条件

生活保護の受給条件5つ!生活保護費の受給前に確認すべき申請の流れをわかりやすく解説

生活保護の条件

生活保護を受給するには5つの条件をクリアする必要があります。

たとえば厚生労働省の定める最低生活費よりも収入が高い場合は、生活が苦しくても生活保護受給の対象になりません。

生活保護とは、これ以上自分の力や資金だけでは生活できない方に対し、必要最低限のお金が支給される制度のこと。

国からお金を受給する制度なので審査は厳しめですが、本当に生活が苦しい方にとっては救いになるお金を借りる方法です。

生活保護の名前だけ知っていても、実際にどのような制度なのか、どんな条件で受給できるのか知らない方は多いでしょう。

この記事では生活保護を受けるための条件や申請の流れなど、生活保護を申し込む前に知っておきたい知識を分かりやすくまとめていきます。

自分が生活保護を受けられるかどうか知りたい人は、まず初めに生活保護の受給条件を確認しましょう。

目次

生活保護を受けられる条件5つの詳細を解説

生活保護が受けられるためには5つの条件をクリアする必要があります。

生活保護とは日本国憲法に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための公的なセーフティーネットです。

自力で生活費の問題を解決できる可能性がある場合は受給できません。

資産や労働力、親族からの支援がなく生活が苦しい人は生活保護の申請をしましょう。

生活保護を受給できる5つの条件についてそれぞれの詳細を詳しく解説していきます。

生活保護を受給できる5つの条件

  1. 収入が厚生労働省の定める最低生活費よりも下回っていること
  2. 病気などの事情により働くことが困難であること
  3. 土地などの利用し得る資産を所有していないこと
  4. 年金や国の他の制度を利用した上で生活が困難であること
  5. 親族などから支援を受けられず生活が困難であること

収入が厚生労働省の定める最低生活費よりも下回っていること

生活保護を受ける1つ目の条件は、収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っていること。

収入があっても、最低生活費よりも金額が低ければ生活保護の申請が可能です。

最低生活費とは最低限必要な生活費の目安で、住んでいる地域や家族構成によって異なります。

最低生活費の内訳は以下の通りです。

  1. 年齢別に算出される、食費や被服費など個人的費用
  2. 世帯人数で算出される、光熱費など世帯共通の費用
  3. 家賃
  4. 教育を受けるために必要な費用
  5. 自宅介護にかかった介護費の平均月額
  6. 診療などにかかった医療費の平均月額

①〜③は、住んでいる地域の地級や世帯人数などによっても細かく金額が定められています。

また、障害者や母子世帯、児童を養育している世帯であれば一定の加算があります。

生活保護は、最低生活費から収入を引いた金額が保護費として支給される仕組みです。

現時点で収入がある場合、算出された金額が満額受け取れるわけではありません。

必要な生活費は、年齢、世帯の人数等により定められており(最低生活費)、
最低生活費以下の収入の場合に生活保護を受給できます。
引用元:厚生労働省|生活保護制度

仕事をしていても毎月の収入が最低生活費を下回っているなら生活保護を受けられる可能性があるので、他の条件もチェックしてみてください。

生活保護を受けるためには他にも4つの条件をクリアする必要があり、厚生労働省公式サイトの「生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容」に明記されています。

生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
引用元:厚生労働省|生活保護制度

この文面からは、生活を維持するために「資産」や「能力」を活用し、「扶養義務者の扶養」を受けてもなお生活が苦しい場合に生活保護が受けられる、ということが分かります。

