リーダーシップへの舞台裏Vol.19 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
目次
パートナーとして地域に根ざす
~法人化と“対応力”が拓く未来~
川越で10年の経験を積み、地域に密着したサービスを提供する「パートナーズ司法書士法人」。神戸代表が語る、事務所運営の試行錯誤や、法人化による強みとは。さらなる成長に向けた取り組みと、若手社員の成長支援に対する思いを明かしていただきます!
【プロフィール】
1981年、神奈川県川崎市に生まれ、横浜市で育つ。
中学・高校時代は陸上部(長距離)に所属し、競技に打ち込む。
早稲田大学法学部在学中に、恩師の教授を通じて司法書士という職業を知り、将来の道として意識するように。大学卒業後、司法書士資格を取得し、2009年 より東京都内の司法書士法人に勤務。不動産売買や相続に関する登記業務を担当する。
2011年には、同法人の川越事務所において司法書士業務全般の責任者となり、経営や営業にも携わる。
2014年10月、パートナーズ司法書士法人を設立。以来、司法書士としての業務に加え、組織運営にも注力している。
プライベートでは熱帯魚愛好家として知られ、事務所には大きな水槽を設置。さらに、ロードバイクも趣味とし、個人でもチームでも楽しんでいる。
司法書士はもっと身近に!
川越での挑戦と“パートナーズ”の意味
倉橋:さて、第19回目となる今回は、パートナーズ司法書士法人の代表、神戸光邦さんにご登場いただきます。司法書士として豊富なご経験をお持ちの神戸先生に、さまざまなお話を伺いたいと思います!本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、神戸先生の会社の概要や事業内容について詳しくお聞かせください。
神戸:はい。私が代表を務めるパートナーズ司法書士法人は、埼玉県の川越と狭山に事務所を展開する認定司法書士事務所です。
事業内容としては、主に法務局や裁判所へ提出する書類の作成を行っています。中でも代表的な業務として、不動産取引における立ち会いや名義変更の手続きがあります。
また、相続手続きのサポートも重要な業務の一つで、例えば、故人の遺産である不動産や預貯金などを相続人へ引き継ぐ際の手続きを支援しています。さらに、法人登記の変更、代表者変更、資本金の増額など、企業の法務手続き全般も幅広く手掛けています。
倉橋:やはり今の時代、高齢者の方々からのご依頼が増えているのでしょうか?
神戸:そうですね。特に私たちの事務所ではその割合が比較的高い方だと思います。もちろん、司法書士事務所ごとに得意分野は異なりますが、私たちは特に相続や高齢者の財産管理に力を入れています。
倉橋:今後ますますニーズが高まる分野ですね!ところで、事務所を埼玉県に置かれているとのことでしたが、神戸先生のご出身は神奈川県ですよね?独立されるにあたってなぜ埼玉県を選ばれたのでしょうか?また、同じく川越に事務所を構えるサム・ライズさんとの出会いについてもお聞かせください!
神戸:はい。まず、独立するにあたって川越を選んだ理由ですが、まったく縁のない場所よりも、すでに土地勘があり、人とのつながりがある場所の方が成功しやすいと考えたからです。それこそ、独立する前に川越でサム・ライズさんとのご縁があったことも、大きく影響したと思っています。
サム・ライズさんとの出会いについては…実は正確な記憶が曖昧なのですが(笑)、私が東京都内の司法書士事務所に勤めていた頃に遡ります。
大学を卒業後、司法書士の資格を取得し、都内の司法書士事務所に就職しました。そこで2年ほど勤務した後、川越の事務所に配属され、約3年間勤めることになったのですが、その当時、私たちの事務所が入っていたビルに、サム・ライズさんの事務所も入っていたんです。それが最初のきっかけでした。
とはいえ、当初は特に接点がなく、お互いに「同じビルにある事務所の一つ」という認識だったと思います。実際に一緒に仕事をするようになったのは、それからだいぶ後のことです。
私が独立してビルを出た後、ほどなくしてサム・ライズさんも移転され、そこから自然な流れで協力するようになりました。お互いに存在は知っていたこともあり、それぞれの専門分野を活かしながら、対応できない業務を補い合う形で協力関係が生まれたんです。そうして今では、相続関連の相談会などを一緒に開催するようになりましたね。
倉橋:なるほど、そんなご縁があったんですね!土地勘や人脈があることで、独立後もスムーズに事業を軌道に乗せやすくなるというのは納得です。ちなみに、川越で独立されてから何年になるのでしょうか?また、土地選びの他に工夫された点があれば、ぜひ教えてください!
神戸:独立してからはちょうど10年になりますね。独立当初から、司法書士業界は【都心の大規模法人】と【地方の小規模事務所】という二極化が進んでいると感じていました。そこで、私たちのような地方の小規模事務所が、都心の大規模法人に引けをとらないようにするためには、とにかくサービス面や対応面での“敷居の低さ”を前面に打ち出すことが大切だと考えて、まず取り組んだのが社名の工夫でした。
一昔前は「フルネーム+事務所」という名前が主流でしたが、それだとどうしても形式ばった印象になってしまいます。 そこで、「お客様にとって身近な法律手続きの“パートナー”でありたい」という想いを込めて、親しみやすく覚えてもらいやすい名前にしたんです。
倉橋:確かに、司法書士事務所というと、どうしても形式的で堅いイメージがある中、「パートナーズ」という社名には、相談のしやすさを大切にする姿勢が表れていて、とても素敵だと思います!
