消費税の課税事業者選択届出書とは?

こんにちは!川越の税理士法人サム・ライズの中西です。

今回は、消費税において重要論点となる届出書関係について論じていきたいと思います。

特に「課税事業者選択届出書」「簡易課税制度選択届出書」は、上手く利用すれば節税にもなる重要な届出書です。

今回は、そのうち「課税事業者選択届出書」についてまとめてみました。

消費税の届出書とは?

そもそも、消費税の届出書とは一体どんなものなのでしょうか。普段の生活ではあまり馴染みがない言葉かと思います。

消費税の届出書とは、それぞれ提出の要件に該当したときに、納税地の所轄税務署に提出するものです。

例えば、

・基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたとき→「消費税課税事業者届出書」
・免税事業者が課税事業者を選択したいとき→「消費税課税事業者選択届出書」
・簡易課税制度を選択したいとき→「消費税課税簡易課税制度選択届出書」
・課税事業者を選択していた事業者が免税事業者に戻りたいとき→「消費税課税事業者選択不適用届出書」

など、それぞれの要件によって、提出する書類が異なります。

その他にも、11個ほど届出書がありますが、それぞれの要件に該当するかチェックし、期限までに提出することが必要です。

また、選択性の届出書については、その後の課税期間に消費税額がどうなるかを予測し、提出するかどうか決定する事になります。

例えば、「課税事業者選択届出書」は、免税事業者より課税事業者になった方が有利であると判断したときに提出します。

課税事業者選択届出書とは?

正式な名称は「消費税課税事業者選択届出書」といい、免税事業者が課税事業者になりたいときに税務署に提出する届出書です。

提出期限は、課税事業者になりたい課税期間(※)の初日の前日まで、提出先は納税地の所轄税務署長です。
(※)課税期間とは、個人事業者の場合1月1日~12月31日までの1年間、法人の場合は事業年度です。(ただし特例あり)

例えば、事業年度が4月1日~3月31日の法人が「消費税課税事業者選択届出書」を出す場合の提出期限は、3月31日になります。

課税事業者と免税事業者とは?

そもそも、消費税の課税事業者、免税事業者とは何でしょうか?

課税事業者は、消費税の納税義務がある法人や個人事業主のことです。

反対に免税事業者は、消費税の納税義務がない法人や個人事業主を言います。

課税事業者になると、預かった消費税-支払った消費税の差額を計算して納税しなければなりませんが、免税事業者はそれが免除される事になります。

課税事業者と免税事業者の判定

それでは、自社が課税事業者か免税事業者かは、どのように決定されるのでしょうか?

その判定方法を見ていきましょう。

判定には大きく分けて2つの基準があります。

(1)基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうか
(2)特定期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与の支払額が1,000万円を超えるかどうか

この(1)、(2)のいずれかを満たしていれば課税事業者になります。

そして、新設法人は特別に以下の基準で判定します。

(3)事業年度開始の日の資本金の額、又は出資金の金額が、1,000万円以上であるかどうか

(1)の場合から詳しく見ていきましょう。

基準期間とは、その判定しようとする事業年度の前々事業年度の事です。

個人事業主の場合は、判定したい年の前々年になります。

その基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は、課税事業者になります。

(2)の「特定期間」とは、原則として、判定したい事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間の事です。

この期間中の課税売上高が1,000万円を超え、かつ、この期間中に支払った給与総額が1,000万円を超えた場合は、課税事業者になります。

この条件は「かつ」なので、課税売上高か給与総額どちらかが1,000万円以下の場合は、課税事業者とはなりません。

これらの(1)(2)のいずれかに該当すれば、課税事業者となります。

そして、判定する基準期間や特定期間のない新設法人の場合は(3)の基準で、資本金額が1,000万円以上の場合は課税事業者となります。

※課税売上高や給与総額は1,000万円超の場合に課税事業者となりますが、資本金判定のときは、1,000万円以上の場合課税事業者となります。
超と以上で異なるので、注意が必要です。