つまり、自分が持っている資産を売却して生活費に充て、自分の能力を生かして収入を得る努力をし、親族から扶養が受けられる場合は受けましょう、ということ。

市役所でお金を借りる制度なども利用した上で、どうしてもお金を借りられず、生活が立ち行かない場合のみ利用できます。

それぞれの条件の理解を深めていきましょう。

病気などの事情により働くことが困難であること

生活保護は、家族全員が自分の能力や財産をすべて使って、それでも同しようもない場合に利用できます。

つまり、心身ともに元気で働ける方は仕事を得るために尽力しなければなりません。

逆に、怪我や病気などで思うように働けない場合は生活保護の対象者になります。

特に病気に関しては、衰弱や痛みで動けない身体的な疾患だけでなく、精神的な疾患も対象です。

うつ病やパニック障害、高次脳機能障害といった就労困難な精神疾患は、医師の診断書をもとに生活保護の受給対象となるか判断されます。

また、身体や精神に障害がある場合、基準や条件を満たせば「障害年金」の受給対象にもなるので、生活に困っていたら自治体の年金窓口に相談してみましょう。

土地などの利用し得る資産を所有していないこと

生活保護を受けたい場合は、先に「利用し得る資産」を活用して生活の維持に努めなければなりません。

まずは売れるものは売って生活費に充てた上で、さらに生活が困窮する場合に生活保護が利用できます。

資産には家や土地などの不動産、車やバイク、預貯金など様々なものが含まれますが、中には無くなると生活が成り立たないものもありますよね。

そのため、中には例外として認められる資産もあります。

貯金は最低生活費の半分まで

貯金はゼロにしなくても、最低生活費の半分程度までなら残しておけます。

また、子どもの学費や親の介護が目的であれば、規定以上であっても貯金が認められるケースもあります。

移動に必要不可欠と判断された車

電車の駅やバス停が遠すぎて車がないと通勤・通学ができない場合、移動には必要不可欠として車の所有が認められます。

また、心身の障害が原因で公共交通機関の利用が困難な場合も同様です。

持ち家はローン完済済みが必須条件

家は生活の基盤であり無くてはならない資産ですが、ローンの残債があれば必ず売却を求められます。

ローンの返済に生活保護費を充てるのは禁止されているからです。

持ち家を所有したまま生活保護を受給できるのは、以下のようなケース。

  • 家が古くて価値がつかず売却に費用がかかってしまう
  • 買い手がつかないような田舎や不便な場所にある
  • 賃貸に引っ越すより持ち家のほうが扶助額が安くなる
  • 引っ越しにより病状が悪化する恐れがある

つまり、売る価値がないかどうしても生活に必要と判断されれば持ち家に住むことが認められます。

処分に迷ったら福祉事務所に相談を

詳しくは後述しますが、生活保護の申し込みは「福祉事務所」で行います。

どこまでが保有を認められる資産なのかは、自分だけでは判断が難しいものです。

資産の処分について不安なことがある場合は、生活保護を申し込む前に福祉事務所へ相談しましょう。

年金や国の他の制度を利用した上で生活が困難であること

生活保護は「あらゆるもの」を生活の維持のために活用してもなお生活できない方のためのものであり、最後のセーフティネットだと言えます。

「あらゆるもの」の中には年金や公的融資など他の制度で受けられる給付金・貸付金も含まれています。

生活保護でなく、他の制度で対応できる場合はそちらを優先して利用しましょう。

例えば「事故に遭って障害が残ったために働いて十分な収入が得られなくなった」というケースでも、障害年金で生活費が十分まかなえる場合は生活保護を受けられません。

最低生活費よりも多くの老齢年金を得ている方も、生活保護の審査には通らないでしょう。

また、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」で対応可能と判断された場合も生活保護は受けられません。

