税務調査は何をどこまで何年分調べられるのか?|個人事業主と法人に分けて指摘されやすい事項について解説
目次
本記事は税務調査について、「どこまで調べられるのか」を簡潔に示した後に、「税務署にどんなことを指摘されるのか」を個人と法人で分けて解説しています。
以下の記事では、「税務調査」について、一般的にまず知りたいと思う事項を網羅的に解説していますので、あわせてご覧ください。
1.税務調査はどこまで調べられるのか
税務調査では、
基本的に、「お金に関わることは全て3年分」調べられます。
具体的には、
- 申告書類、帳簿書類
- その原始記録である領収書・請求書・通帳等
について、本棚からパソコン内のデータまで全て確認して探します。
また、全て「税金」が調査の対象です。例えば、主要なものでいえば、
- 所得税
- 法人税
- 消費税
- 贈与税
- 印紙税 等々
になります。
何年分まで調べられる?|基本的に3年分
<税務調査で調べられる年数 図>

税務調査の対象期間は、直近の3年間が一般的です。
ただし、脱税等が疑われるケースによっては7年分の調査が行われることもあります。
税務調査では何年分まで調べられるのかについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
調べられる書類は?|お金に関わる全ての資料
税務調査では、具体的に以下のような書類が調べられます。
- 申告書類(所得税申告書または法人税申告書・消費税申告書・決算書・内訳書 など)
- 帳簿書類(現金出納帳・売上帳・仕入帳)・総勘定元帳 など)
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 預金通帳
- 不動産登記簿謄本
- パソコンやスマホ、サーバーに保存されている売上データ など
調査される側に拒否権はありますが、パソコンの中身はもちろん、場合によっては金庫の中も額縁の裏側までもチェックされます。
税務調査で必要な書類について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2.税務署はどこまで指摘してくるのか
税務署から指摘される内容について、個人事業主と法人に分けて、対策とともに解説します。
項目 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
売上 | 計上漏れがないか | 入金口座は適切に管理する。 現金取引を極力減らす。 |
期ズレしていないか | 月末前に、期ずれしそうな案件がないか確認する。 | |
原価 | 適切に棚卸されているか | 在庫リストを作成し、在庫の管理をする。 |
当期の売り上げに対応しているか | 売上計上の基準を徹底的に確認する。 | |
経費 | 公私混同していないか | 経費として計上するものの明確なルールを決める。 |
消費税 | 適切に申告しているか | 売上を意図的に分割しない。 |
適切な区分か | 取引毎に課税区分を明確に判断する。 難しければ税理士に依頼する。 |
|
期限を過ぎた届出書はないか | 提出期限を一覧化しておく。 | |
源泉所得税 | 適切に処理できているか | 支払内容と対象者を正確に分類・整理しておく。 |
印紙税 | 収入印紙は適切に貼付されているか | 課税対象になるものを正しく判断する。 電子契約を導入する。 |
その他 | 資産計上は適切にされているか | 購入段階で資産区分かどうかをチェックする。 取得日・取得金額・耐用年数・償却方法などを正確に記録する。 |
詳しくは「2-1.個人事業主、法人共通で指摘されやすい項目」をご覧ください。
項目 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
売上 | 自家消費していないか | 会社資産の使用は全て記録する。 |
経費 | 事業割合は適切か | 事業と私用の区別を明確にする。私用割合が高いものでも、「全額経費」にはしない。 |
専従者給与は適切か | 他の従業員や外注と比較して、著しく高額にしない。仕事内容と見合わない給与にはしない。 |
詳しくは「2-2.個人事業主が指摘されやすい内容」をご覧ください。
項目 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
経費 | 役員報酬や役員賞与は適切か | 金額や支払日を事前に決定し、正確に支給する。 |
役員貸付金は適切に処理されているか | 貸付日・返済方法・利息等を示した計画書を必ず作成する。 基本的に役員貸付金は0円する。 |
|
日当の計上は適切に処理されているか | 旅費規程を作成し、社会通念上、高額でない日当金額を設定する。 |
