なぜ「税務調査で人生終わり」と言われるのか?|主にフリーランスの方向けに、終わりになる理由や予防策について解説
目次
本記事は、主にフリーランス・個人事業主の方を念頭において、「税務調査が入ると人生終わり」と言われる理由や事例、その予防策について解説しています。
ずばり、
税務調査が入って何らかの指摘が入っても、ほとんどの場合は「是正」と「納税」で済みます。
悪質な脱税などをしていなければ、「人生が終わる」わけではありません。
以下の記事では、「税務調査」について、「個人事業主」の方が、一般的にまず知りたいと思う事項を網羅的に解説していますので、あわせてご覧ください。
1. 税務調査で「人生終わり」と言われる理由
税務調査が入ると「人生が終わる」と言われている理由は、主に以下の2つです。
①申告ミスが発覚し多額の請求がきて破産する可能性があるから
②「申告ミス=脱税」という社会的評価が低下するイメージがあるから
以下より詳しく説明していきます。
理由①:申告ミスが発覚し多額の請求がきて破産する可能性があるから
税務調査で申告内容の誤りや不正を指摘された場合は、
申告内容の不足分を「追徴課税」として請求されます。
申告内容の不足が多ければ、数百万円〜数千万円を請求される場合があります。
追徴課税=「本来納めるべき税金」+「ペナルティ」です。
未納の税金に加えて、最大で「未納の税金の70%+延滞税」を支払わなければならないため、大きな額を請求される可能性があります。
逆に言うと、正しい申告をしていれば、そこまで大きな額を請求されることはありません。
また、仮に大きな額を請求されても、交渉次第では分割納付も可能です。
追徴課税等のペナルティについては、以下の記事で詳しく解説しています。
理由②:「申告ミス=脱税」という社会的評価が低下するイメージがあるから
単なる申告ミスであれば、「追徴課税」に留まり、脱税にはなりません。
ただし、意図的な隠蔽や仮装だと判断された場合は、脱税になる可能性があります。
脱税となるのは、以下のような場合です。
犯罪となる ケース |
詳細 |
---|---|
架空計上 | 架空の経費を作ることで控除額を増やし、納税額を少なくする。 |
二重帳簿 | 売り上げや経費の一部を隠すために、意図的に帳簿を2つ作成する。 |
預金・売り上げの隠蔽 | 現金売り上げを申告しなかったり、事業の売り上げを事業用口座ではなく、自分や家族の個人口座で受け取ったりして利益を隠蔽する。 |
上記のように、悪質な隠蔽行為が認められた場合は、脱税となり、重いペナルティ(重加算税)を受けることになります。
しかし実際の税務調査の多くは、単なる確認や修正申告の指導で終わるので、社会的評価の低下も限定的です。
2. 税務調査で「人生が終わった」人の事例
実際に「人生が終わった」と言える人は、以下のような悪質なケースです。
- 隠蔽工作が悪質と判断され、刑事責任を問われた
- 多額の売上を隠蔽し、膨大な金額の申告漏れがあった
- 長期間にわたり、多額の架空経費を計上し続けた
上記のような悪質なケースでは、刑事告発・逮捕される ため、「人生が終わった」と言えるでしょう。
現実的な税務調査では、修正申告で解決するのが一般的です。
また、税理士の適切なサポートによって、過度なペナルティは回避できます。
税理士法人サム・ライズでは、税務調査当日の立ち会いサービスも承っております。
弊社の税理士が立ち会い、最高で2,650万円分、納める税金を減少させたことも。
ぜひ一度ご相談ください。
3. 税務調査で「人生終わり」にしないための予防策・対策
税務調査で人生を終わらせないためには、正しく申告することが何よりも大切です。
正しく申告していれば、税務調査が入ったとしても焦らずに済みますし、調査官にも疑われにくくなります。以下の予防策・対策を行いましょう。
予防策①:売り上げ管理を徹底する
予防策②:プライベートと事業を区別し、経費を公私混同しない
予防策③:各種税金のルールを守る
予防策④:専門家の力を借りる
以下より詳しく解説します。
予防策①:売り上げ管理を徹底する
売り上げの計上漏れは、税務調査でよく指摘されるポイントです。
入金口座を一本化にしたり、現金取引を極力減らすなどして、売り上げの流れを「透明化」すると、不正を疑われにくくなります。
また、月末前に案件の期ズレがないかもチェックし、計上漏れを防ぎましょう。
予防策②:プライベートと事業を区別し、経費を公私混同しない
経費を公私混同していると、「経費を水増しするために意図的にやっているのではないか」と疑われてしまいます。
何をどこまで経費にするのか、あらかじめルールを決めておくと良いでしょう。
フリーランスの方で自宅が仕事場の人は、家賃や光熱費、通信費など、事業で使用した割合を明確にして適切に按分しておくと、疑われにくくなります。
予防策③:各種税金のルールを守る
消費税の課税区分や、源泉所得税、届出書の期限などは、うっかり漏れやミスをしてしまいやすい部分です。
しかし、全て「法律で明確にルールが決まっている」ものであり、故意でなくても税務調査では指摘されてしまいます。
正しく処理をしていれば、「申告する姿勢が誠実である」と判断され、税務調査で指摘を受けにくくなります。
予防策④:専門家の力を借りる
税務のルールは複雑です。
自分一人で完全に正しく判断するのは難しいでしょう。
税理士に書類を定期的にチェックしてもらえば、誤りをすぐに修正できますし、税務調査が入った時にも調査官とのやりとりも進めてくれます。
税務調査の「対策」についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
4.フリーランス(個人事業主)が知っておきたい「税務調査の基本知識」
フリーランス(個人事業主)であっても、税務調査は入ります。
税務調査とは、国税局や税務署によって、納税者が正しく税務申告を行っているかを調査すること です。
確定申告をする必要があるにもかかわらず、していない人や、虚偽の申告や税金計算のミスによって税金の支払いが少なくなっている人がいるため、申告内容に誤りがないか確認します。
フリーランスに「税務調査が入る確率」と「申告漏れ等の誤りを指摘される確率」
- フリーランスに税務調査が入る確率は、 年度毎に約0.9%
- フリーランスが税務調査で誤りを指摘される確率は、 約83%
申告漏れ等の誤りを指摘された場合、「過少申告加算税」や「延滞税」などが課される可能性が高いです。
税務調査が入る確率について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
税務調査に入られやすいフリーランスの特徴
税務調査に入られやすいフリーランスには、以下のような特徴があります。
税務調査に入られやすいフリーランスの特徴5つ
- ①申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
- ②申告漏れが多い業種である
- ③売上高が1,000万円に僅かに届いていない
- ④経費など申告内容に不審点がある
- ⑤開業後3年以上経過し売上が増えている
上記以外にも、顧問税理士がおらず、自分で申告を行っている人は税務調査が入られやすいため、注意しましょう。
税務調査に入られやすい個人事業主(フリーランス)の特徴について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
税務調査は何年分遡って調べられるのか
直近の過去3年分が調べられることが一般的です。
<税務調査で調べられる年数 表>

ただし、脱税等が疑われるケースによっては7年分の調査が行われることもあります。
税務調査では何年分遡って調べられるのかについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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