親族などから支援を受けられず生活が困難であること

「扶養義務者からの扶養」は生活保護より優先して受けなければならないので、家族や親族などから十分な支援を受けられる方は生活保護の対象になりません。

「扶養義務者」は民法第877条で下記のように定められています。

(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
引用元:e-Gov法令検索|民法

つまり、以下に当てはまる方から扶養を受けられる場合は、生活保護を申請しても審査に落ちる可能性が高いです。

  • 直系血族:両親、子ども、祖父母、孫など
  • 兄弟・姉妹
  • (特別な事情があるとき)三親等内の親族:おじ・おば・姪・甥など

家族や親族から援助を受けるのが難しい場合や、援助を受けても最低生活費に満たないお金しか得られない場合は、生活保護が受けられます。

生活保護の審査に落ちやすい方の特徴5つ

生活保護の審査は基準が比較的はっきりしているので、審査に落ちやすいか通過しやすいかはある程度事前に推測できます。

生活保護の審査に落ちやすいのは、「資産がある」「働いてお金が稼げる」「他の制度で対応可能」「扶養が受けられる」「借金がある」といった場合。

ここでは生活保護以外の対処法も含めながら、各項目について説明していきます。

不動産・自動車・預貯金などのお金に替えられる資産がある

お金に替えることができる資産がある方は、審査に落ちやすくなります。

資産とみなされる可能性が高いものの例としては、以下の通り。

  • 家、土地、建物などの不動産
  • 自動車やバイクなどの車両
  • 預金や貯金
  • 生命保険
  • 貴金属や高価な服飾品

生命保険は資産だと思っていない方も多いですが、解約払戻金があるタイプなどはお金に替えられる価値があるので注意です。

ただし現在住んでいる住宅は売却処分とならず、保有が認められるケースがほとんど。

その他の資産は原則処分して生活費に充てるよう求められますが、自動車やバイクなどの保有が認められるケースもあります。

例えば、身体に障害があって通勤や通院で車が必要不可欠な場合や、電車が通っていない地域で通勤のためにバイクが必須の場合など。

生活のため、または生活を立て直すために車やバイクが必要な人は、生活保護を受ける前の事前相談で相談しておくといいでしょう。

働いてお金を稼げる方は生活保護を受けにくい

働ける能力がある方は、自分の能力に応じて仕事をする義務があります。

働ける身体状況にも関わらず、「働きたくないから生活保護を受けよう」と思って申請しても、当然ながら審査には落ちる可能性が高いです。

まずはできる限り仕事を得るための努力をしましょう。

ただし病気や障害などで働けない場合は、働けない原因を解決する方が優先となるので生活保護を受けられる可能性が高いです。

また失業中で仕事ができない場合も、ハローワークで仕事を探しているなど本人に働く意思が見られる場合は、就職できるまでの間生活保護を受けられる可能性があります。

年金などの社会保障で生活費がまかなえる場合は生活保護の審査に落ちる

年金や生活福祉資金貸付制度など他の制度や手当でまかなえる場合は、生活保護の審査に落ちてしまいます。

年金といえば高齢になるともらえる「老齢年金」のイメージが強いかもしれませんが、病気やケガで仕事や生活に支障が出ている場合は「障害年金」も受け取れます。

また、お金がない方向けに行政が貸付を行ってくれる「生活福祉資金貸付制度」もあります。

生活福祉資金貸付制度は、低金利または無利息で貸付を行ってくれるので、返済がしやすく非常に便利です。

生活福祉資金には様々な種類の資金があり、種類に応じて貸付条件などが異なります。

資金の種類 限度額 保証人と利子
生活支援費 月15万~20万円(最長12か月) 保証人あり:無利子、保証人なし:年1.5%
一時生活再建費 60万円 保証人あり:無利子、保証人なし:年1.5%
緊急小口資金 10~20万円 無利子、保証人不要

生活支援費は、一度崩れてしまった生活を立て直すために利用できる制度。

一時生活再建費は、就職のためのスキル習得や債務整理の費用など、短期間で必要な資金を賄う制度。

緊急小口資金は、緊急的に生活費が不足してしまった際などに利用できる制度です。

参考:厚生労働省|生活福祉資金貸付条件等一覧

緊急小口資金は本則では限度額が10万円ですが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で条件を満たすと限度額が20万円に上がります。

