、商品の仕入れ代金を支払ってから、その商品の売上金により資金を回収するまでの期間のことを言います。

次項で、具体例をあげて考えてみましょう。

キャッシュサイクルは、短ければ短いほど理想的

例えば、次のような事例があったとします。

●800円の商品を仕入れ、1,000円の値を付けて販売を開始したところ、回収するまでに2か月間かかった場合

上記のような場合、「キャッシュサイクル」は2か月間、ということになります。

またこの時、損益計算書上では、800円の仕入れ〔費用〕と1,000円の売上〔収益〕が計上されますので、差額の200円がその月に発生することになります。

一方収支計算書上では、800円の仕入れ〔支出〕が計上されるのは同じですが、1,000円の売上金が入ってくるのが2か月後ですので、その2か月間はマイナス800円のまま過ごさなければいけません。

そして2か月後にようやく1,000円の入金〔収入〕が計上され、差額の200円が現金として手元に残ることになります。

つまり、「キャッシュサイクル」は、長ければ長いほど会社にとってのダメージが大きくなり、逆に短ければ短いほどキャッシュフローは良くなっていくのです。

ではこの「キャッシュサイクル」、みなさんはどこまで短くできると思いますか?

実は、ゼロだけではなく、マイナスにだってできるのです!

キャッシュサイクルをマイナスにする方法

キャッシュサイクルをマイナスにするためには、先にお客様からお金を預かって仕入れをする、ということになります。

例えば、「サブスクリプション」を例に考えてみましょう。

利用料を毎月支払うとすると1,000円(=一年間の合計:12,000円)かかるところ、一年分先払いすれば10,000円で済む、ということがよくありますよね。

これが、キャッシュサイクルをマイナスにする方法のひとつになります。この形が実現できれば、会社のお金は絶対になくなりません。

つまり、流動資産から流動負債を引いたところが常にプラスになる、ということなので、今日明日会社がつぶれることはないのです。

この他にも、キャッシュサイクルを短くするための方法は様々あると思いますが、今回私がみなさんにぜひ覚えていただきたいと思っているのが、「回収支払バランス」という考え方です。

回収支払バランスを知る

「回収支払バランス」とは、仕入れによる資金の支払いと、売上による資金の回収のバランスを見るための算式になります。

では具体的にどういった算式になるのか、次項から見ていきましょう。

日数を算出することで、回収支払バランスを見る

「回収支払バランス」の算式は次のとおりです。

一見するとややこしく感じるかもしれませんが、ひとつひとつは簡単な計算ですので、順番に見ていきましょう。

まずは左側です。

これは、売上債権(売掛金や受取手形の合計額)を一日当たりの売上で割ることになります。

つまり、一日当たりの売上の何日分の売上債権を持っているか(=回収条件)、ということが算出されます。

次に右側です。

これは、仕入債務を一日当たりの仕入れで割ることになります。

つまり、一日当たりの仕入れの何日分の仕入債務を持っているか(=支払条件)、ということが算出されます。

なお、仕入債務および仕入高には外注費も含みますのでご注意ください。

そして、売上債権の日数(=回収条件)から仕入債務の日数(=支払条件)を引くことで、最終的な指標となる日数を算出し、回収条件と支払条件のバランスを見ていくことになります。

回収支払バランスから分かること

ここで、A会社の事例をもとに実際に計算してみましょう。

以下の、A社の貸借対照表と損益計算書をご覧ください。

まず、黄色枠部分の数字で回収条件を、次に緑色枠の数字で支払条件を算出していきます。

すると、A社の回収支払バランスは次のような算式になります。

よってA社は平均的に、売上債権の回収には30日間、仕入債務の支払いには56日間かかり、その差は▲26日間だということが分かります。

この場合ように、最終的に算出された日数がマイナスであれば、支払条件より回収条件の方が良い、ということが言えます。

逆に、この日数がプラスで大きい数字の場合は、支払条件より回収条件が悪い状態なので、運転資金が厳しい時だということになるのです。

このように、回収支払バランスを算出してみることによって、自社の回収にかかる日数と、支払いにかかる日数の平均的な数値が分かり、それによってどれだけキャッシュを持っていなければいけないのか、ということが分かります。

さらに、これを3期分出してみると、資金繰りが良くなっているのか、悪くなっているのか、というところも知ることができます。

早速みなさんも、自社の3期分がどんな日数になっているのか、というのをぜひ出してみてください!

キャッシュを増やす仕組みが分かる!~会計の基礎を分かりやすく解説します~まとめ

今回は、会計の基礎を改めて学びながら、キャッシュが増える仕組みについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

利益がキャッシュとして増えていくためには、いかに「利益=即キャッシュ」という算式に、会社の体制を近付けることができるか、ということが肝になります。

今回お伝えした、キャッシュサイクルの考え方や回収支払バランスの考え方をぜひ取り入れていただき、利益をキャッシュ化するまでの時間をうまくコントロールできるようにしましょう!

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。弊社では、経営者様の伴走者として経営サポートも行っております。オンラインでのご相談も可能ですので、ぜひ川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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