リーダーシップへの舞台裏Vol.23 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
目次
~諦めない・ぶれない・くじけない~
“あぶくの精神”で本質を伝え、本物の信頼を築く!
バイクレーサーの夢から一転、相続・事業承継に特化した保険の道へ――。『諦めない・ぶれない・くじけない』の理念を胸に、社員の成長と家族の幸せを何より大切にする鉄尾社長の熱い想いとは。今回は、ビジネスだけでなく人生のヒントもたっぷり伺いました!
【プロフィール】
1961年、大阪市旭区に生まれ、神戸市で育つ。
幼少期からバイクに魅せられ、バイクレーサーを志す。高校卒業後に進学した大学を中退し、憧れの元テストライダーが開いた神戸のバイクショップで働く中で、アメリカ人女性と出会い結婚。彼女の勧めでアリコジャパンに入社し、営業職として実績を重ねた。
2000年、大西恭則氏との出会いを契機に「保険を超えたコンサルティング業」への道を志し、2009年からアンセルインシュアランス副社長を務める。2015年に株式会社A・B・U・K・Uを設立し、個人•法人を問わず、人生設計に寄り添うファイナンシャルコンサルティングを展開中。
阪神•淡路大震災後に離婚•再婚を経験。現在は家族が暮らすオーストラリアと日本を往復する単身生活を続ける。「“諦めない•ぶれない•くじけない”あぶくの精神」「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」を座右の銘に、極真空手二段の現役道場生としても日々の鍛錬を欠かさない。
保険業界34年、“人柄”で
切り拓いた異色のスタート
倉橋:さて、第23回目となる今回は、株式会社A・B・U・K・U(アブク)の代表取締役、鉄尾猛司さんにお話を伺います。鉄尾社長、本日はどうぞよろしくお願いいたします!
早速ですが、御社の概要や事業内容について詳しくお聞かせいただけますか?
鉄尾:はい、よろしくお願いします。
当社は生命保険の代理店なのですが、一般的な保険営業とは少し異なり、「相続」や「事業承継」に特化しているのが特徴です。特に連携しているのは税理士の先生方で、ほかにも弁護士や司法書士の先生と協力することもありますが、中心は圧倒的に税理士ですね。税理士の先生が関わる案件の中でも、たとえば遺留分や特別受益など、相続や遺産分割でトラブルが生じているケースにおいて、私たちは生命保険を活用したソリューションを提案しています。
また、会社法や民法、税法、特に「組織再編」などをテーマにした勉強会や研修も積極的に行っています。我々自身が申告を行うわけではありませんし、直接提案できる立場でもありませんが、たとえば親子会社化の際に保険をどのように活用できるか、あるいは納税資金としてどう保険を活かすかなど、実務に役立つ情報の提供を心がけています。毎日そんなテーマばかり考えている、ちょっと変わったタイプの代理店かもしれませんね(笑)。
倉橋:“ちょっと変わった代理店”という表現がとても印象的です(笑)。でも、まさに今の時代に求められている保険のあり方なのかもしれませんね。そんな専門性の高い分野で長年ご活躍されてきたと伺いましたが、そもそも鉄尾社長がこの業界に入られたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
鉄尾:はい、この業界に入って34年目になるんですが、きっかけは少し変わっていまして…もともと僕はバイクが大好きで、将来はレーサーになりたいと思っていたんです。高校卒業後は山口県内の大学に進学したんですが、当時憧れていた元テストライダーの方が神戸でバイクショップを始めると聞いて、「これはチャンスだ」と思い、大学を辞めてその店で働くことにしました。その店によく遊びに来ていたのが、カワサキで通訳をしていたアメリカ人の女性。自然と仲良くなり、交際、同棲、そして結婚へと進んだんですが…実は、彼女が僕の最初の妻です(僕、バツイチなんです)。結婚が決まったとき、彼女に「このままバイク屋では生活が厳しい」と言われまして…。
実は彼女のお父さんがアメリカで市長をされていた方で、以前はMDRT(Million Dollar Round Table=卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織)の終身会員だったんですよ。彼女から「あなたは人柄がいいから、保険の仕事に向いているよ」と勧められて、日本でアリコジャパンの面接を受けました。
学歴は大学中退、職歴はバイク屋…正直、通るとは思っていなかったんですが、僕の父が当時、元・大阪国税局の税務署長で、退官後は会計事務所をやっていまして。どうやらその人脈があって採用されたようです。そうして、僕の保険業界でのキャリアがスタートしました。
倉橋:なんだか映画のようなお話ですね!夢を追いかけた青春時代から、一転して保険の世界へ…人生ってどこでどうつながるか、本当にわからないものですね。
「夢を追いかけていた頃と今とでは、実はそんなに変わっていないんですよ」と笑う鉄尾社長。
バイクレーサーを目指した若き日も、相続や事業承継というテーマに向き合う今も、根底にあるのは「本気で走り抜きたい」という情熱です。年齢を重ねても、現役でい続ける覚悟とエネルギーは衰えることなく、今も愛車にまたがり風を切る――人生のどの瞬間も「今を生きる」スタンスは、昔も今も、ずっと変わりません。
理念に出会い、信念に変わる――
保険営業に「本質」を求めて
倉橋:では、保険業界に入ってから、どのようにキャリアを築いてこられたのでしょうか?どんなふうに今の事業につながっていくのか、とても気になります!
