リーダーシップへの舞台裏Vol.15 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
目次
地元商店街の再生を目指して
~個が活きる社会で、意志ある人生を~
トレーラーハウスのリノベーションという空間作りから始まり、ゲストハウスの運営やディレクション業務、総菜や焼菓子の製造・販売に至るまで、幅広い事業を手掛けてきた河村代表。彼女をそこまで突き動かすものとは一体何なのか―
――地元への揺るぎない熱い思いや、根幹にある確固たる信念について掘り下げていきます!!
【プロフィール】
1987年、福島県白河市生まれ。5歳の頃、両親の地元である福井県越前市(旧:武生市)へ。幼少期から母の影響を受け、“何でも手作りすることが当たり前”な日々を過ごす。
福井県の私立啓新高等学校(調理科)、京都製菓技術専門学校(製菓技術科)を卒業し上京。都内製菓店にて5年間勤務した後、コンサルティング企業にて社長秘書及び講演会講座の企画運営に従事。
2017年、兵庫県淡路市へ5人の移住者と共に拠点を移し、“衣食住+仕事がひとつの空間で完結する場づくり”を開始。2018年には「個が活きる社会」をテーマに、合同会社JOYCIRUCSを設立。淡路島にてレンタルスペース、シェアハウス、ケータリング事業を展開。2022年、地元福井県越前市の商店街のはずれに“無添加そうざい店日 のごはん”をオープン。同年7月より、冷凍そうざいの製造・販売を開始。日本全国に配送を行う。現在は店舗運営をやりながら、食のイベント(ごはん会)や商品開発など、食に関わることをメインに日本全国で活動中。
“愛地元”と“夢”が織りなす事業の軌跡
林:さて、15回目となる今回ご登場いただくのは、合同会社JOY CIRCUSの代表、河村亜紀さんです!亜紀ちゃんとは出会ってからそれほど長くないのですが、これまで一緒にご飯を食べたり旅行をしたりと、とても濃いお付き合いをさせていただいてるんですよね。今日はより深いお話ができるということで、とても楽しみにしてきました!それでは早速ですが、まずは亜紀ちゃんの会社の名前や概要、事業内容からお話しいただけますか?
河村:はい、ありがとうございます。私が代表を務めるのは 、合同会社JOYCIRCUSという会社で、2018年2月に兵庫県淡路市で設立しました。現在は拠点を福井県越前市に移しまして、無添加そうざいの製造・販売(日のごはん)や3大アレルゲン素材を使用しない焼菓子の製造・販売(日々-あきおやつ-)をメインに、ゲストハウスの運営(Guest Home淡路島/兵庫県洲本市)やケータリング・食事提供・個人事業主の活動サポートなど、さまざまな角度からお仕事をさせていただいております。
林:今は福井県越前市でお惣菜やお菓子の製造・販売をメインにされているとのことですが、私たちが出会った頃って淡路島でのゲストハウス運営がメインでしたよね。これまでの間にどのような経緯があったのでしょうか?また、淡路島で起業されたきっかけについても聞かせてください!
河村:はい。そもそも私が起業を考えるようになったきっかけは、私の地元である福井県越前市の商店街でした。慣れ親しんだ商店街がどんどん寂れていく姿を見て、「どうにかして再生したい!」と思うようになったんです。そのためにはまず何かしらの実績を作らなければと思い、2017年に、偶然の積み重ねでご縁ができた淡路島へ移住することにしました。淡路島では、ゲストハウスに適した物件と出会ったことをきっかけにゲストハウスを始めたり、一緒に移住した仲間の住まいが必要だったためにシェアハウスを始めたりと、その場その場で目の前の課題に取り組んでいきました。その結果、いつの間にか会社としての形が出来上がっていたという感じでしたね(笑)。
コロナ禍になったのをきっかけにお菓子の通販をスタートさせ、それから、「私たちこの後どうしよう…」というタイミングで林先生をご紹介いただいて。そこから更に事業を拡大して今に至ります。お菓子やお惣菜の製造・販売に関しては、いつか挑戦したいと考えていましたが、まさかこんなに早く実現できるとは思っていなかったので、この数年間は私にとって大きな転換期となりました。
林:なるほど~、亜紀ちゃんの中にはもともと、お菓子やお惣菜を作りたい、そういう仕事に就きたいという思いがあったんですね。
河村:そうなんです。幼稚園の頃には既に「ケーキ屋さんになりたい」と思っていましたから。というのも、私の母が料理やお菓子作りを得意としていて、家では既製品よりも手作りのものが当たり前だったんです。その影響で、自然と自分も料理やお菓子作りが好きになって、いつしかそれが将来の夢になっていました。
林:多角的に事業を展開しながら、幼稚園の頃からの夢も実現させるなんて、本当に素晴らしいです!!ちなみに、これから新たにやってみたいことや興味のあることはありますか?
