税務調査への準備と対応法、注意すべきポイント
目次
税務調査は以下のような流れで行われます。
税務調査の流れ
- 税務署から事前通知が来る
- 税務調査実施日を調整する
- 帳簿や書類を準備する
- 税務調査が実施される
- 税務署から指摘されたことに回答する
- 税務調査の結果が通知される
税務調査の流れについてより詳細に知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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ここでは、
- 税務調査前日までの対応(準備しておくべきこと)
- 税務調査当日の対応
- 税務調査後の対応
- 税務調査で気をつけるべきポイント
上記4つについて解説していきます。
1.税務調査前日までの対応(準備しておくべきこと)
税務調査では、事前に連絡があってから実際に行われるまで、通常10日から2週間ぐらいの余裕があることが一般的です。
過去3年分の申告内容を調べられることが多いため、できる限り整理しましょう。
税務調査で何年分調べられるかについては、以下の記事で解説しています。
税務調査前日までにしておくべき対応(準備)は、以下のとおりです。
税務調査前日までにしておくべき対応(準備) 一覧
- 税務調査で調べられる資料やデータを整理する
- 対応する責任者を部署ごとに決めておく
- 各部署が連携をとれる体制を作る
- 部門ごとに取引実績など事実関係を把握しておく
以下より、税務調査で調べられる資料やデータについて詳細を説明します。
税務調査で調べられる資料やデータ一覧
税務調査では、以下のような資料やデータを調べられます。
税務調査で調べられる資料やデータ一覧
- 申告書類(所得税申告書・消費税申告書・決算書・内訳書 など)
- 帳簿書類(現金出納帳・売上帳・仕入帳)・総勘定元帳 など)
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 預金通帳
- パソコンやサーバーに保存されているデータ
1.申告書類
税務署は提出された法人税申告書または所得税申告書、消費税申告書、決算書、内訳書、概況書などを精査します。
書類を調査されて不明点や不審な点がある場合には、追加資料の提出を求められることがあります。
2.帳簿書類
帳簿書類とは企業や個人事業主の経営活動に関わる書類のことで、現金出納帳、売上帳、仕入帳、経費帳及び総勘定元帳などが該当します。
帳簿書類に記載された取引が実際の事業活動と一致しているかどうかも確認されるため、さらに詳細な調査が行われることがあります。
3.領収書
領収書は事業に関連する支出を証明する重要な書類であるため、領収書が適切に保管されて、かつ申告書類の内容と一致しているか確認されます。
領収書は全部見られるのか?
領収書は、
基本的にはすべてチェックされ、支払い先や金額、日付など細かく調べられます。
経費として計上できるものか、記載ミスや架空請求などの不正がないかも含め、調査官は領収書を全部確認するのです。
4.請求書
請求書は取引内容を証明する重要な書類なため、請求書の内容が実際の取引と一致しているか詳細に確認されます。
事実と異なる金額の請求書が発覚した場合は、税務署から不正申告として指摘を受ける可能性があり、請求書が適切に保管されていない場合は経費として認められません。
5.契約書
契約書も取引内容を証明する重要な書類なため、取引の内容や条件が明確に記載された契約書が適切に作成されているか確認されます。
契約書の内容と帳簿や請求書の内容が一致していること、かつ正確に税務処理されているか厳密に調査されます。
6.預金通帳
預金通帳は、企業や個人の収支が確認できる重要な資料なため、預金通帳の取引履歴を詳細に確認して、申告書類に記載された内容と一致しているか厳密に調べられます。
預金通帳に記載された入出金の金額が帳簿に正確に反映されているか、取引自体が事業に関連しているかなどが確認されます。
7.パソコンやサーバーに保存されているデータ
帳簿や取引の記録、電子メールのやり取り、契約書や領収書などが保管されている場合も多く、近年、電子契約の導入も増加しているため、パソコンやサーバーに保存されているデータも調査されることがあります。
