社会福祉法人の財務諸表~財務三表の整合性とは~

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの東海林です。

今回は、社会福祉法人の財務三表の整合性についてまとめていきます。

 

まずは前回の振り返りとなりますが、
財務三表とは「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」のことを指します。
参考記事:社会福祉法人の財務諸表~財務三表とは~

 

この財務三表は、互いにつながりがあります。つまりお互いに連動し合っているということです。
しかし、「事業活動計算書」「貸借対照表」が連動されている、ということについては理解していらっしゃる方は多いのですが、「資金収支計算書」「貸借対照表」も連動されている、ということについては、あまり理解していらっしゃる方は多くないように感じます。

なぜそのように感じるかは、後ほど記載します。

 

はじめに、資産、負債及び純資産が増減する1つの取引に支払資金の増減が伴う場合、3つの財務諸表を互いに連動させるためには、通常の仕訳のほかに、支払資金の増減を計上するための仕訳を計上する必要があります。

この1つの取引に、2つの仕訳を計上することを「一取引二仕訳」といいます。そのままですね。

しかし、支払資金の増減を伴わない取引では「一取引二仕訳」が発生することはありません。

 

なぜ、支払資金の増減が伴う取引には「一取引二仕訳」が発生し、支払資金の増減を伴わない取引では「一取引二仕訳」が発生しないのか、下記で詳しく解説していきます。

 

日常の中で経理業務するときは、現金や預金の残高を合わせるため、仕訳を入力したあとに、国保連や利用者負担金などを事業未収金、給食費や委託費などを事業未払金を計上していくことが多いと思われます。

その際の現金や預金、事業未収金や事業未払金のような資産や負債の増減は「貸借対照表」に反映されます。

そして、収益と費用は「事業活動計算書」、収入と支出は「資金収支計算書」に反映されます。

そのため、預金から給料を支給したときは「貸借対照表」の預金が減って、

「事業活動計算書」の人件費が増えます。同様に「資金収支計算書」の人件費支出が増えて、資金が減ります。

 

上記の動きを借方と貸方で表すと以下のようになります。

借方 貸方
貸借対照表 預金
事業活動計算書 人件費
資金収支計算書 人件費支出 支払資金

「貸借対照表」「事業活動計算書」はそれぞれ対となり、直接紐づいているので差額が生じることはあまりないですが、

「資金収支計算書」はそれとは別に連動されて展開していくので、うまく反映がされないことがあります。

日常的な経理業務の大半が上記の動きをするかと思います。

 

しかしながら「事業活動計算書」には反映されず、「貸借対照表」「資金収支計算書」のみが反映される取引があります。

それは、建物や車両、備品等の固定資産の購入をした場合などです。

 

例えば、現金で車両を購入した場合、「貸借対照表」の現金が減り、固定資産の車両が増加します。

しかし、こちらは「事業活動計算書」には反映されません。

ただし、資金は減少しているため、「資金収支計算書」の方で車両を取得した支出を反映させることになります。

上記の動きを借方と貸方で表すと以下のようになります。

借方 貸方
貸借対照表 車両 現金
事業活動計算書
資金収支計算書 車両取得支出 支払資金

車両の購入の例に関連して、「貸借対照表」「事業活動計算書」のみが反映される場合もあります。

それは、先ほどのような固定資産を購入した後、減価償却費を計上をするときです。

「貸借対照表」では、車両の価値が減少します。

「事業活動計算書」では、減価償却費が計上されます。

資金に増減はないため、「資金収支計算書」には反映がされません。

上記の動きを借方と貸方で表すと、以下のようになります。

借方 貸方
貸借対照表 車両
事業活動計算書 減価償却費
資金収支計算書

その他には「貸借対照表」だけが反映される場合があります。

事業未収金を預金や現金で回収した際や事業未払金を支払った際など、流動資産だけが増減したときです。

「事業活動計算書」に取引は反映がされず、資金の増減はないため、「資金収支計算書」にも反映はされません。

上記の動きを借方と貸方で表すと以下のようになります。

借方 貸方
貸借対照表 預金 事業未収金
事業活動計算書
資金収支計算書

上記のように様々な取引の会計をしていると、最終的に正しく連動がされているかどうかのチェックが必要となってきます。

そのために財務三表の整合性のチェックを実施していくこととなります。

基本的に確認しなければならない事項は次の4点となります。

 

①「 貸借対照表」をチェックする

「貸借対照表」の借方残高と貸方残高が一致しているかチェックをする。

 

②「事業活動計算書」と「貸借対照表」の整合性のチェックをする

「事業活動計算書」の次期繰越活動収支差額と「貸借対照表」の次期繰越活動収支差額が一致をしているかチェックをする。

 

③「資金収支計算書」と「貸借対照表」との整合性のチェックをする

「資金収支計算書」の支払資金残高と「貸借対照表」の流動資産-流動負債(1年内返済予定借入金・引当金を除く)の計算をして算出した支払資金残高が一致をしているかチェックをする。

 

④「資金収支計算書」と「事業活動計算書」の整合性のチェックをする

「資金収支計算書」と「事業活動計算書」の同一勘定科目(給食費支出、給食費など)が一致をしているかチェックをする。

「資金収支計算書」だけの科目(固定資産取得支出など)や「事業活動計算書」だけの科目(減価償却費、引当金繰入、国庫補助金等特別積立金積立額・取崩額など)があるのでその科目は除いてチェックをします。

 

上に記載したように「事業活動計算書」次期繰越活動収支差額「貸借対照表」次期繰越活動増減差額の金額は完全に一致することになります。

勘定科目の名称も金額も一致しているため、冒頭に記載したように「事業活動計算書」「貸借対照表」が連動している点について理解されている方が多くいるように感じます。

しかしながら、「資金収支計算書」「貸借対照表」は勘定科目の名称が一致しているものはなく、金額が一致する箇所もありません。

そのため、「資金収支計算書」「貸借対照表」が連動しているということがパっと見て分かりづらくなっているので「資金収支計算書」「貸借対照表」が連動していることを理解されていない方が多いと思っております。

「資金収支計算書」「貸借対照表」だけを見てすぐに判断は出来ませんが、上記のように流動資産-流動負債(1年内返済予定借入金・引当金を除く)の計算をすると金額が一致する箇所が現れてきます。

 

まとめ

今回は、社会福祉法人の財務三表の整合性をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

社会福祉法人向けの会計ソフトで日々の入力をしていると、基本的には「貸借対照表」「事業活動計算書」を作成することによって、「一取引二仕訳」の連動がされて「資金収支計算書」を作成されていきます。それは「資金収支計算書」が連動によって作成されるように設定が元々されているからです。

日々の経理業務で現金や預金の残高を合わせていたとしても、日常的ではない仕訳や、新しく作成した勘定科目の仕訳など、連動の設定をしていない勘定科目の仕訳を入力すると「資金収支計算書」「貸借対照表」と連動が反映されていないことがあります。

そのような状況に陥った時に「財務三表の整合性」がどういうものかを理解していないと、間違いに気づいて修正をすることが困難になってしまいます。

財務三表の整合性のチェックや勘定科目の連動についてアドバイスが欲しいという場合は、ぜひ川越の税理士法人サム・ライズまでご相談頂けますと幸いです。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの社会福祉法人支援について

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