簡易課税制度とは?~選択するメリットとデメリット、計算方法について~

こんにちは。川越の税理士法人サム・ライズの中西です。

会社や個人事業主の消費税を計算する際に、「簡易課税制度」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。簡易課税制度は、中小企業の実務負担の軽減を図るために設けられた制度ですが、必ずしも得ばかりとは限りません。

制度をきちんと理解しておかないと、思わぬ損失につながる可能性もあります。今回は、簡易課税制度の基本や、簡易課税制度を選択した方が有利な場合や、逆に不利になる場合について紹介していこうと思います。

簡易課税制度の概要

消費税の計算においては、課税売上に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額で納税額を計算します。簡単にいうと、預かった消費税-支払った消費税=納付する消費税となります。

ところが、簡易課税制度というものを選択した場合には、これとは違った計算方法で納付税額を計算することになります。簡易課税制度では、「支払った消費税額」を実際に支払った消費税額の代わりに、簡易的に算出した消費税額を使用して計算します。

この簡易的に算出した消費税額は、預かった消費税額に一定の割合をかけて算出するものです。一定規模以下の中小事業者にとって、日々の課税仕入れを記録し、税額を計算するのは事務負担が大きいですが、その負担を軽減しようという目的で作られた制度です。

簡易課税制度を使うと、事業者が課税仕入れを把握する手間が省け、売上に係るものだけを記録し計算すればよくなります。

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簡易課税制度が選択できるのは一定の事業者

上記の通り簡易課税制度は事務的な手間が省けるので、事業者にとっては選択したい制度の一つですが、選択するには一定の要件があります。

基準期間における課税売上高が5,000万円以下

基準期間とは、法人であれば前々事業年度、個人事業主であれば前々年をいいます。

その課税売上高が5,000万円以下であることが要件の一つです。簡易課税制度は、中小事業者の事務負担を軽減するためのものですので、このように売上規模で線引きされています。

「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している

簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税選択届出書」を所轄税務署長に提出している事が必要です。

当期が始まってから適用を受けようと思っても受けられませんので、予め来期以降の計画を立てて、提出する事が求められます。

新設法人の場合

簡易課税の適用を受けようとする課税期間が始まるまでに、届出を提出しなければならない事は分かりましたが、新設法人が簡易課税制度を選択したいときはどうすれば良いのでしょうか?

新設法人の場合は、設立日の属する課税期間中に「簡易課税制度選択届出書」を提出する事で、設立1期目から簡易課税制度を適用できます。

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簡易課税制度選択届出書の効力

簡易課税制度選択届出書を提出すると、基本的に、その適用をやめる届出を出すまではその効力は続くことになります。簡易課税の適用をやめる届出を「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」と言い、簡易課税をやめようとする課税期間が始まるまでに提出する必要があります。

提出先は、所轄税務署長です。ただし、簡易課税制度の適用を受けると、2年継続して適用した後でなければ、この不適用届出書を提出することができません。

また、簡易課税制度選択届出書を提出していても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合は、要件を満たさないので簡易課税の適用は出来ず原則課税で申告をすることになります。

そして再び基準期間の課税売上高が5,000万円以下になったときは、あらためて選択の届出を提出する必要はありません。不適用の届け出を出すまでは、簡易課税制度選択届出書の効力は生きているので、簡易課税の適用となります。

簡易課税制度の計算方法

簡易課税制度は、中小企業者の事務負担を軽減するための簡便的な計算方法ですが、具体的にはどのような計算方法になるのでしょうか?簡易課税制度では、「支払った消費税額」を計算する際、実際に支払った消費税額の代わりに、簡易的に算出した消費税額を使用して計算します。

この簡易的に算出した消費税額は、預かった消費税額に一定の割合をかけて算出するものです。この一定の割合をみなし仕入率といいます。

納付税額=預かった消費税額-「預かった消費税額×みなし仕入率」

みなし仕入率

みなし仕入率は、すべての事業者で同じという訳ではありません。その事業者が営む事業の種類によって区分されています。すべての事業を第一種から第六種までの区分し、それぞれにみなし仕入率が定められています。

第一種事業(卸売業)…90%
第二種事業(小売業、飲食料品の譲渡にかかる農業・林業・漁業)…80%
第三種事業(農業・林業・漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業)…70%
第四種事業(飲食店業などで、第一種・第二種・第三種・第五種・第六種事業に当てはまらない事業)…60%
第五種事業(運輸通信業、金融・保険業 、飲食店業以外のサービス業。第一種~第三種に該当する事業を除く)…50%
第六種事業(不動産業)…40%

この事業区分は、簡易課税制度の計算で一番重要と言って良いほど大事です。

自社がどの事業区分に該当するかで、適用するみなし仕入率が変わってきます。みなし仕入率は、控除される消費税額に直結しますので、簡易課税制度を適用するか検討する際にも重要になります。

簡易課税制度の方が有利な場合

一般的に、簡易課税制度を選択した方が有利な場合は、次のものが考えられます。

消費税対象外の経費が多い場合

支出のほとんどが人件費や、消費税対象外のものである場合、預かった消費税から控除できる仕入税額控除の額も少なくなりますので、納税額は多くなります。

そういった場合は、売上に一定の割合を乗じて控除税額を計算した方が、有利になります。

原価率が低い場合

売上に対して仕入が少ない場合も、控除できる消費税額が少ないので、売上をもとに控除税額を計算した方が有利になります。

簡易課税制度の方が不利な場合

逆に、多額の設備投資をした場合などは、簡易課税より原則課税で計算した方が有利になります。多額の設備投資がある場合、支払った消費税の額(=仕入税額控除)も大きいので、原則課税で計算すると納付する消費税額は少なくなります。

しかし簡易課税制度を適用していると、仕入税額控除は売上をもとにした金額となります。支払った消費税額が例え多額でもそれが仕入税額控除に反映されず不利となります。

簡易課税制度とは?~選択するメリットとデメリット、計算方法について~まとめ

今回は、簡易課税制度の基本や、簡易課税制度を選択した方が有利な場合や、逆に不利になる場合についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

消費税納税額の計算方法の一つとして「簡易課税制度」があります。中小事業者の事務負担を軽減するための制度で、「預かった消費税×みなし仕入率」で仕入税額控除を計算する方法です。

簡易課税制度を選択するには、

①基準期間における課税売上高が5,000万円以下
②「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出

といった要件があります。

この簡易課税制度には、事務負担の軽減というメリットだけでなく、簡易課税を選択した方が納税額が少なくなる場合があります。一般的に、消費税対象外の経費が多い場合や原価率が低い場合などは、原則課税より簡易課税の方が納税額が少なくなり有利です。

逆に、多額の設備投資がある場合は、簡易課税を選択すると不利になります。どちらが有利になるかは、事業主ごとにそれぞれ検討する必要があります。

簡易課税制度を選択すると2年継続適用が原則ですし、適用を受けようとする課税期間開始までに届け出をしなければならないので、事前に翌期以降の動向を踏まえて慎重に検討することが求められます。

消費税には細かい規定が多く、シミュレーションする必要もあるため、「簡易課税制度」を選択する際には、そもそも選択可能かどうかを含めて税理士など専門家に相談することをおすすめします。

川越の税理士法人サム・ライズでは、「簡易課税制度」についてのご相談も承っております。まずはお気軽にご相談ください

 

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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