自社の体質把握と改善のポイント~キャッシュを増やすために~

こんにちは!川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

秋のお彼岸が過ぎたころから、空がぐんと高くなりましたね。いよいよ本格的な秋の到来といったところでしょうか。これから見ごろを迎える秋桜や紅葉が、とても待ち遠しい今日この頃です。

さて、突然ですがみなさんは、会社を経営していくうえで、自社の体質がどのようになっているのか、きちんと把握できていますか?

「会社の経営に、体質なんて関係ないのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、実は私たちの身体と同じで、自身(=自社)の体質を正しく把握できてこそ、これからより良い生活(=経営)をしていくための工夫(=改善策)を見出すことができるのです。

「体質」とひと言で言っても、その内容は様々ありますから、どこをどう把握すればよいのか、見当がつかない方も多いのではないでしょうか。そこで今回のブログでは、自社の体質を把握する方法と、その体質を改善する方法について、重要なポイントを具体的にお伝えしていきたいと思います。

ぜひ最後までご一読いただき、みなさんの会社経営にお役立てください!

自社の体質“把握”のポイント

今回、みなさんに意識していただきたいポイントは、次の2点になります。

・回収支払バランス
・返済金額と利益のバランス

これら2つのポイントを把握することで、キャッシュが増える体質なのかどうか、ということが分かるのです。それでは、これら2つのポイントについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

回収支払バランスを知る

まずは、常にどれだけのキャッシュを持っていなければいけないのか、ということを知るために、自社の回収にかかる日数と、支払いにかかる日数の平均的な数値=回収支払バランスを見ていきます。

回収支払バランスについては、以前のブログ(キャッシュを増やす仕組みが分かる!~会計の基礎を分かりやすく解説します~)でも一度ご紹介しましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか?

仕入による資金の支払いと、売上による資金の回収バランスを見るための、次のような算式でしたね。

おさらいになりますが、もう一度詳しく見ていきましょう。

まずは左側です。これは、売上債権(売掛金や受取手形の合計額)を一日当たりの売上で割ることになります。つまり、一日当たりの売上の何日分の売上債権を持っているか(=回収条件)、ということが算出されます。

次に右側です。これは、仕入債務を一日当たりの仕入れで割ることになります。つまり、一日当たりの仕入れの何日分の仕入債務を持っているか(=支払条件)、ということが算出されます。なお、仕入債務および仕入高には外注費も含みますのでご注意ください。

そして最後に、売上債権の日数(=回収条件)から仕入債務の日数(=支払条件)を引くことで、最終的な指標となる日数を算出し、回収条件と支払条件のバランスを見ていきます。

この最終的な指標となる日数が
小さければ小さいほど、支払条件より回収条件の方が良く、キャッシュが増えやすい体質だということになり、逆に大きければ大きいほど、運転資金が厳しく、キャッシュが増えにくい体質だということになります。

返済金額と利益のバランスを正しく把握する

次に、返済金額と利益のバランスを見てみましょう。以前のブログでもお話したように、借入金は利益の前借りですから、その返済金は当然利益から支払っていくことになりますよね。

つまり、利益が返済金額以上に出ていないと、その返済金を返せず、さらにはキャッシュも減っていくということになるのです。

そうならないために、返済金額と利益のバランスを正しく把握しておく必要があるのですが、その前にまず次の4つのことについて、頭に入れておかなければなりません。

①毎月必要になる返済額
②毎月の固定費
③毎月必要な粗利
④毎月必要な売上

これらは、返済金額と利益のバランスを正しく把握するために必要な要素となっていきます。ひとつずつ順番に見ていきましょう。

①毎月必要になる返済額
これは現時点での金額はもちろんなのですが、例えばコロナ融資のように据え置き期間がある場合は、据え置き期間終了後に月々いくら返済することになるのか、ということもきちんと把握しておきましょう。

②毎月の固定費
ここでいう固定費というのは、販売費及び一般管理費だと思っていただいて構いません。ただし、この固定費は、一年間通してみてみると毎月じわじわと変動していますので、一年間の平均をとったり、直近3か月の平均をとったりして、会社の実態に近い数字を把握するようにしてください。