お客様と同じ目線から真摯にお客様のニーズや不安に向き合い、わかりやすく伝えるという理念をスタッフ全員に共有することを第一にしているそうです。初詣やクリスマスなどの社内イベントを通じて、チームワークを深めています。
採用と定着の鍵――
試行錯誤から学んだ 経営者としての成長とは
倉橋:では、独立してから10年間で「これは自分の成長につながったな」と実感した出来事はありますか?
神戸:やはり、一番大きかったのはスタッフの採用と定着に関する経験ですね。同じ資格を持つ人を採用して、一緒に働いてもらうわけですが、10年もやっていれば当然、辞めていく人もいるんです。そういう時、ふと自分が雇われる立場だった頃のことを思い出すんですよね。経営者の視点に立つと、どうすればより良い環境を作れるか、給与も含めて「こうしたい」「ああしたい」と考える。でも、働く側からすれば、また違った視点があるわけで。だからこそ、誰かが辞めるたびに「なぜ辞めてしまうのか?」と考えました。経営者として「良い会社にしよう」と努力しているつもりでも、それでも辞める人がいる。じゃあ、何が足りなかったのか、どうすればもっと働きやすくなるのか――。その都度、試行錯誤を繰り返してきました。例えば、事務所としてどんな業務を扱えば、スタッフが達成感ややりがいを感じられるのか。給与体系はどうあるべきか。そんなことを考え続けてきた結果、事務所のあり方そのものが少しずつ変わっていったんです。だから、特定 の「この出来事が成長のきっかけ」というわけではないですが、そうした積み重ねが、今の自分の経営のスタイルに大きく影響を与え続けていると思いますね。
倉橋:長い年数をかけなくても大きな案件を経験できるのは、組織の強みならではですね。それに、若いうちに規模の大きな案件に携わるのと、小さな案件を中心にこなしていくのとでは、身につくスキルにも違いが出てきそうです。
ちなみに、神戸先生のご経験から見て、大きな組織にはどのくらいの期間勤めるのが理想的だとお考えでしょうか?
神戸:私は5年半勤めたので、ひとつの目安としてよく『5年くらいは経験するといい』とお話ししています。もちろん、雇う側としては10年、20年と長く勤めてもらえるのが理想ですが、独立を考えるなら営業や経営面まで幅広く経験することが大切です。その意味でも、しっかりと準備を整えて独立するには、やはり5年ほどの期間は必要だと思います。
倉橋:なるほど、独立を視野に入れた場合、5年という期間がひとつの目安になるというお話はとても参考になります。実務だけでなく、営業や経営の経験を積むことも重要なのですね。
地域密着×法人化の
強みで広がる可能性
倉橋:ではここからは、今後の展望についてお伺いしたいと思います。事務所の価値をさらに高め、充実させていきたいというお気持ちは常にお持ちだと思いますが、その実現に向けて特に力を入れていきたい点として、やはり採用やサービスの明確化が中心となるのでしょうか?
神戸:はい、その通りです。また、それに加えて、“対応力”も非常に重要だと考えています。
倉橋:“対応力”というのは、具体的にはどういったことを指しているのでしょうか?
神戸:地元のお客様に対しての対応力ですね。所属する司法書士の人数が多いことで、お客様からのご依頼への対応力が高まるということもありますし、法人化していることによって、ある程度の“継続性”が確保できている点も大きいです。基本的に、司法書士事務所は個人事務所がほとんどなので、もしその司法書士が亡くなってしまうと、事務所自体が終了してしまいますよね。例えば、お客様からのご依頼で遺言書を作成した司法書士が、交通事故や老衰でお客様より先になくなったとします。そうなると、司法書士が亡くなった時点で仕事が継続できなくなり、その後の対応をどうするかという問題が出てくるんです。
しかし、法人の場合は、私が亡くなっても事務所が続きますし、他にも司法書士がいるので業務が終わることはありません。もちろん、その遺言書が無効になるわけでもありません。そういった“対応力”という点で、法人化していることが重要だと考えています。
川越のエリアに関して言うと、恐らくこのような体制を持つ事務所はうちぐらいだと思います。だからこそ、私たちにしかできないことをもっと広めていくことが、今後の展望として重要だと考えています。
倉橋:確かに、遺言書の作成や相続問題は、誰にとっても避けられないテーマでありながら、一生のうちに何度も経験するものではないからこそ、お客様にとっては、担当者が急にいなくなる心配がないという点が、安心して依頼できる大きな要素になるのかもしれません。その意味でも、法人として継続性を確保できることは、信頼性の面で大きな強みになりますね。
神戸:そうですね。それに加えて、今後の展望として、社員を増やしたいという目標もあります。ただ、一度に急激に増やしてしまうと組織としての対応が追いつかなくなるため、教育面や管理面をしっかり整えながら、提供するサービスの質を維持しつつ、数年かけて現在の20名から30名程度まで増やしていきたいと考えています。特に、10代~20代の若い世代で、新しいアイデアや発想を持ち、柔軟な視点で物事に気づける人材を求めていますので、入社間もない社員でも意見を発信しやすい職場環境づくりを大切にしています。
倉橋:
経験の浅い段階から意見を言える場があることで、成長のスピードも加速しそうですね。今後どのように事務所が発展していくのか、ますます楽しみです!
今回のインタビューを通じて、司法書士業界の現状や法人ならではの強み、そして組織としての今後の展望について、非常に興味深いお話を伺うことができ、大変勉強になりました。
本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました!
会社概要
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●遺言書作成支援・遺言執行 ●相続手続き(不動産の名義変更、相続放棄、相続手続き全般)
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