課税事業者を選択するメリット

ここまでで、課税事業者と免税事業者の違いや、その判定の仕方について述べてきました。

そして、「課税事業者選択届出書」を提出することで、免税事業者から課税事業者になれることもお伝えしましたが、免税事業者は消費税の納税義務が免除されますので、基本的には免税事業者のままの方が有利になります。

では、課税事業者になった方が有利な場合とは一体どんな場合があるのでしょうか。
見ていきましょう。

(1)インボイス制度の開始により、取引相手との兼ね合いで課税事業者を選択する場合

2023年にインボイス制度が始まりますが、このインボイス制度により、免税事業者が課税事業者を選択する場合が増えるのではないかと言われています。

インボイス制度が導入されると、課税事業者のインボイスに書かれている仕入税額のみ税額控除することができ、インボイスが発行できない免税事業者からの仕入れは、(段階的に)税額控除出来なくなります。

免税事業者からの仕入れが税額控除出来ないとなると、仕入先の相手として免税事業者を選ばなくなる可能性があります。

このように取引相手を失いたくない免税事業者が、課税事業者を選択する場合が考えられます。

(2)預かった消費税より支払った消費税の方が多くなる場合

消費税は納税額の計算を「預かった消費税-支払った消費税」で算出するので、預かった消費税より支払った消費税の方が大きい場合、消費税は還付されることになります。

しかし消費税の還付を受けられるのは、課税事業者のみです。

免税事業者の場合は、支払った消費税額が大きくても消費税の還付を受ける事はできません。

免税事業者は消費税の納税義務は免除されますが、物を購入する際などに支払う消費税が免除される訳ではありません。

課税事業者も免税事業者も、同じ物を購入する際に支払う金額は当然ながら同じです。

免税事業者の場合は、支払った消費税が多くてもそれを精算する事がなく、消費税の還付を受けられませんが、課税事業者になると還付を受けられます。

このように、預かった消費税<支払った消費税の状況が見込まれる場合は、課税事業者を選択した方が有利になります。

課税事業者となることで、上記メリットが得られることから、免税事業者があえて課税事業者となるという選択をすることがあるのです。

課税事業者を選択するときの注意点

課税事業者を選択した方が有利な場合を紹介しましたが、選択する際には注意点もあります。その注意点とは何でしょうか?具体的に見ていきましょう。

(1)2年継続適用

まず1つ目は、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった場合、その次の課税期間にすぐ免税事業者に戻ろうとしても出来ないという点です。

原則として、2年間は課税事業者でいなければならないのです。

この事業年度は消費税の還付になりそうだから、ピンポイントで課税事業者になるというように都合のよいときだけ課税事業者になる事は出来ません。

(2)調整対象固定資産を取得した場合は3年or4年継続適用

2つ目は、課税事業者になった課税期間と、その翌課税時間中に調整対象固定資産(※)の仕入等を行った場合には、その調整対象固定資産の仕入等を行った課税期間から3年間は、免税事業者に戻ることは出来ないという点です。

つまり、課税事業者になった課税期間に調整対象固定資産を取得した場合は3年間、課税事業者になった翌課税期間に調整対象固定資産を取得した場合は4年間、課税事業者が継続適用されるという事です。

(※)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、建物附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一取引単位の取得価額(税抜)が100万円以上のものです。

このように、課税事業者の選択にはメリットがあると同時に、注意すべき点もあるのです。

まとめ

今回は、「課税事業者選択届出書」について詳しくまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

消費税には多くの届出書があり、その中でも「課税事業者選択届出書」は節税にも利用できるもので重要な届出書です。

インボイス制度の導入により課税事業者を選択する事業者が増えることも予想され、その重要性は増す事が予想されます。

しかし、課税事業者を選択する際には継続適用など注意点もありますので、しっかりと考慮した上で提出することが重要です。消費税の届出書について何かお困りごとがありましたら、川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

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