決算手続きの進め方【その6】内訳書の作成
目次
前回に引き続き、決算手続きの進め方です。
今回は(6)内訳書の作成です。
決算手続きにおいては、未収収益・未払費用等の経過勘定を計上し、発生主義による正しい財務諸表を作成しなくてはなりません。
経過勘定は、その発生原因に従ってこれらが発生した拠点区分に計上します。
経過勘定には下記のような種類があります。
1.立 替 金…他拠点の経費等を一時的に立て替えた時等の債権額
2.前 払 金…物品等の購入代金や役務提供の対価等の前払い額
3.前払費用…一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、未だ提供されていない役務に対して支払われた対価
4.仮 払 金…処理すべき科目または金額が確定しない場合の支出額を一時的に処理する科目
5.未払費用…賃金、支払利息、賃借料など、時の経過に依存する継続的な役務給付取引において、すでに役務の提供は受けたが、会計期末までに法的のその対価の支払い債務が確定していない分の金額
6.預 り 金…職員以外のものからの一時的な預り金
7.職員預り金…源泉所得税および社会保険料などの徴収額等、職員に関する一時的な預り金
8.前 受 金…物品等の売却代金および役務提供の対価の一部または全部の前受額
9.前受収益…受取利息、賃借料など時の経過に依存する継続的な役務提供取引に対する前受分の打ち身経過の金額
10.仮受金…処理すべき科目または金額が確定しない場合の収入金額を一時的に処理する科目
上記の処理をする時、各拠点間のやりとりについて残高が一致しているかを必ずチェックしましょう。
例えば、3/31に本部から法人全体の社会保険料1,000,000円が引き落とされて決算を迎えたとします。1,000,000円の内訳はA拠点分が600,000、B拠点分が400,000だった場合、法人本部の貸借対照表には「未収入金 1,000,000」が計上され、A拠点には「未払金 600,000」、B拠点には「未払金 400,000」が計上されます。
拠点区分間の取引は経費だけでなく預り金や収益など種類も件数も多いため、うっかりすると片方にだけ計上してもう一方に計上するのを忘れてしまいがちなので注意が必要です。
また、これらの経過勘定については、科目の内訳書を作成します。
科目の内訳書は3月末の残高について、勘定科目ごとおよび拠点区分ごとにその内容が何であるか一目でわかるように、相手先と金額を一覧にします。
こちらも決算手続きをしているうちに貸借対照表残高が変更となり、内訳書の残高を訂正することを忘れてしまって合計残高と貸借対照表残高が一致しない、ということも多くありますので、出来上がったら最後にもう一度確認することを忘れないようにしてくださいね。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
最近の投稿
- 2024.12.12
- リーダーシップへの舞台裏Vol.6 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
- 2024.12.12
- リーダーシップへの舞台裏Vol.5 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
- 2024.12.09
- 【法人向け】確定申告をしない(無申告)とどうなる?