詳しくは「2-3.法人が指摘されやすい内容」をご覧ください。
2-1.個人事業主、法人共通で指摘されやすい項目
個人事業主、法人に共通で指摘されやすい項目を内容ごとに解説します。
【売上①】計上漏れがないか
売上については、まず計上漏れがないか確認されます。
現金取引が多い業種の場合は、細かくチェックされることがあるでしょう。
また、別口座に入金させて売り上げをごまかしていないかも疑われます。
- 入金口座は適切に管理しましょう。
- 現金取引を、できる限り減らすことも有効です。
【売上②】期ズレしていないか
売上については、期ズレしていないかも確認されます。
売上の計上時期は、請求書で売上が確定したときに計上することが一般的です。
- 月末3 〜 5営業日前に、期ずれしそうな案件がないか確認しましょう。
【原価①】適切に棚卸されているか
商品等を販売する業種については、適切に棚卸されているか確認されます。
「税法に則した基準で棚卸されているか」在庫チェックが行われるのです。
- 在庫リストを作成し、在庫の管理をしましょう。
【原価②】当期の売り上げに対応しているか
原価については、当期の売り上げに対応しているかも確認されます。
誤りを指摘されると「重加算税」という重いペナルティーが科されます。
税務調査後も、再度調査される確率が高くなるため、当期の売り上げに対応しているかしっかりと確認しましょう。
- 売上計上の基準を徹底的に確認しましょう。
【経費①】公私混同していないか
経費については、私的なプライペートのものが計上されていないか確認されます。
事業と無関係のものは当然認められないため、細かく確認されることもあります。
経費として認めてもらえるものに関しては、税理士に確認しておきましょう。
- 明確なルールを決め、誰が見ても「業務上必要である」と認められる経費だけを通しましょう。
【消費税①】適切に申告しているか
消費税は、売上高1,000万円を超えると課税対象となるため、
売上高が1,000万円を超えていない場合は、1,000万円を超えないように調整がされていないか疑われます。
また、「課税事業者選択届出書」を提出している場合は、売上高に関係なく必ず申告と納税が必要となります。
- 売上を意図的に分割しないようにしましょう。
【消費税②】適切な区分か
「受け取った消費税」と「支払った消費税」それぞれで適切な区分で処理されているかも確認されます。
消費税を受取った場合は、消費税が発生する取引のみを「課税売上」として処理することが一般的です。
支払った消費税は、「課税仕入」として処理します。
- 取引毎に課税区分を明確に判断し、正しく記録しましょう。
- 課税区分の判断が難しければ税理士に依頼しましょう。
【消費税③】期限を過ぎた届出書はないか
消費税の届出書の提出期限は、適用を受けようとする課税期間が始まる前日までです。
一般的な申告や納付の期限とは異なるため、注意が必要です。
消費税の届出書が期限を過ぎていること指摘された場合は、修正申告が必要となる可能性があります。
- 提出期限は一覧化しておきましょう。
【源泉所得税①】適切に処理できているか
給与だけでなく、士業や業務委託者に対しても源泉徴収されているか確認されます。
また、期限内に源泉所得税が納付されているかの確認もされます。
期限を過ぎた場合は、延滞税とは別に不納付加算税も発生するので注意しましょう。
参考: 源泉所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁
- 支払内容と対象者を正確に分類・整理しておきましょう。
【印紙税①】収入印紙は適切に貼付されているか
印紙税法における「課税文書」に該当する契約書などに収入印紙が適切に貼付されているか確認されることがあります。
印紙税については軽微な調査が多いですが、収入印紙の貼付が必要な課税文書の取り扱いが多い業種に関しては、細かくチェックされることもあるでしょう。
- 文書の種類と課税対象になるものを正しく判断しましょう。
- 電子契約は印紙税が不要になるため、電子契約を導入するのも有効です。
【その他①】資産計上は適切にされているか
その他の項目として、車や設備、10万円以上の消耗品などの資産を購入した際に、一括で経費計上をしていないか確認されます。
また、資産計上している資産が適切に減価償却されているかも確認されます。
- 購入段階で資産区分かどうかをチェックしましょう。
- 固定資産管理台帳に、取得日・取得金額・耐用年数・償却方法などを正確に記録しておきましょう。
2-2.個人事業主が指摘されやすい項目
個人事業主が指摘されやすい項目は、以下のとおりです。