河村:はい、林先生と出会った頃からずっと変わらずに考え続けていることがひとつありまして。それが、衣食住と仕事が一体となった“リトルタウン”を作りたい、ということです。それも、最終的には森を活用して、空間作りをしたいのですが、まず最初に地元の商店街の空間を活用したいと考えていて。
もちろん、未だに「こんな商店街で何やったってうまくいかないよ」などと言われることはありますが…だからこそ、現在運営しているお店が1つの成功モデルになれたとしたら、必ず後に続く人が出てくると思うんです。実際に、来年3月には丸3年になる総菜屋が安定してきますので、次のステップを見据えています。具体的には、この商店街や地域を盛り上げるための企画を考えたり、人の繋がりを増やしたり…ただし、若者だけが楽しかったり盛り上がったりするのではなくて、この商店街や地域を支えてきてくれた方たちも一緒に、老若男女みんなが良いと思える状態。
選択肢が人生を豊かにする――
縁を繋ぐことで広がる可能性
林:これまでもこれからも、夢や目標に向かって着実に歩みを進めている亜紀ちゃんですが、その根幹には一貫したスタンスがあるように感じます。日頃、どのような考えや感覚でお仕事されているのでしょうか?
河村:そうですね、私が常に意識しているのは「選択できる環境を作る」ということです。
例えば、この人がこの仕事をすればきっと活躍できるだろうなとか、この人とあの人が協力すれば素晴らしいことが起きそうだ、この食材とこの調味料を組み合わせれば美味しいものができるはずだ、というような感じで、私が“縁を繋ぐ”ことで選択できる環境を提供したいと思っています。
もちろん、選択肢を得た後にどうするかは本人の自由ですが、まずは選択肢を知ることが重要なんです。選択肢を知って初めて、自分が本当に何をしたいのかを考えるきっかけが生まれると思うので。ただ、私の役割としてはあくまでも「場の提供」だけだと思っています。というのも、どんな人にも得手不得手がありますが、その部分をそれぞれが補い合ってこそ、最良の環境が作れると思うんです。ですから、今運営しているお店に私が居ることはほとんどありませんし、先ほどお話した次のステップでも、私は“環境を整える役”に徹して、表現を得意とする人が現場で活躍して…というような役割分担を考えていますね。
林:その「選択できる環境を作る」という亜紀ちゃんのスタンスって、本当にどんな場面でもブレがないですよね。特に“ごはん会”!繋がりのない様々な人たちが集まって、亜紀ちゃんが作ったご飯をただただ食べるという会なんだけど、この時の亜紀ちゃんはまさに“環境を整える役”に徹していますよね。自己紹介や挨拶をするでもなく、淡々とご飯を出して、あとはほったらかしで(笑)。初めてこの“ごはん会”に参加させていただいた時のことを今でも覚えていますが、それはもう衝撃的でしたよ。
河村:はい、「ご飯さえあれば自然と仲良くなるでしょ」という考えなので、基本的に放任スタイルです(笑)。それでもありがたいことに、林先生のように私のスタンスを理解してくださる方がたくさんいらっしゃって…「どうせご飯を食べるなら一緒に」というシンプルなコンセプトをきっかけにして2012年にスタートした“ごはん会”ですが、おかげさまで現在も継続することができています。食べ物があれば国籍を問わず人は繋がれると心底思っていますし、“誰と”食べるのかや“何を”食べるのか、という選択肢が増えるだけで、その人の人生は確実に豊かになると確信しているので、この “ごはん会”はこれからも継続していきたいと思っています。
林:そういう、人と人とが自然に繋がれる仕組みって本当に素晴らしいですよね。これからも継続していただきたいし、ぜひ広げていってほしいです!!