参考:厚生労働省|生活福祉資金の特例貸付

この他にも色々な資金があるので、気になる方は市区町村役場で相談してみてください。

これらの制度利用しても生活できない、または制度の利用を断られたなど、最大限の努力をしても駄目だった場合にのみ生活保護を受けられます。

家族や親族から援助を受けられる

家族や親族の扶養を受けられると判断されると、生活保護の審査に落ちる可能性があります。

生活保護を受ける前に、家族や親族から受けられる援助はすべて受けなければなりません。

ただし家族や親族の援助を受けていても、上述の最低生活費に満たない場合は生活保護が受けられることも。

またDV(家庭内暴力)や虐待などの事情がある場合は、家族や親族への照会を見合わせてもらえるケースがあります。

事情があって家族や親族の支援が求められない場合は、必ずケースワーカーに相談してください。

生活保護費は返済に充てられないため完済していない借金があると審査に落ちやすい

生活保護でもらった保護費を借金の返済に充てることは認められていないため、完済していない借金がある方は審査に落ちやすいと言えます。

ただし、借金があると絶対に審査に通らないというわけではありません。

例えば、自己破産で借金をなくすことを前提として生活保護を申請することは可能です。

自己破産にも費用がかかりますが、前述した「生活福祉資金貸付制度」の「一時生活再建費」は自己破産の費用に充てられます。

また「法テラス」(日本司法支援センター)を利用すれば、自己破産するときの費用を割安で立て替えてもらうことも可能。

このように、借金を抱えて生活に困っている方が取れる対処法は少なくありません。

どのような手続きをいつ行えばいいかなど、詳しいことはケースワーカーと相談してください。

生活保護などの相談は福祉事務所でできるので、まずは市区町村役場などで管轄の福祉事務所を確認し、相談に行きましょう。

生活保護の申請の流れを解説

生活保護を受けるためにはまず事前相談に行き、正式に申請して審査を受ける必要があります。

また保護費の支給が始まった後も、やらなけらばならないことややってはいけないことがあるので注意。

ここでは生活保護の申請準備から保護費の受給までの流れについてまとめていきます。

生活保護の申請に必要な書類を準備しよう

生活保護の申請時にこれが絶対に必要という書類はありませんが、生活に困窮していることが分かるものはあると便利でしょう。

なるべく用意してほしい書類は以下のようなものです。

  • 家賃や光熱費など生活に関わる請求書
  • 直近の給与明細
  • 預金通帳
  • 病気の診断書
  • 離職票や求職中であることが分かる書類
  • 離婚したことが分かる住民票や戸籍謄本

具体的な数字で困窮を証明しなければ、相手には伝わりにくいものです。

なるべく多くの書類を揃えて、現在の状況を具体的に説明できる準備をしましょう。

福祉事務所の生活保護担当で事前に相談する

生活保護の申請や相談を担当しているのは、各市区町村の「福祉事務所」です。

住んでいる地域によって管轄の福祉事務所が違うので、最寄りの市役所などで福祉事務所の場所を聞いてみましょう。

福祉事務所には生活保護担当の部署があるので、まずはそこで事前相談をする形になります。

事前相談では生活保護の制度について説明を受け、「生活福祉資金」など他の制度の利用も併せて検討します。

生活保護を申請し事前の調査を受ける

生活保護の申請では特に書類などは必要となりませんが、申請後は以下のような事前調査に基づく審査が実施されます。

  • ケースワーカーなどによる家庭訪問(生活状況を把握するための実地調査)
  • 資産の調査(預貯金・保険・不動産など)
  • 扶養義務者の援助を受けられるかどうかの調査
  • 年金や給料などの収入がどのくらいあるかの調査
  • 働けるかどうかの調査

こうした調査において、世帯の収入や資産が分かる資料(通帳のコピーや給与明細など)の提出が必要になる場合もあります。

審査に通ったら保護費の支給が開始される

申請から審査を経て、生活保護費の受給ができるかどうかは原則14日以内に判明します。

無事審査に通過できれば、前述の最低生活費から収入を引いた金額が保護費として毎月支給されるようになります。

しかし、生活保護はただ受給を受けるだけではありません。

保護費の支給中は毎月の収入を申告したりケースワーカーの訪問調査を受けたりする義務があるのです。

ケースワーカーの訪問調査や収入の申告を怠ると生活保護が打ち切られることもあります。

また働ける可能性がある方は仕事をするための助言や指導を受ける必要もあるので、誠意を持って対応しましょう。

生活保護費はいくらもらえる?受給額の計算方法と具体例

最低限の生活がおくれる程度という生活保護費ですが、具体的にはいくらもらえるのでしょうか。

厚生労働省の資料では、食費や被服費、光熱費などに各種加算を加えた生活扶助額の具体的金額が示されています。

  東京都区部等 地方郡部等
3人世帯(33歳、29歳、4歳) 15万8,700円 13万3,600円
高齢者単身世帯(68歳) 7万7,900円 6万6,300円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) 12万1,400円 10万6,300円
母子世帯(30歳、4歳、2歳) 19万500円 16万8,360円