電子データは、紙の書類に比べて改ざんや消去が容易であるため、隠ぺいや改ざんがされていないか厳しくチェックされます。
2.税務調査当日の対応
税務調査当日は、以下の流れで対応しましょう。
- 調査官の身分証明書を確認する
- どんな目的で、何の調査なのかを確認する
- 調査に必要なヒアリングや書類の開示請求に対して誠実に対応する
以下より詳しく説明していきます。
1:調査官の身分証明書を確認する
調査官は、税務調査を行う際には身分証明書を携帯し、かつ求められれば提示することが税法によって義務付けられています。
したがって、調査官の身分証明書を確認することから始めます。
2:どんな目的で、何の調査なのかを確認する
税務調査には大きく分けて、以下の3つの目的があります。
税務調査の3つの目的
- 申告所得額や税額の修正をすること、申告がない場合に所得額や税額を決定するなどの課税処分を行うこと
- 税金における滞納があった場合に徴税すること
- 国税についての犯則(脱税等)が疑われる場合に国税犯則調査を行うこと
目的によって、提示しなければならない書類等が変わりますので、なんの目的の調査なのかを確認しましょう。
3:調査に必要なヒアリングや書類の開示請求に対して誠実に対応する
税務調査では、必要書類の開示や会社の概要説明が求められるので、誠実に対応しましょう。
調査官と会話をする際に、注意しておくべきポイントを以下にまとめました。
調査官との会話で注意しておくべきポイント 一覧
- 聞かれてもいないことを話さない
- 同業他社の批判はしない(噂話なども)
- 一貫性のある話をする(つじつまが合わないことにならないように)
- 細かい調査をするといわれている女性調査官に注意する
- あらかじめ決めた話から逸脱しないように心がける
調査官は不正に繋がる情報がないかどうか、目を光らせています。
そのため、不用意に話しすぎないよう注意しましょう。
3.税務調査後の対応
当日の調査が終われば税務調査が終わるわけではありません。
当日の調査を踏まえて、後日、税務署から指摘や質問が来たり、追加で資料の提出が求められたりすることがあるので、誠実に対応しましょう。
調査結果が出るまで1ヶ月以上かかるのが一般的です。
4. 税務調査で気を付けるべき4つのポイント
税務調査で気をつけるべきポイントは、以下のとおりです。
税務調査で気をつけるべき4つのポイント
- 調査官と話しだした時から調査は始まっているので、言動に注意する
- 書類は事前にコピーしておく
- 曖昧な回答はしない
- 信頼できる税理士を見つけておく
以下から詳しく説明していきます。
ポイント①:調査官と話しだした時から調査は始まっているので、言動に注意する
税務調査がはじまる前に雑談が行われることがありますが、疑わしいことがないか、経営者はどんな性格をしているかなど調査官はすでに調査を始めています。
そのため、疑わしいと受け取られるような回答はなるべく避け、余計なことは口にしないことをおすすめします。
ポイント②:書類は事前にコピーしておく
税務調査では必要な書類は調査官がコピーして持ち帰りますが、状況によっては原本自体が税務署預かりになることもあります。
紛失すると困る書類は事前にコピーしておくことをおすすめします。
ポイント③:曖昧な回答はしない
税務調査では、ずいぶん前のことを聞かれる場合もありますが、記憶が曖昧なまま回答することはやめましょう。
曖昧な回答をすると、かえって疑われて指摘される可能性があるため、後日調べて正確な回答をすることをおすすめします。
ポイント④:信頼できる税理士を見つけておく
税務調査に入られる機会は少ないため、「正しく質問に答えられるのか」や、「何か見落としている点はないか」など、不安になる人が多いでしょう。
将来的な税務調査に不安がある方は、信頼できる税理士を見つけておくことをおすすめします。
顧問税理士がいれば、税務調査前の準備だけでなく、税務調査当日の立ち会いや税務調査後の対応も可能です。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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