鉄尾:保険の仕事を始めてからしばらくは、いわば“男芸者”のような営業でしたね。お客様に気に入られることばかりに意識が向いて、商品や保障内容の本質をきちんと伝えられていなくて。
実際に、契約されたお客様から「え、それって保険だったの?貯金だと思ってた」と言われたこともあり、「自分は一体、何をやっているんだろう」と深く悩みました。そんな時、2000年のMDRT神戸大会で、当時日本生命の代理店営業本部・主席コンサルタント、大西恭則さんの講演を聴いたんです。お客様の人生に真剣に向き合い、相続や将来設計を支えた具体的な事例の数々に、まるで電気が走ったような衝撃を受けました。「自分の目指す道はこれだ!」と。
その後、大西さんの話をもっと聞きたくて、日本生命の研修に“潜入”させてもらったこともありました。大阪の代理店の女性社長が「うちの社員ってことにしといたるから来なさい」と(笑)。そこでようやく大西さんと名刺交換できて、直接連絡先も教えてもらいました。何度も電話して、「研修してください、学ばせてください」と食らいついたんです。最初は「しつこいなぁ」と言われながらも、やがて就業時間外の土曜日に時間を取って個別に教えてくださるようになって。当時僕はアリコ所属でしたが、大西さんは日本生命の立場で、僕のお客様に一緒に会ってくれて、「これが本当のコンサルティング営業だ」とその姿を見せてくれました。
そこからすべてが変わりましたね。その後、株式会社アンセルインシュアランスで副社長を務めたんですが、どうしても自分が理想とする代理店の形を実現したいという思いが強くなり、最終的に独立して今の会社を立ち上げました。
ちなみに、今の会社名「A・B・U・K・U」は、その大西さんが大切にされていた精神「諦めない・ぶれない・くじけない」の頭文字から取ったもので、大切な原点なんです。
倉橋:社名にそんな深い想いが込められていたとは…!「諦めない・ぶれない・くじけない」、まさに鉄尾さんそのものですね。その理念を掲げる会社として、どんなことを大切にされているのか、他の代理店さんとはどう違うのか、ぜひお聞かせください。
鉄尾:ありがとうございます!私たちが特に大切にしているのは、「保険商品の本質を深く理解し、お客様に正しく伝えること」です。というのも、意外と業界全体として、保険の仕組みそのものに深く踏み込めていないケースが多いと感じていまして。
例えば、「なぜこの商品はこの保障内容・この保険料になるのか」といった、裏側の数理や構造までしっかり説明できる代理店は、実はあまり多くないと思います。だからこそ私たちは、保険会社の商品開発担当者や、最近では再保険会社の方も招いて、商品の設計思想やリスク分散の仕組みまで学ぶ勉強会を定期的に行っています。再保険会社というのは、保険会社がリスクを分散するために契約する“保険の保険”を扱う存在で、業界でもなかなか接点がない分、得られる知見が本当に貴重なんです。社員向けには、毎週Zoomでの研修も続けていて、知識をアップデートしながら日々の業務に活かしています。
そして、そうして得た知識や考え方を、お客様にもできる限り丁寧に伝えることを徹底しています。そうすることで、この人たちはちゃんと理解してくれている」と信頼していただける代理店でありたいと考えています。他社と違う点があるとすれば、こうした「仕組みまで掘り下げる専門性」と、それを支える「継続的な学び」だと思っています。
倉橋:すごい…まさに「商品に惚れて売る」じゃないですが、本質を理解して提案できるって、保険の価値をちゃんと伝えるためには欠かせない視点ですよね。それを仕組みから学び、チームで共有しているところに、鉄尾社長の本気度を感じます。
社員の未来も家族の幸せも大切に
~飽くなき学びと挑戦~
倉橋:そういう「継続的な学び」ができる環境で働く社員の皆さんは、きっとすごく刺激を受けていらっしゃると思いますが、日々の学びを支えているのは、やっぱり社長の熱い想いだと思うんです。ぜひ、社員の皆さんへの想いもお聞かせください!