引用元:生活保護制度の概要等について

この金額に、少なくとも住宅扶助が加算されます。

例えば、東京都で単身者に支給される住宅扶助は40,900円〜53,700円、3〜5人世帯であれば53,200円〜69,800円です。
※参照:住宅扶助について

これをもとに算出すると、年齢にもよりますが東京都の場合単身者であれば12万〜13万円、3人世帯なら21万〜23万円、3人で母子世帯であれば24万〜26万円程度が支給される計算です。

収入がある場合は、支給金額から収入を引いた金額が生活保護費として支給されます。

詳しく金額を知りたい人は、生活保護の計算ツールも使用してみましょう。

住んでいる場所で最低保護費が変わる!地級を調べておこう

最低生活費の基準値は、物価や生活水準の違いによって地級により分けられています。

地級は6段階に分かれていて、地級は全国すべての区市町村で定められているものです。

その一例として、東京都と大阪府の市町村について見てみましょう。

地級 東京都 大阪府
1級地-1 区の存する地域、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、多摩市、稲城市、西東京市 大阪市、堺市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、松原市、大東市、箕面市、門真市、摂津市、東大阪市
1級地-2 青梅市、武蔵村山市 岸和田市、泉大津市、貝塚市、和泉市、高石市、藤井寺市、四條畷市、交野市、泉北郡忠岡町
2級地-1 羽村市、あきる野市、西多摩郡瑞穂町 泉佐野市、富田林市、河内長野市、柏原市、羽曳野市、泉南市、大阪狭山市、三島郡島本町、泉南郡熊取町、泉南郡田尻町
2級地-2
3級地-1 西多摩郡日の出町、西多摩郡檜原村、西多摩郡奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村 阪南市、豊能郡豊能町、豊能郡能勢町、泉南郡岬町、南河内郡太子町、南河内郡河南町、千早赤阪村
3級地-2 1級地、2級地、3級地-1以外の市町村

なお、その他の地域の地級については地級区分一覧表から確認できます。

世帯人数と生活保護費の増額について知ろう

2人以上で生活している場合、人数に合わせて生活保護費が増額されます。

生活保護の金額を算出する場合、「逓減率(ていげんりつ)」を掛け算して、2人目以降減額されます。

同居人数が増えても、そのまま生活費が倍になるわけではないからです。

逓減率は0.9から0.5683まであり、人数による増額分はほぼ半分程度にまで減ることもあります。

また、光熱費など世帯で必要な費用(生活扶助基準第2類)は世帯人数と地級で金額が決まっています。

例えば東京都23区では、単身世帯の支給額が45,320円であるのに対し、5人世帯は58,010円。

生活保護費の算出において基準額は2種類ありますが、それぞれで逓減率や基準額が異なります。

2種類の基準額と逓減率で計算し、最終的に金額が高い方を支給金額として採用します。

参考:厚生労働省|生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法

生活保護費の支給日は自治体によって異なる

生活保護費は毎月支給されますが、支給日は自治体によって異なります。

以下が支給日を公表している自治体の一例です。

自治体名 毎月の支給日
東大阪市 2日
長崎市 3日
鳥取市 4日
新潟市 4日
沖縄市 5日

多くの自治体が月のはじめ頃、だいたい5日までを支給日としており、土日祝日と重なってしまう場合は金融機関の前営業日までに振り込まれます。

また、申請して初めて受給が確定すると、初回は次の支給日まで日割りで計算された額が算出され、手渡しで支給される自治体が多いです。

初回支給日までの生活費が工面できず困窮している場合、本人名義の銀行口座を持っていれば臨時特例つなぎ資金貸付制度を利用できる可能性があります。

臨時特例つなぎ資金貸付制度は10万円まで無利子で貸付を行うもので、後で生活保護費から返済費用が差し引かれる仕組みです。

生活保護と併せて利用を希望する方は、自治体の社会福祉協議会で相談してみてください。

生活保護の扶助は8種類!状況に合わせて利用しよう

生活保護の保護費は「扶助」と呼ばれ、「生活扶助」「住宅扶助」など8つの種類があります。

ここでは茨城県公式サイトや厚生労働省に記載の資料を参考に、8種類の扶助について具体的な金額を交えながら説明していきます。

参考:茨城県|生活保護の種類厚生労働省|第1回生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会

生活保護の金額は本人の年齢や世帯の状況、住んでいる地域などによって異なるので注意してください。

生活扶助は食事や衣服などに必要な費用がもらえる保護費

生活扶助とは、衣服や食事など日常生活に必要な費用に充てられる保護費で、年齢や世帯の状況(人数や子どもの有無など)を参考にして金額が決められます。

生活扶助は月額いくらもらえるのか、茨城県の標準的な親子3人世帯(33歳の父・29歳の母・4歳の子)の例で見てみましょう。

住んでいる地域 生活扶助の月額
水戸市 約14万円
日立市・土浦市・古河市・取手市 約13万5,000円
つくば市・守谷市・ひたちなか市など 約13万円
それ以外の地域 約12万円

