経営計画の正しい活用法 ~その2 課題編~ 良い会社をつくるために!

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

初夏の風に、肌も汗ばむ頃となりましたね。

いよいよ、日本ならではの「多湿」な季節がやってきます。

この「多湿」は、カビなどを誘発させるだけではなく、私たちの体調にも悪影響を及ぼすと言われています。

感染症対策とともに、みなさんどうかご自愛くださいね。

さて、前回の私のブログ
https://some-rize.jp/blog/keieishien/keieikeikaku_katsuyouhou_1/」で、経営計画の正しい活用法〈基本編〉についてお伝えしてきました。

しかし私の経験上、これらの基本をしっかり押さえていても、アクションが滞ってしまったり、なかなか思うような成果が出てこなかったり、という会社があるのも事実です。

そこで今回は〈課題編〉として、基本をしっかり押さえていても出てくる様々な課題をクリアする方法について、詳しく解説していきたいと思います。

ぜひ最後までご一読いただき、みなさんの会社経営にお役立てください!

アクションの滞りが課題の場合

まずは、自分で決めたアクションや、MAS会議での宿題などが滞っていてなかなか進まない、という場合について考えてみたいと思います。

「時間管理のマトリクス」で優先順位を明確にする

みなさんは、アクションが滞ってしまう時に次のような言い訳をしたことはありませんか?

「宿題の他にやることが多すぎる…」
「忙しくてアクションプランに取り組む暇がない…」

このようなケースでは多くの場合、今やるべきことの優先順位が不明確であるか、あるいは優先順位がそもそも認識されていない、ということが考えられます。

そのような時にぜひ、みなさんに使っていただきたいのが下図の『時間管理のマトリクス』です。

これは、スティーブン・R.コビー著の「7つの習慣-成功には原則があった!」という有名な書籍の中で紹介されていて、緊急度を横軸に、重要度を縦軸にして、4つの領域で時間管理ができるような図になっています。
ではどのような領域に分かれているのか、ひとつずつ見ていきましょう。

【第一領域】問題・課題の領域

緊急度も重要度も高く、すぐに実行しなければ大きな損失が生じる恐れがあるため、本来ここは社長が行うべき領域なのかもしれません。

ですが、社長がこの領域ばかり扱っていると、経営のことを考える余裕がなくなってしまいます。

【第二領域】質の高い領域

緊急度は低いけれど重要度は高く、将来に向けた備えになるため、会社を経営するにあたっては最も重要な、経営者が一番扱うべき領域になります。

それと同時に、日頃はなかなか意識に上がってこず、また意識はしていてもつい先延ばしにしがちな、言わば「沈黙の領域」でもあります。

しかし、例えば権限移譲をすることができる人材を育てていく等、この領域にしっかりと向き合うことで、第一領域の問題はクリアされることが多くあります。

実は、MAS会議などの宿題といったものは、間違いなく【第二領域】の問題を扱っています。

それは、「沈黙の領域」だからこそ宿題にすることで、自分だけだとなかなか重い腰を上げられないことに緊急性を付けるためなのです。

つまり、この宿題=【第二領域】に向き合う時間を持てるかどうかで、今後の結果につながると言えます。

【第三領域】見せかけの領域

緊急度は高いけれど重要度は低く、無意味だけれどやらなければならない事がこの領域に分けられます。

急な来客や電話、会議など、自分だけではなかなかコントロールしにくい事になるため、会社全体でコントロールできるような仕組みを作ることが大事になっていきます。

【第四領域】無駄な領域

緊急度も重要度も低く、楽しいだけで後には何も残らないことがこの領域に分けられます。

「あー、やっちゃったな」という自覚があったり、結構自分で認識しながらやっていたりする部分ですので、【第三領域】に比べると、自分でコントロールできる分野になります。

要するに、自分がやらなければ済む分野なのです。

ここまで、『時間管理のマトリクス』における4つの領域について解説してきましたが、みなさんも実際に、今やっていることや忙しいと思っていること等を全て、この4つの領域に分けてみましょう!

