税務調査の事例 「税理士の介入により、追徴課税を減額できた」編

目次
本記事は、埼玉県川越市の税理士事務所「税理士法人サム・ライズ」が提供する「税務調査が入った事例」のページです。
      個人事業主に税務調査が入った時に「税理士の介入により、追徴課税を減額できた事例」を2つ紹介しています。
※実際の関係者が特例できないように、複数の事実を改変・翻案してまとめた内容になります。
以下の記事では、「税務調査」について、「個人事業主」の方が、一般的にまず知りたいと思う事項を網羅的に解説していますので、あわせてご覧ください。
事例1.A様(40代、埼玉県)「無申告・帳簿なしで税務調査に入られたが、税理士の交渉により不利な課税を回避できた」事例
A様のプロフィール
| 業種 | 建設業(個人事業) | 
|---|---|
| 申告状況 | 過去5年間無申告、新年度から証憑書類だけは整理して取っておいている | 
| 年間売り上げ | 2,500万円 | 
税務調査に入られる前の状況
税務調査が入ることになったが、確定申告をしていない(無申告)上に帳簿も用意しておらず、このままでは多額の納税を強いられることが確実である。
A様は建設業で個人事業主として仕事を請け負っていました。
元請先から安定的に仕事をもらっており、売上は順調に推移していましたが、日々の現場作業に追われ、経理や確定申告は放置状態。
その結果、過去5年間、無申告で帳簿も未作成という状況になっていました。
このままではいつか税務署にバレた時にまずいと思い、新年度から証憑書類(領収書・請求書等)を整理して取っておいており、後でまとめて申告しようと考えていました。
そう考えていた矢先に、税務調査の事前通知が届き、2週間後に税務調査が実施されることに。
「これはマズイことになる」と焦り、慌てて税理士探しを始めました。
税理士事務所の探し方・選び方
A様は実績が豊富で信頼できそうな税理士事務所をネットで探しました。
いくつかの税理士事務所のサイトを比較した結果、
- 無申告の解消事例が掲載されていた
- 申告後もフォローしてくれるとの記載があった
上記2点に魅力を感じた税理士事務所に相談することにしました。
A様の「トラブル・課題」の解決方法
①税理士事務所の対応内容
税務調査まで時間がなかったので、すぐに初回面談・ヒアリングを行い、A様の現状を整理すると、以下のことが明らかになりました。
- 過去5年間無申告
- 無申告期間の帳簿はない
- 新年度からの証憑書類(領収書・請求書等)は残している
帳簿がないと、税務署は「推計課税」を適用することになります。
推計課税とは、「税務署が一定の推計方法を使って、課税額を決めること」を指し、税務署に有利な方法で課税額が算出されることが多いです。
そのため、実際の経費よりもかなり低く見積もられることが多く、納税者には非常に不利です。
そこで税理士は、帳簿がない中で推計課税を避ける唯一の方法として、「一人親方特例」を利用し、「事業所得」ではなく、「給与所得」として申告書を作成し、税務調査に臨みました。
しかし、税務署は納得せず、元請先に反面調査を実施。
その結果、契約内容が過去に変更されており、「事業所得」として申告すべき契約形態にされていたことが判明しました。
当初の契約では、「一人親方特例」が適用できる内容でしたが、A様は契約変更の説明を十分に受けておらず、不利な内容で契約の変更に同意する印鑑を押していたのです。
そこで税理士は税務署に出向き、調査官に以下の交渉を行いました。
- 元請先が消費税の仕入税額控除を有利にするため、一方的に契約を変更したのではないか
- 変更の説明をまともに受けていなかったA様は被害者であり、推計課税のような不利な扱いは不当である
- せめて一人親方特例で認められる経費率を使わせてほしい
この交渉により、調査官は納得し、「一人親方特例が認められるよう、上に掛け合ってみる」とのことでした 。
②結果
税務署側は「一人親方特例の適用はできないが、新年度の証憑書類はすべて揃っていることから、そのデータを基に経費率を算出し、過去5年分にも適用する」という代替案が提案されました。
最終的に経費率を適用した結果、「一人親方特例」を使って給与所得申告した場合と同等の内容で処理が可能に。
納税者が恐れていた多額の追徴課税を回避することができ、税務調査は終了しました。
A様からは「追い詰められていたが、税理士の交渉力で救われた。本当に助かった」とのお言葉をいただきました。
事例2.M様(30代、東京都)「3年間無申告の状態で税務調査が入ったが、税理士の交渉により追徴課税を大幅に減額できた」事例
M様のプロフィール
| 業種 | 中古車販売(個人事業) | 
|---|---|
| 申告状況 | 過去3年間無申告、新年度からの領収書は残っている | 
| 年間売り上げ | 2億円 | 
税務調査に入られる前の状況
税務調査が入ることになったが、3年間無申告であり、このままではまずいと思い、税理士に助けを求めた。
M様は東京都で中古車販売業を営んでいましたが、経理体制が整っておらず、設立から3年間まったく申告をしていませんでした。
ある日突然、自宅のポストに税務署担当者の名刺が投函されていました。
最近知らない番号からくる電話を何回か無視していましたが、税務調査の連絡だったのかもしれないと思ったM様は、「税務調査が入るのではないか」と不安になり、慌てて税理士を探し始めました。
税理士事務所の探し方・選び方
M様は、税務調査の立ち会いに対応してくれる税理士をインターネットで探し、
- 「税務調査 立ち会い」と検索した時に上位にページが出てきた
- 税務調査の実績が300件超と記載があった
上記2つが決め手となり、税務調査対応をお願いする税理士事務所を決め、すぐに電話をかけました。
M様の「トラブル・課題」の解決方法
①税理士事務所の対応内容
初回面談にてヒアリングを行い、以下の点を整理しました。
- 直近1年分の取引記録(通帳、請求書など)は揃っている
- 過去2年分は領収書を破棄してしまっている
- 取引の多くは現金ではなく預金を通しており、入出金履歴が残っている
- オークションで落とした車を中古車として販売したり、リースとして利益を出すビジネスモデルである
確認すると、直近1年分の資料は残っていたものの、過去2年分の領収書や経費資料は破棄してしまっており、証憑が大幅に不足している状態でした。
手元にある領収書だけで計算すると、経費がほとんど計上できないため、異常に高い利益率となり、数千万円規模の追徴課税が発生する見込みでした。
そこで税理士は以下の対応を実施しました。
- 直近1年分の取引を精査し、実際の営業利益率を算出。(約3%)
- 上記利益率を基準として、過去2年分についても同様の経費率を適用する形で税務署と交渉。
- 在庫はほとんど持たずに、「仕入即販売」というビジネスモデルであったため、「棚卸資産」ではなく「仕入」として計上できるよう税務署に主張。
- 領収書不足分については、預金の入出金履歴を根拠に経費を認定するよう税務署に求めた。
また、調査時期に中古車販売会社の社長であるM様の奥様が妊娠中であったため、税務調査を約2か月延期させ、準備期間を確保。
その間に徹底的に資料整理と主張内容の構築を行いました。
②結果
当初は数千万円規模の納税が想定されていましたが、税理士の交渉により、追徴課税は大幅に減額。
最終的な納税額は300~500万円程度に抑えることができ、さらに消費税の還付も受けられたことで、資金繰りも改善しました。
その後は税理士の顧問契約を結び、金融機関からの資金調達も実現し、事業継続に大きく寄与する結果となりました。
以下の記事では、「税務調査が入ると人生終わり」と言われる理由や、その予防策について解説しています。併せてご覧ください。
                          税理士法人サム・ライズ 
代表税理士。
                          大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
                          税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
                        
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