上記のような月額に加えて、時期や必要と判断された一時費用などで別途保護費が認められる場合があります。

例えば、「一時扶助」は子どもの出生や入園・入学で必要になる家具や被服費に充てられ保護費です。

また、冬場は暖房費がかかることから「冬季加算」があったり、年末に増加する食費などを補う「期末一時扶助」など、都度必要な追加保護費が認められる場合があります。

住宅補助は住むところを確保するためにもらえる保護費

住宅扶助は住むところを確保するためにもらえる保護費で、大きく2つに分けられます。

1つは家賃や土地代だけでなく、引っ越し時に必要な敷金・礼金に充てられる「家賃、間代等」です。

茨城県の場合、家賃が払えない場合に家賃・地代などとして毎月もらえる金額は一人暮らしの場合で3万5,400円以内。

住宅扶助では、このほか住宅維持費として補修費用も必要に応じて支給されます。

金額は自治体により異なり、茨城県では11万7,000円以内、他の自治体を見てみると千葉県では12万4,000円以内です。

補修は社会通念上最低限度の生活にふさわしい程度としており、主に従来からある畳や建具の修理程度までが認められます。

教育扶助は小中学生がいる世帯が受給できる保護費

教育扶助は小学生、中学生の子どもがいる世帯が受給できる保護費です。

基準額は小学生2,600円、中学生5,100円(令和4年5月時点)で、これに加えて給食費や教材代、交通費が実費で支給されます。

学習支援費(クラブ活動費)として別途定められた年額内で、必要に応じて実費で支給されるお金もあります。

なお、修学旅行の積み立て費は生活保護費からは出ませんが、文部科学省の就学援助制度から支給されるので、学校生活では子どもが不自由さを感じることは少ないでしょう。

医療扶助はケガや病気で病院にかかるときに受けられる扶助

医療扶助はケガや病気で病院にかかる必要が生じたときに受けられる扶助で、原則として医療券という形で現物給付されます。

医療サービスを受けられるのは指定医療機関に限られますが、診察の費用・薬代・治療代・施術の費用・移送費といった費用は原則無料です。

ただし、医療に関わるすべてが無料というわけではありません。

入院で個室を希望した場合の差額、自由診療や先進医療など健康保険適用外の治療は全額自己負担となります。

介護扶助は介護サービスにかかる費用を賄ってくれる

介護扶助は介護サービスが必要な場合に受けられる扶助で、介護サービスにかかる費用を賄ってくれます。

具体的には介護扶助を利用すると、本人の負担金が0円になるシステムです。

生活費の不足など困窮した状態で最低限度の生活が受けられない要介護者・要支援者が対象となります。

扶助の対象になるサービスは、介護保険法に基づくすべての介護サービスで、ホームヘルパーの派遣やデイサービスの利用だけでなく施設への入所も含まれます。

出産扶助は出産の費用を負担してくれる制度

出産扶助は生活保護を受けている方が出産する際の費用を負担してくれる制度です。

支給方法は現金支給で、「基準額」「入院費」「衛生材料費」の合計が渡されます。

基準額とは、分娩にかかる費用を指します。

病院などの施設分娩の場合は、上限30万6,000円までの範囲で支給。

支給額はその時によって変わるので、ケースワーカーと相談して支給額の確認をしておきましょう。

入院費は、出産の際にかかる最大8日分の入院費を負担してくれます。

ただし、入院する際は大部屋など最低限の設備が整った部屋の金額が基準です。

個人部屋などの差額は請求できないので注意しましょう。

衛生材料費は、出産時に必要な包帯やガーゼなど衛生用品にかかる費用です。

これは全国一律支給で、金額は6,000円と決められています。

仕事に必要なスキル習得などに使える「生業扶助」

生業扶助は生活するための仕事を得るためにもらえる保護費で、このような使いみちが認められています。

  • 仕事を維持するために必要な資金
  • 器具や資料などの購入費
  • 仕事に必要なスキルを習得するための費用
  • 高校に入学するための費用