いったいどこの領域がいっぱいになっているのか、そして本当にやらなければならないことは何なのか、ということが見えてきますよ。

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資金繰り改善が課題の場合

次に、資金繰りがうまくいかずになかなか成果が出てこない、という場合について考えてみましょう。

基本的な5つの方法

資金繰り改善について考える時に、ぜひ思い出していただきたいのが【貸借対象表】と【損益計算書】です。

そして、これら2つの表をブロックごとに分解してみてください。

【貸借対照表】は「資産」「負債」「資本」の3ブロック、【損益計算書】は「費用」「収益」の2ブロック、あわせて5つのブロックで成り立っていることが分かります。

つまり、資金繰りを改善するためには、以下のように5つのブロックにアプローチするしか方法がない、ということになるのです。

【貸借対照表】
①資産をイジる方法
②負債をイジる方法
③資本をイジる方法

【損益計算書】
④費用をイジる方法
⑤収益をイジる方法

そしてさらにキャッシュを最大化するために、それぞれのブロックごとに「キャッシュ・イン系の方法」あるいは「キャッシュ・アウト系の方法」を考えていくことになります。

キャッシュを最大化する方法

では具体的に、キャッシュを最大化するためにはどのような方法があるのかというと、下の表のようになります。

早速、それぞれのブロックをひとつずつ詳しく見ていきましょう。

【資産×キャッシュ・イン系】
資産をイジってお金を得るためには、資産を売却して換金化するという方法がありますね。
また、例えば3~4か月の手形を1~2か月のものへ、あるいは手形をなくして現金にできないか等、長期に貸し付けているものを短期にすることができないか、と考えることもできます。

【資産×キャッシュ・アウト系】
こちらは前項とは逆に、資産購入の最小化を検討していくことになります。
例えば、車を一台買うにしても様々なところから相見積もりを取るとか、購入するのではなくレンタルやリースという方法はどうか、また月々の支払いを小さくすることはできないだろうか、などということになります。
このような形でキャッシュ・アウトを小さくすることによって、手元にしっかり現金を残していくことを検討します。

【負債×キャッシュ・イン系】
負債をイジってキャッシュを得るためには、新規の借り入れをするということになります。
すでにコロナ関係の融資で大きく借り入れているところもあると思いますが、それがこちらの方法になります。

【負債×キャッシュ・アウト系】
こちらは前項とは逆に、今ある負債の借入期間をもっと長くすることで、月々の返済金額を少なくすることはできないか、つまり借入返済の最小化を考えていきます。

【資本×キャッシュ・イン系】
資本をイジってお金を得るためには、資本金を増やす方法があります。
500万円を1,000万円に、1,000万円を2,000万円に等、増資をすることによって会社の中にお金をプールする、ということになります。

【資本×キャッシュ・アウト系】
こちらは、無配当にすることで資本金のキャッシュ・アウトを止める、という方法があります。
ですが、実際に行うことはなかなか無いのかな、と私は思っています。

【費用×キャッシュ・アウト系】
費用に関しては、お金を得る方法はありませんので、「キャッシュ・アウト系」のみの方法になります。
ここはひたすらコストカットを検討していくことになります。

【収益×キャッシュ・イン系】
収益に関しては前項とは逆で、「キャッシュ・イン系」のみの方法になります。
つまり、売り上げをアップさせる、という方法です。

以上、キャッシュを最大化するための方法を8つご紹介しましたが、中小企業の場合は「無配当」がないため、実際には7つの方法だと考えてください。

それぞれの具体的な方法は、今後のブログでご紹介させていただきますが、これら7つの方法の中からいかにしてキャッシュを改善できるか、ということを検討していくことになります。

みなさんの会社でも、資金繰り改善やキャッシュを最大化するために、どの項目を改善することが最優先なのか、これら7つの視点から検討してみてください。

利益改善が課題の場合

今度は、会社の黒字化がなかなか進まない、という場合について考えていきましょう。

基本的な3つの方法

会社の利益改善つまり黒字化が最優先だという場合には、基本的に以下の3つの方法が考えられます。

①売上向上(収益アップ)
②粗利率向上(原価の削減)
③コストカット(販管費の削減)