鉄尾:社員に対して、僕が一番強く思っているのは、「どこに行っても通用する人材になってほしい」ということですね。
というのも、僕自身、資産税の分野で第一人者とされる税理士の先生とご縁がありまして、その先生の研修会に何度も足を運び、学ばせていただいてきました。あるとき、その先生がおっしゃった言葉がとても印象に残っているんです。それは、「コンサルティング業に事業承継はない」というもの。
要は、同じ会社にいても、やり方を真似ても、その人の“資質”がなければ同じような価値は提供できない、という意味です。この言葉に、僕はハッとさせられました。だからこそ僕は、社員に「自分と同じようなことをやれ」と押しつけるつもりはまったくありません。
もちろん、僕自身が実践している考え方やお客様への向き合い方を伝えていくことはしますが、最終的には社員一人ひとりがしっかりとした実力を身につけ、自分のやり方でお客様を支援できるようになってほしいと思っています。
そのために、再保険会社や保険会社の方にご協力いただきながら、業界全体の構造や最新情報を学ぶ場を社員全員に開いています。全員で勉強会に参加し、同じ情報に触れ、同じ問いに向き合う。そうして「会社に頼らなくても、自分の力で食べていける」人材になってほしい――それが社員への切なる願いです。
倉橋:「自分と同じことをやれ」と言うのではなく、「どこでもやっていける力を持ってほしい」と願う――その言葉に、鉄尾社長の懐の深さと、社員一人ひとりへの本気の想いを感じます。だからこそ、あれだけの研修や学びの場が続いているんですね。そんな人づくりを続けてこられた鉄尾社長が、今後どんな未来を見据えているのか、とても気になります。ぜひ、これからの夢についても教えてください!
鉄尾:夢…って言われるとちょっと照れくさいんですけど、正直なところ、今は“これが夢だ!”みたいな大きな目標があるわけじゃないんです。もう64歳ですしね。
でも、うちは下の子どもがまだ10歳でして。だからまだまだ現役で頑張らないといけない立場なんです。子どもが望むことは、できる限り叶えてあげたい。上の子は今、医大で医者を目指しているんですが、そういう進路のサポートも含めて、せめて大学を卒業するまでは、親としてしっかり責任を果たしたいと思っています。だから「引退してのんびり」なんて、まったく考えていないですね。
実際、周囲には早めに引退された社長さんもいますが…正直なところ、誰一人として心から楽しそうな人はいなくて。やっぱり日本人の気質というか、僕自身も“貧乏性”なので、何もしないでのんびり過ごすというのがどうしても性に合わないんです。旅行に行っても、例えばハワイやモルディブのプールサイドで、欧米の方たちが半日ずっと本を読んでいたり、ドリンク片手にのんびりしていたりするのを見て、「自分には無理やな」と思ってしまう(笑)。僕は予定を立てて、「今日はこれをやる」ってタスクリストにして、終わったら赤線で消していくようなタイプなんです。
だから、夢というよりは、“やりたいことを今やる”という生き方ですね。代表の座を譲る日が来るかもしれませんが、この仕事自体はずっと続けていくつもりです。リタイアとか現役とか、あまり関係なく、自分が好きなことを、自分のペースでやり続ける。それが、今の自分にとっての夢なのかもしれません。
倉橋:“やりたいことを今やる”――その言葉に、鉄尾社長らしい前向きな生き方と、人生への真摯な姿勢を感じました。走り続ける覚悟と、家族への深い愛情、そして仕事への情熱。どこを切り取っても、真っすぐで誠実なお人柄がにじみ出ていますよね。今日お話を伺って、改めて“想い”を持って働くことの大切さを教えていただいた気がします。鉄尾社長、本日は本当にありがとうございました!
「どこに行っても通用する力を身につけてほしい」――鉄尾社長のそんな想いのもと、A・B・U・K・Uでは、日々の勉強会や実務での知識共有、密なコミュニケーションを重ねながら、確かなチーム力が育まれています。保険の「本質」に迫りながら、お客様の課題にぴたりとハマる角度を探し続ける。そこには、深い探究心と、学びを惜しまない情熱があります。
会社概要
【事業内容】
相続・事業(医業)承継専門生命保険代理店
【所在地】
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〒107-0052 東京都港区赤坂5-4-12 TGA AKASAKA 4階
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