大人が仕事を身につけるための費用としてだけでなく、高校への入学費へも当てられるのが特徴です。

また、就労が決まった際には、必要に応じて洋服や靴の購入費用、初任給が支給されるまでの通勤費が就職支度費として定められた金額内で補填されます。

このような生業扶助は、原則として現金給付になります。

葬祭扶助は文字通り葬儀のための費用がもらえる保護費

葬祭扶助は文字通り葬儀のための費用がもらえる扶助で、必ず葬儀の前に申請しなければなりません。

葬儀の内容は最低限のもので、通夜や告別式をせず火葬のみ行われる「直葬」が基本になります。

葬祭扶助の申請は自治体に個人で行うか、必要な書類が揃っていれば葬儀社に代行してもらうことも可能です。

また、葬儀にかかる費用が遺族に支給されるのではなく、福祉事務所から直接葬儀社に支払われるケースが多いです。

葬祭扶助は火葬して骨を骨壷に収めるところまでしかカバーしないので、その後の納骨先やお墓の準備などは実費となります。

生活保護の受給中に注意したい3つのデメリット!してはいけないこととは?

生活保護の受給中は、支給中に対応が必要な内容や注意事項があります。

ここでは生活保護の受給中に受ける3つのデメリットについて、注意点を踏まえて解説していきます。

年数回ケースワーカーの訪問調査がある

生活保護を受給している間は、年に何回か福祉事務所のケースワーカーが自宅へ訪問調査に来ます。

生活保護の審査では生活状況・資産の状況・収入の状況などが調査されますが、受給中も状況が変わっていないか定期的にチェックをする目的です。

調査が入らなくても、資産や収入、世帯構成が変わったなど状況に変化がある時は、ケースワーカーに逐一報告する義務があります。

もし報告せずケースワーカーの訪問調査にもきちんと応じないと、生活保護の減額や打ち切りの可能性もあるので、適切に対応してください。

生活保護の受給中は毎月の収入を申告する義務がある

生活保護の受給中は、毎月の収入を申告しなければなりません。

給料・年金・仕送りなどはもちろん、手伝いでもらった謝礼や相続で受け取った故人の財産なども収入としてカウントされます。

お金が手に入ったら必ず申告することを心がけましょう。

なお、虚偽の申告をすると生活保護の不正受給として、受け取った金額を返納するよう求められることがあります。

収入の有無や金額について嘘をつくのは絶対にやめましょう。

無断で新たに借り入れすると生活保護が打ち切られる

生活保護の受給中は、無断でお金を借りてはいけません。

先述の通り毎月の収入は申告しなければなりませんが、借り入れで得たお金も収入とみなされます。

また保護費を返済に充てることは認められていないため、無断でお金を借りると生活保護が打ち切りとなるおそれがあります。

保護費を使い切った場合は必ずケースワーカーに相談しましょう。

やむを得ない理由で臨時の費用が必要になった場合など、どのように対応すればいいか教えてもらえます。

生活保護の不正受給は逮捕されるだけでなく返還を求められる

生活保護に受給に関しては、生活保護法という法律が定められており、不正受給に関しては以下のように記述されています。

第七十八条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。

引用元:生活保護法

減額されるのが嫌で臨時収入を報告しなかったり、収入のある人が同居人になったけど届け出なかったりすると不正受給とみなされ、悪質だと詐欺罪で逮捕される可能性もあるのです。

実際、就職して収入を得ていることを隠して虚偽申告し、生活保護費をだまし取ったとして詐欺罪で逮捕された実例は少なくありません。

また、逮捕されるだけでなく不正受給した生活保護費は返還を求められます。

匿名の通報や自治体に生活相談をして発覚するなど、嘘をついてもどこからか必ずバレます。

申告し忘れていたという言い訳も通用しないので、ケースワーカーへの報告は正しく確実に行いましょう。

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