③毎月必要な粗利
ここは単純に、①の返済金額に②の固定費の金額を足したものになります。

④毎月必要な売上
これは、③の粗利の金額を、売上総利益率で割れば算出することができます。なお、原価のないサービス業のみなさんにおいては、③(毎月必要な粗利)と④(毎月必要な売上)は同じになります。

ここまでの計算で、現在あるいは据え置き期間終了後の返済金額に見合う、毎月必要な売上を知ることができました。これら4つの要素を把握したうえで、最後に、先ほど算出しました④(毎月必要な売上)と、現状の月平均売上を比較して、返済金額と利益のバランスを見ていきます。

この時、毎月必要な売上 < 現状の月平均売上というバランスになっていれば、利益から十分返済できますので、キャッシュが増えやすい体質だということになります。

逆に、毎月必要な売上 > 現状の月平均売上というバランスであれば、利益だけでは返済できませんので、キャッシュが増えにくい体質だということになるのです。

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自社の体質“改善”のポイント

さて、自社の体質をしっかりと把握したところで、ここからは体質の改善が必要な場合には、一体どうすれば良いのか、というところを考えていきたいと思います。

売上金の管理を徹底する

まずは、回収支払バランスの改善について考えてみましょう。ここでもう一度、回収支払バランスの計算式を見てみてください。

この計算式からわかるとおり、このバランスを改善するには、売掛金の回収を早めるか、あるいは買掛金の支払いを遅くするかのいずれかしかありませんよね。

けれども、そもそもの大前提で、みなさんに徹底しておいていただきたいことがあります。
それが“売掛金の管理”です。

みなさんは、月に一度でも未回収のチェックをしていますか?売掛金の管理がずさんな場合、取引相手からすると、「この会社は、支払いが少々遅れてもうるさく言ってこないから大丈夫だろう」などと思われて、優先順位を下げられてしまいます。

このまま未回収の状態が続くと、最悪の場合、不良債権となってしまうこともあるので、そうなる前に回収する手立てが必要となるのです。

売掛金・買掛金というのはもともと、取引先同士で支払条件を取り決めているわけですから、入金が無かったらすぐに連絡をする等しっかり管理をして、とにかく不良債権化させない、という日頃の努力が大事になっていきます。

また、万が一不良債権となってしまった場合でも、こまめな電話や手紙、督促状や弁護士への依頼など、絶対に諦めずにありとあらゆる手を使い、小さな努力を積み重ねれば回収できるケースも多々あります。

このように、とにかく売掛金の管理を徹底すること、そして焦げ付かないための努力を、小さなことでも日頃から積み重ねていくことがとても大事になります。

売上債権分解表を作ってみる

売掛金の管理を徹底したうえで、次にみなさんに取り組んでいただきたいのが、「売上債権分解表」を作ることです。これは、取引先ごとにどのように売掛金が残っているのかを分析するためのものなのですが、具体的には次のような表になります。

ここではD社を例にとりながら、左側の項目をひとつずつ詳しく見ていきましょう。

●年間売上高、売掛金、受取手形、不良債権

D社の決算書などをもとに、それぞれの数字を当てはめていきます。D社は、年間売上高が9千万円、売掛金残高が3千万円、受取手形と不良債権は0円となっています。

●通常債権…売掛金残高+受取手形-不良債権

売掛金残高に受取手形を足し、そこから不良債権を引いたところが通常債権となります。D社は受取手形も不良債権もありませんので、3千万円+0円-0円=3千万円が通常債権となります。

●残高日数…通常債権÷1日当たり売上(年間売上高÷365)

前項で算出した通常債権を、1日当たりの売上で割って、残高日数を出します。D社の1日当たりの売上は、9千万円÷365日=246,575円となりますので、D社の残高日数は、3千万円÷246,575円=122日となります。