主催の「ごはん会」では、とにかく料理に徹している亜紀ちゃん。
本当に居心地がよくて、まさに亜紀さんが狙っている「ごく自然に人同士が繋がれる」そんな空間になっていると思います。素晴らしい才能です!
母から学んだ起業家精神と、揺るぎない信念
林:ところで、新しく事業を始める際には、クラウドファンディングや補助金申請などを全てご自身でこなしているそうですね。大変な労力がいることなので本当にすごいと思うのですが、どうしてそこまでご自身でなさるのでしょうか?
河村:それには2つの理由があります。まず1つは、「ないものは作れ」という母の教えです。毎日の食事はもちろん、洋服から日用品まで何でも手作りする母の影響で、自分で作るということが当たり前になっていて…そんな今の自分があるのは母のおかげだと思っているので、母には本当に感謝しています。
そしてもう1つは、自分が経験しないと他人に伝えられない、という信念です。やはり、やらないと分からない苦労ってきっとたくさんあると思うんです。それを知っておかないと気が済まなくて。それに、専門業者に任せたとして、自分が求めていた結果が得られなかった時に、その専門業者のせいにするのも嫌なんですよね。
林:そうは言っても、人手不足だからとか、他のことに時間を使いたいからとか何かしらの理由をつけて、普通はやりたがらないことだと思います。でもそこを、全部自分でやってしまうところが亜紀ちゃんのすごさですよね。
河村:確かに、その時間を違うところに使えばもっと違うお金が生み出せるんじゃないか、と周りから言われることもありますね。でも、私が動くことで無駄なお金がかからなかったということになれば、その部分を、いつも一生懸命働いてくれているスタッフに還元したいと思うんです。
林:いやぁ、お母様の教えは偉大ですね。信念が揺るがないところも、本当に素晴らしいです!!では最後に、これまで一緒に仕事をしてきた仲間への思いを聞かせていただけますか?
河村:はい。現在働いてくれているスタッフは、実は高校の時の同級生だったり中学校が一緒だったりと、もともと何らかの繋がりがあった人たちばかりなんです。そんな縁が巡り巡って、今こうして同じ職場で一緒に働いているんですが、先日、私が居ない時に「今のメンバーはベストメンバーだ」というようなことを言ってくれていたようで…私も、このメンバーじゃなかったら今は成り立っていないと思うので、一緒に働く仲間が同じように思ってくれるというのは本当に嬉しいですし、ありがたいです。これからも、スタッフみんなが満足して活き活きと働ける職場環境を整えていきたいと強く思いますね。
林:素晴らしい関係ですね!このメンバーだからこそ、こんな素敵なお店が作り上げられたんだと、今とても実感しました。
ということで、今回のインタビューもあっという間に終わってしまいました。いつもと違ってインタビュー形式でのお話だったので緊張されたかもしれませんが(笑)、普段なかなか聞けないような深い話を伺うことができ、とても充実した時間となりました!また近々、亜紀ちゃんのご飯を食べに行かせてくださいね。本日は本当に、ありがとうございました!!
現在、「日のごはん」の店舗を支えるスタッフのみなさん。どの方も亜紀ちゃんの同級生や学生時代からの知り合いで、信頼関係のもとチームワーク抜群!明るい笑顔が店舗の魅力をさらに引き立てている様子が伝わってきますね!
会社概要
【事業内容】
● 合同会社JOYCIRUCS
・「日のごはん」(無添加そうざいの製造・販売)
・「日々-あきおやつ-」(3大アレルゲン素材を使用しない焼菓子の製造・販売)
・ゲストハウスの運営(Guest Home 淡路島 / 兵庫県洲本市)
・ケータリング事業(食事提供)
・個人事業主の活動サポート など
【所在地】
〒915-0075 福井県越前市幸町2-2
(TEL)0778-42-8268(10~18時※土日祝17時)
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