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無申告で税務調査が入ったらどうなる?立ち合いを税理士に依頼すべきか、メリットを解説。
目次
日本の税金は、納税者が自分で納めるべき金額を計算して納税する「申告納税制度」が原則です。
無申告行為は、このような制度を根底から揺るがすものなので、国税当局は厳しく対処すると宣言しています。
本記事では、無申告で税務調査が入ったらどうなるのかを解説し、その場合税理士に立ち合いを依頼すべき理由についても説明します。
確定申告をしない(無申告)場合どうなるのか、より詳細を知りたい方は以下の記事もご覧ください。
国税庁が考えている「無申告者は犯罪」という認識
申告納税制度のもとにおいて、税金を納めるべき納税者が自主的に申告することが大前提で、国税当局から見ればルールを守らないと犯罪者というくらいの認識でいます。
では、そんなルールがあるにも関わらず無申告で摘発される事例が後を絶たないのはどこに問題があるのでしょうか。
まずはこの点について考察しながら、無申告で税務調査を受けたときの恐ろしいほどのリスクについて考えてみます。
申告納税制度と性善説の限界
かなり昔の話になりますが、1947年(昭和22年)までは税務官署が所得を査定し、税額を告知するという賦課課税制度が採られていました。
つまり以前は役人が「お前、これだけ税金を払え!」という制度だったのですが、「税制の民主化」という名のもとに所得税、法人税、相続税の三税が申告納税制度へ移行したという経緯があります。
国家権力の弱体化を図った制度といえますが、この申告納税制度が成り立つためには「利益を上げた個人・法人」が自主的に申告・納税をするという性善説が基本となります。
ところが世の中に無申告や脱税が多いのは、この性善説による申告納税制度が限界に来ている証なのかもしれません。
無申告者の摘発事例
無申告の人には大きく分けて2種類のパターンがあり、一つは昔から一定数存在する「税金を払いたくない」という確信犯です。
このような人は国税当局からすれば親の仇のような存在で、重大な脱税では「マルサ(国税査察部)」が査察に入ることになります。
そのような悪人とは別に最近多くなっているのが、タックスリテラシーが低すぎる人で下手をすれば「納税の義務」を知らないようなケースも見受けられます。
例えばYouTubeで収入を得ている、いわゆるユーチューバーが無申告で税務調査を受けた以下のようなケースが典型例です。
「関係者によると、動画をユーチューブに投稿し、その報酬などとして約3600万円を得ていた男性が、確定申告をしていなかったとして、関東信越国税局の税務調査を受けた。重加算税を含む約700万円を追徴課税されたという。
男性はかつて会社員だった。当初、国税局に対して「確定申告が必要なことを知らなかった」という趣旨の説明をしていたという。」
税を知っている立場から見ると、確定申告が必要なことを知らなかったという言い訳は、殺人を犯した人間が「人を殺してはいけないことを知らなかった」と言うようなものです。
裏金で私服を肥やす政治家には憤りを覚えますが、少なくとも”それはそれ”だということを知っておきましょう。
もし無申告で税務調査を受けたときのリスク
一般的な税務調査では、過去3年分にさかのぼって調査されることになるのですが、国税当局が「悪質」だと判断する無申告の場合はさらに遡って調査される可能性が高くなります。
それは国税当局からすれば無申告者は「犯罪者」同様な存在であるためで、最低でも過去5年分調べられる覚悟が必要です。
もし調査の結果、悪質な所得隠しがあると認定されると更に長い過去7年分の収支を調べられるので、ある意味で無申告なのに調査がないのは国税当局に「泳がされている」と思うべきでしょう。
つまり、無申告者は税務調査で最大限に税を取られる覚悟をしなければなりません。
国税庁はありとあらゆる資料を収集しています
一昔前であれば申告をしていない所得を把握することは困難なことでしたし、税務署も紙ベースの「資料せん」という情報収集をしていました。
ところが最近はあらゆる資料がデジタル化され、特に支払者(ウーバーイーツやGoogle)から情報を得ています。
そう考えるとバレないわけがないのが自明で、今後はより一層無申告で見逃されることは減ることは確実です。
税務調査の流れと対策を考えよう
普通に暮らしていれば経験することがないはずの税務調査ですが、副業で大きな収入を得ている場合などは会社員であっても可能性があります。
そこで、本業か副業かに関わらず税務調査の連絡がきたときの対処方法について、可能な限り被害を減らすという視点で考えてみましょう。
税務調査の種類と拒否できるのかについて
税務調査の種類には大きく分けて「強制捜査」と「任意調査」の2種類があり、強制調査はマルサが行うことが一般的です。
では、任意調査だからといって断ることができるかといえば、その答えは「できない」といえます。
何故かといえば、国税庁の職員には必要に応じて、納税義務者に対して質問・検査等ができる質問検査権が与えられていて、それに正当な理由もなく応えなければ1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになります。
つまり「任意」と言いながらも、実際には強制に限りなく近いものだと理解しておきましょう。
相手の弱いところを平然とついてくる税務調査
税務調査を実施する国税調査官は、調査対象から税金を搾り取るプロで、相手が隠したいことなど全てお見通しです。
本来は公正な立場で調査を行うべき立場なのですが、彼らも人なので相手が素人だと侮ると平然と誘導尋問のようなことや、相手を脅かすような言動をとります。
ある事例では、調査開始早々に「もし不適切な点があったら重加算税の対象になりますよ」なんていう、「お前の発言が不適切だろ」ということもありました。
この時には立ち会った税理士(税務署上がり)が、「そのような納税者を脅すような言動は止めろ」と一喝して収まったのですが、税に不慣れな一般人には無理でしょう。
税務署の調査官は基本的に「強気に媚び、弱気を挫く存在」だと思っておくべきです。
最悪の場合重加算税で利益は吹き飛ぶ?
もし無申告で得られた利益があったとしても、税務調査を受け追徴課税されたら利益が吹き飛んでしまうほどの損実を被ります。
無申告で税務調査を受け、これが故意の「仮装・隠ぺい」によるものと判断された場合は、本来受ける加算税の代わりにさらに税率の重い重加算税が課されることが確実です。
相手は「毟り取るプロ」なので、無申告であることの非を徹底的に問い詰め、貴方を犯罪者かのように攻めたてるでしょう。
そこで貴方が「悪かったかも」と思えば重加算税が確定するので、プロを相手にすることは気を付けなければなりません。
最悪の事態を避けるために税理士の力を借りましょう
無申告で税務調査を受けることは大きなリスクですが、いざ調査依頼を受けた場合にそこから税理士を探すべきなのでしょうか。
結論からいうと「探すべき」で、少なくとも調査官の言いなりになるリスクは回避できます。
税務調査を受けるときの注意点は「言いなりにならない」ことで、その一点だけでも税理士に依頼する効果はあります。
まとめ
原則的な話をするなら、無申告で税務調査を受けることは異常事態だといえ、そうなる前に税理士に相談することが重要です。
もちろん多額になる追徴課税を納得しているなら敢えて言いませんが、リスク回避のためにはお得かつ安く税理士を利用しましょう。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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