●約定日数…契約による支払いサイト

約定日数とは、その会社で取り決めている日数です。D社は、毎月末締めの翌々月15日払いとなっていますので、ここには45という数字が入ります。

●改善日数…残高日数-約定日数

実際の残高日数と、会社で取り決めている日数の差を求めます。D社の場合、残高日数が122日で約定日数が45日ですから、プラス77日となります。これは、約束よりも77日分多く債権を持っていますよ、ということを表しています。

●資金改善額…改善日数×1日当たり売上

前項で算出した改善日数に、1日当たりの売上額をかけることで、どのくらいの資金が改善されるのか、ということが分かります。D社は、改善日数が77日で、1日当たり売上が246,575円ですので、資金改善額は18,986,301円となります。

つまり、D社からの入金を77日早めることができれば、18,986,301円の資金が改善される、ということが言えるのです。

なお、改善日数が大きな会社については、1年間分だけではなく、ぜひ3年間分の数字を出して、いったいどこから悪くなっているのか、というところを分析していただきたいと思います。

改善日数が大きくなってしまった原因を知ったうえで、その会社の何を改善すれば良いのか、というところを自社の中でしっかりと把握しておくことが大事になっていきます。そこまで把握できれば、あとは交渉です。

ここは、本当に小さな努力で変わっていくところですから、例えば5日間でも10日間でも早くできないかということを、とにかく諦めずに少しずつでも改善できるよう検討し、交渉してみてくださいね。

仕入債務の支払いサイトを見直す

それから、支払債務の支払いサイトも忘れずに見直しましょう。一番理想的なのは、売掛金が入金になった後に支払うというような流れです。これからご紹介する方法で、理想の流れに少しでも近づけることができないか、検討してみてください。

●支払いの約定を決める

スタートアップの会社や個人事業の方に多いのですが、その都度払いが原因で資金繰りを圧迫している、ということがあります。その場合、まずはその都度払いをやめて、会社で支払いの約定をしっかりと決め、取引先にもきちんと伝えるようにしましょう。

●締め日を前倒しする

例えば、もともと「毎月末締めの翌月15日払い」だったところを、「毎月15日締めの翌月15日払い」というように、締め日を前倒しすることで、1ヶ月のサイトを確保する、という方法です。

この方法であれば、支払日を先延ばしにするよりも、取引先に受け入れられやすいと思いませんか?なお、これらの方法でも改善できなかった部分は、銀行からの資金調達で、そのサイトの日数分の調達をしていく、ということになります。

けれども、銀行からの調達にはどうしても利息が付きますよね。ですから、無利息の調達となる“回収支払バランスの調達”をしっかりと行うことで、会社の資金繰りを良くすることができるのです。

とにかく、売掛金の入金よりも遅い支払になるような交渉を心がけてみてください。

最終手段を考えておく

ここまでは回収支払バランスの改善についてお話してきましたが、最後は“最終手段”について考えていただきたいと思います。「自分の会社にはまだまだ遠いこと」として、“最終手段”を全く考えていない方もいらっしゃるかもしれません。

けれども、もしどうしても利益が出せなかった場合に、「これでなんとかしょう!」というその手段がなければ、会社はあっという間に立ち行かなくなってしまいます。ですから、簡単には倒れない強い会社にするために、社長は必ず“最終手段”を持っておくべきだと、私たちは考えているのです。

具体的な“最終手段”としては、次のようなことがあげられます。

・固定資産売却
・リスケ
・役員報酬カット
・リストラ
・移転
・在庫処分セール
・増資   …などなど

実行するには本当につらいこともありますが、このような手段をしっかりと考えた上で、これから経営なさっていただければと思います。

まとめ

ここまで、自社の体質について、“把握”と“改善”のポイントを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?キャッシュを増やすため・強い会社にするためにはまず、自社の体質を正しく知っていることが大前提になる、と私は思っています。

自社の体質を正しく把握できれば、その体質に見合った適切な改善策へとつながり、会社も良い方向へと向かうことができるのです。ぜひ、今回のブログの内容をみなさんの会社に取り入れていただき、よりよい経営を目指していただければと思います。

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。税理士法人サム・ライズでは、経営者様の伴走者として経営改善を全力でサポートしております。経営のお悩みがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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