一つ目は先ほど資金繰り改善の項目でも少し触れましたが、「売上向上」です。

つまり、売上自体を上げることによって利益をアップさせるという方法です。

二つ目は、売り上げは変えずに原価を削減することで利益率を変える、「粗利率向上」です。

三つ目は、「コストカット」つまり、一般管理費等の削減になります。

利益改善のためには、以上の3つの方法しかない、ということになるのですが、重要なのはこれら3つの方法に取り組む「順番」です。

即効性のある手順を理解する

「利益改善」というと、まず売り上げを上げなくては!と①売上向上から取り組む会社が多いのですが、私は次のような「順番」で行うのが最適だと考えます。

③コストカット → ②粗利率向上 → ①売上向上
あるいは
③コストカット → ②粗利率向上 + ①売上向上

このように考える理由はずばり、「即効性」があるからです。

まず一番初めに行うべきは③コストカットです。

経費というのは削ったら削っただけすぐ利益になりますよね。

この削った分の経費を売り上げに転換してみていただきたいのです。

転換するとは何か、例えば簡単な数字を使って、実際に計算してみましょう。

コストカットする経費を売上総利益率で割ると、コストカットした経費に対応する売上というものが出ます。

なので、1,000万円の経費を削減したとして、売上総利益率が50%だったとしたら、以下のような計算になります。

1,000万円÷0.5=2,000万円

つまり、1,000万円のコストカットというのは、売り上げを2,000万円上げるのと同じだけの効果がある、ということになります。

ですから会社の黒字化のためにはまず、コストカットをとにかく徹底的に行うことです。

例え金額が小さいからといっても、一度コストカットすると、そこから先も出血が止まり、利益が出ていくことになりますので、決して馬鹿にせずに見直しましょう!

そして次に行うのが②粗利率向上です。

粗利率を向上させるためには、仕入れ先や外注先への交渉が必要で、交渉によっては取引がスムーズにいくよう慎重に進める必要があるため、①コストカットに比べるとどうしても時間がかかります。

それから最後に行う①売上向上にあっては、もちろん取り組んでいかなければならないのですが、効果が現れるかどうか不透明ですよね。

即効性が無い上に、不確実性がとても高いのです。

さらには、売り上げを上げるための先行投資として結構コストがかかるケースが多くあります。

以上のような「即効性のある手順」は、家庭に置き換えると分かりやすいかもしれません。

例えば家計が苦しい時に、「よし!来月から収入を増やすぞ!」とはなかなかいかないと思います。

家計が苦しい時はまず、「お金を使わないようにしよう!」と支出を抑えますよね。

会社も同じで、まずはコストカットに取り組み、次に粗利率向上や売上向上に取り組むようにしてください。

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どれもうまくいっている場合

最後に、アクションの実行も資金繰りも黒字化も、どれもうまくいっているけれど、結果が納得のいくものではない、という場合を考えてみましょう。

長期ビジョンの検証

ここはやはり基本に戻って、経営理念に沿った長期ビジョンの検証をする必要があると思います。

先日、ソフトバンクが4兆9,000億円の過去最高利益を出した、というニュースがありましたよね。

その中で孫さんが「これくらいで満足する男ではない!」とおっしゃっていましたが、あれだけ会社が大きくなっても「まだまだ!」と思われるのは、やはり経営理念に沿った長期ビジョンというものが明確にあるからだろう、と思います。

どんなにうまくいっていても、その理念とビジョンが明確であれば、必ずそこに向かうための課題があるはずです。

そのためどこまで行っても課題があり、それを乗り越えることでさらに拡大と成長があるのです。

みなさんももう一度基本に戻って、「その事業を通じて何を成し遂げたいのか」という理念と、長期的なビジョン、世の中に与えていくインパクトは何なのかというところをもう一度検証し、会社をさらに伸ばしていっていただきたいと思います。

まとめ

ここまで、2回のブログにわたって「経営計画の正しい活用法」についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

みなさんが作った経営計画を「絵に描いた餅」にしてしまわないよう、自社の一番の課題をしっかりつかんだ上で、より真剣に活用していただきたいと思います。
そして、より良い会社・より強い会社にしていきましょう!

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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