【売上①】自家消費していないか
個人事業主は売上として、まず自家消費していないか確認されます。
自家消費とは、事業用に使用していたものを家事のために消費または使用することです。
定価を売上として計上することが一般的ですが、「商品の取得金額」もしくは「販売価格の70%以上」のどちらか高い金額で計上することも可能です。
- 会社資産の使用は全て記録しましょう。
【経費①】事業割合は適切か
自宅で個人事業を営んでいる場合は、家賃や水道光熱費の事業割合が適切か確認されます。
家賃は事務所として利用している面積割合、水道光熱費は事務所として利用している時間を算出しましょう。
- 事業と私用の区別を明確にしましょう。
- 私用割合が高いものでも、「全額経費」にするのはやめましょう。
【経費②】専従者給与は適切か
家族や親族に給与を支払っている個人事業主は、専従者給与は適切かも確認されます。
専従者給与としての要件を満たし、かつ届け出が必要です。
- 他の従業員や外注と比較して、著しく高額にするのはやめましょう。
- 仕事内容と見合わない給与にしないようにしましょう。
2-3.法人が指摘されやすい項目
法人が指摘されやすい項目は、以下のとおりです。
【経費①】役員報酬や役員賞与は適切か
法人は個人事業主と違い、役員報酬がありますが、
役員報酬は設定の自由度が高く、故意に税金を減少させている可能性があるため、厳しくチェックされます。
定期同額給与を遵守しているか、事前に届出がない役員への事前確定届出給与がないかを確認されます。
参照: No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
- 金額や支払日を事前に決定し、その通り正確に支給しましょう。
【経費②】役員貸付金は適切に処理されているか
法人では、「役員貸付金」が適切に処理されているかも確認されます。
役員が私用で購入しているものを、「役員貸付金」として帳簿に計上されているケースがあるからです。
「役員貸付金」は役員への賞与を疑われる場合があり、賞与と指摘された場合は、多額の税額が発生する可能性があります。
- 貸付日・返済方法・利息等を示した計画書を必ず作成しましょう。
- 基本的に役員貸付金は0円にしましょう。
【経費③】日当の計上は適切に処理されているか
法人では、日当の計上は適切に処理されているかも確認されます。
日当とは、出張など規定の業務に対して、給与とは別に支給される1日単位の手当のことです。
- 旅費規程を作成して、社会通念上、高額でない日当金額を設定しましょう。
3.税務調査の流れ
税務調査が行われる流れは、以下のとおりです。
<税務調査の流れ 図>

税務調査は、事前に税務署から電話で通知されることがほとんどで、税務調査が行われる1~2週間前に連絡があることが一般的です。
税務調査自体は、2日間に渡って行われることが多いです。
税務調査の流れについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
税務調査に対する不安を解消するために、普段から適切に経理を処理して税務調査に備えませんか?
「税理士顧問サービス」を活用いただければ、税務調査の不安を私たちが払拭します。
【総合編】「税務調査」 まとめ記事
【総合編】「税務調査」 おすすめ記事
- 税務調査は何をどこまで何年分調べられるのか?|個人事業主と法人に分けて指摘されやすい事項について解説
- 【簡単解説】税務調査の「流れ」と「スムーズに進める為のポイント」
- 【2025年度版】税務調査が来る「確率」は約1〜2%!「個人」「法人」別に確率を解説|「時期・頻度」「来やすい人」も併せて説明
- 【2025年度版】税務調査はいつ来る?「時期・頻度」を個人・法人別に解説|「来やすい人」「確率」等も併せて説明
- 【簡単解説】税務調査の準備、必要資料、聞かれやすい内容について|個人・法人併せて解説
- 税務調査は通常3年分遡って調べる|5年・7年になる条件、書類の保存期間についても言及
- 税務調査に税理士が立ち会う「費用相場」と「意義・メリット」について||立ち合い立ち会いに強い税理士の選び方も解説
- 税務調査が入っても安心できる顧問税理士とは?
【個人事業主編】「税務調査」 おすすめ記事
- 【個人事業主向け】税務調査とは?入る「確率」や入られやすい「特徴」「時期・頻度」等を解説
- 税務調査に入られやすい「個人事業主」の特徴5つ|調査が入る「確率」「時期・頻度」、税務調査が入ると「どうなるか」も併せて解説
【法人編】「税務調査」 おすすめ記事
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。