【簡単解説】税務調査の「流れ」と「指摘されやすいポイント」
目次
1.税務調査の流れ
一般的な税務調査が行われる流れは以下のとおりです。
<税務調査の流れ 図>

以下から詳しく解説します。
税務調査前・当日・後日の「対応」や「準備」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
①:税務署から事前通知が来る
税務調査は、事前に税務署から電話で通知されることが一般的で、税務調査が行われる1~2週間前に連絡があります。
また、顧問税理士がいる場合は、法人や個人事業主ではなく税理士に通知されることになります。
なお、以下のパターンに該当する場合は、事前通知なしの調査となる場合があります。
- 悪質な取引が行われている場合
- 関係者から不正取引の通報があった場合
- 小売業や飲食業など、不特定多数の取引先と現金決済を多く取り扱っている場合
②:税務調査を実施する日を調整する
税務署から事前に通知がある場合は、その際に税務調査の日程を指定されます。
都合が悪い場合は日程を変更することも可能です。
顧問税理士に立ち会ってもらう場合は、税理士と日程を調整して税務署に連絡しましょう。
③:帳簿や書類を準備する
税務調査の日程が決まったら、税務調査に対応できるよう、当日までに帳簿や書類の準備を入念に行いましょう。
顧問税理士がいる場合は打合せしながら、帳簿や書類に不備がないかを確認します。
税務調査官から質問されることを想定しながら、シミュレーションしておくと安心です。
必要な書類は以下のとおりです。
税務調査で調べられる資料やデータ一覧
- 申告書類(所得税申告書・消費税申告書・決算書・内訳書 など)
- 帳簿書類(現金出納帳・売上帳・仕入帳)・総勘定元帳 など)
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 預金通帳
- パソコンやサーバーに保存されているデータ
税務調査で何年分の帳簿や書類が必要なのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
④:税務調査が実施される
税務調査は税務署の税務調査官が、会社や店舗に出向き、2日にわたって行われるのが一般的です。
税務調査の主な内容は、以下のとおりです。
税務調査の一般的な内容
- 会社設立の経緯や事業の概要などのヒアリング
- 売上に関する調査
- 給与や賞与の調査
- 経費の調査
最初のヒアリングで、後の調査で不正に繋がる情報がないか、調査官が目を光らせていますので、不用意に話しすぎないように注意しましょう。
経営者などの対象者が直接回答するべき場面は多いものの、顧問税理士がいる場合は専門的な質問に答えてくれます。
⑤:税務署から指摘されたことに回答する
当日の調査を踏まえて、後日、税務署から指摘や質問が来たり、追加で資料の提出が求められたりすることがあります。
そのため、調査結果が出るまで1ヶ月以上かかるのが一般的です。
顧問税理士がいれば、税理士が対応してくれます。
⑥:税務調査の結果が通知される
税務調査が終了すると、税務署から結果が通知されます。
税務調査の着地点は以下の3パターンです。
税務調査の着地点3パターン
- 申告内容に問題がなければ「申告是認」
- 申告し直す必要がある場合「修正申告」
- 税務署の指摘に対して納税者が修正申告をしない場合に、税務署が申告の誤りを正す「更正」
「修正申告」や「更正」の場合は、「過少申告税」や「延滞税」が課される可能性もあります。
2. 税務調査で指摘されやすいポイント
実際の税務調査で指摘されやすいポイントは、以下のとおりです。
税務調査で指摘されやすいポイント 4つ
- 決算書で前期との増減が大きい箇所がないか
- 「売上の期ずれ」や「売上の除外」をしていないか
- 在庫の計上漏れがないか
- 経営者の公私混同による支出がないか
①:決算書で前期との増減が大きい箇所がないか
申告した内容で、前期からの増減が大きい勘定科目は重点的にチェックされます。
大きく変動している勘定科目には、不正や誤りがある可能性が高いと見られてしまうからです。
大きな変動があった場合でも、正当な事情があれば問題ないため、しっかり説明できるように準備しておくことをおすすめします。
②:「売上の期ずれ」や「売上の除外」をしていないか
「売上の期ずれ」とは、「本来であれば当期の決算に計上すべき売上を来期にずらす」ことであり、故意に税金を減らそうとしている可能性があると疑われるため、よくチェックされるポイントの一つです。
また、現金で受け取った売上などを計上しない「売上の除外」もよく指摘されるポイントで、期ずれ含め、よく使われる脱税手法であるため、重点的に確認されるでしょう。
③:在庫の計上漏れがないか
在庫は「棚卸資産」になるため、高額になる場合が多く、税金計算へ大きく関係します。
また、「社内だけで計上額を調整しやすい」、「調整額は翌期に回せるため利益調整に利用されやすい」ため、指摘されやすいポイントです。
税務調査官は在庫の計上漏れを疑っている場合に、以下のような鋭い質問をしてくる可能性があります。
- 「3月31日の仕入れはありますか?4月1日の売上はどうなっていますか?」
- 「3月から取り掛かっていた商品はありますか?」
- 「在庫はどうやって管理・計算していますか?」
税務調査では「在庫に漏れはありませんか?」など直接的な質問がされることはなく、上記のような巧みな質問で資料からは分からない情報を引き出そうとします。
④:経営者の公私混同による支出がないか
個人事業主や中小企業の経営者は、経営に直接関係のない費用を経費として計上していることが多く散見されるため、目を付けられやすいポイントです。
公私混同の具体例は、以下のとおりです。
- プライベート用の高級車を会社名義で購入している
- プライベートでの外食費や旅行代などを経費として計上している
- 勤務実態がない家族などに給与を支払っている
上記に当てはまっている場合は、税務調査で指摘される可能性が高いでしょう。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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