リーダーシップへの舞台裏Vol.18 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
目次
現場力×信頼の経営―――
“即行動”の精神を武器に 未来を切り拓く!
30年以上にわたり現場を支え続け、今は次世代への継承を 見据えて人材確保や職場環境の改善に尽力する下地社長。信頼される企業であり続けるために大切にしていることとは?そして、描く未来とは?現場の最前線から見える経営のリアルを伺いました!
【プロフィール】
1973年 神奈川県鶴見区生まれ。
幼少期からものづくりに興味を持ち、プラモデルやラジコンの製作に夢中になる。
高校卒業後は定職に就かず、アルバイトをしながらさまざまな経験を積む。
19歳の時、父が営む「シモジ工業」に入社。2004年に法人化し、「有限会社エス・エム・ジェイ施工サービス」へと発展。法人化後は父とともに 2代表制をとり、経営を一から学ぶ。
事業を引き継いでからは、次男とともに仕事に没頭し、休みもほとんど 取れないほどの日々を過ごす。そんな中でも、わずかな休日には野球観戦を楽しみながら食事やお酒を嗜むことが何よりの楽しみ。最近はキャンプにも興味を持ち、「いつか挑戦してみたい」と意気込んでいる。
プロフェッショナルの仕事道
~信頼と品質を支える現場力とは~
倉橋::はい。当社、有限会社エス・エム・ジェイ施工サービスは、物流倉庫などで使用される機械や棚の設置作業を手がけています。具体的には、倉庫内のコンベアや保管棚の組み立て・設置を行っていまして、例えばコストコのような大型店舗にあるオレンジと緑の大きな棚をイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
下地:はい。私は、株式会社埼玉武蔵ヒートベアーズの代表取締役社長を務めていまして、現在で3期目を迎えています。事業概要としては、独立リーグ公式戦の開催をはじめ、地域活性化を目的としたスポーツ普及活動、さらに行政や地域団体との連携事業の企画・運営に取り組んでいます。親会社である株式会社ONDOホールディングス(温浴事業・地域再生事業)傘下の一事業会社という位置づけで、所在地は埼玉県熊谷市久保島にある温浴施設内にあります。
倉橋:コストコの頑丈そうな棚、テレビで見たことがあります(笑)!そういった機械や棚を、お客様の倉庫で組み立てるお仕事なんですね。どのような業種のお客様が多いのでしょうか?
下地:そうですね。元請けとしては、トヨタL&FさんやIHI物流産業システムさん、ライオン事務器さんや内田洋行さんなど、物流関連からオフィス関連まで様々な業種のお客様がいらっしゃいます。 基本的な流れとしては、まず元請け企業さんから三進金属工業株式会社さんに依頼が入り、三進金属工業さんが製造した機械や棚を、専属業者である私たちが現場で組み立てるという仕組みになっています。
倉橋:なるほど!普段何気なく目にする設備の裏側には、こうしたプロの技術と緻密な連携があったんですね。下地社長の会社は三進金属工業さんの専属業者とのことですが、その信頼関係を築き、さらに強固にするために、下地社長が大切にされていることは何でしょうか?
下地:そうですね…私たちが作業を行う現場の多くは、買い物客がいる商業施設など、人の往来がある場所なので、事故を起こしたり物を壊したりすると、当然ながら三進金属工業さんにも影響が及びます。そうしたトラブルを防ぐためにも、安全管理には細心の注意を払っています。それから、決められた納期を厳守して確実に作業を完了させることも、信頼関係を維持する上で非常に重要だと考えています。ちなみに、ここ10数年はそういったトラブルも残業もないんですよ。
倉橋:確かに、事故防止も納期厳守も、信頼関係を築くうえで欠かせないポイントですね。どちらも決して簡単なことではないと思いますが、それを10年以上も徹底して実践し続けているのは本当に素晴らしいと思います!実際に作業されている社員さんのスキルアップや意識向上のために、何か特別に取り組まれていることがあるのでしょうか?
下地:うーん、特に何かを強制的にやらせることはないんですが、ひとつ、社内で大切にしているスローガンがありまして。“「後でやろう」「明日やろう」は馬鹿やろう”という言葉です(笑)。つまり、物事を後回しにしないで、思い立ったらすぐ行動することを常に意識するよう、普段から社員に伝えているつもりです。
倉橋:“「後でやろう」「明日やろう」は馬鹿やろう”…とてもインパクトのあるこの言葉、私自身にもすごく響きました(笑)。先延ばしせず、すぐ行動するという意識が根付いているからこそ、10数年という長い間、高い品質を維持し続けてこられたんですね。
様々な什器での作業や、配線工事なども請け負い、スピーディーな工事完了を達成することでお客様からの信頼を得ているそうです。
仲間と家族の支えが生んだ強い絆――
仕事の原点と成長の軌跡
倉橋:ところで、1977年に設立された会社と伺っていますが、創業時のお話や、下地社長がこの会社で働くことになった経緯についてもお聞かせいただけますか?
下地:はい。当社はもともと、父が個人事業として立ち上げた「シモジ工業」が始まりでした。その後、2004年に法人化し、現在の「有限会社エス・エム・ジェイ施工サービス」となったんです。最初は2代表制で運営していましたが、次第に私が中心となって指揮をとるようになり、気づけば自然と事業を引き継いでいた…という流れですね。それから、私自身がこの会社で働き始めたのは…正直、あまりはっきりとは覚えていないのですが(笑)。当時19歳だった私は、定職に就かず、いろいろなアルバイトをして過ごしていました。そんな時、父から「フラフラしているなら、一緒に働いてみないか」と声をかけられたんです。最初はあまり気が進まなかったのですが、特にやりたいこともなかったので、なんとなく始めたというのが本音ですね(笑)。 そんな軽い気持ちで始めた仕事ですが、気づけばもう30年以上続けています。
倉橋:そうだったんですね!最初はなんとなく始めたお仕事だったとのことですが、これまで続けてこられる中で、「もう辞めよう」と思ったことはなかったのでしょうか?また「この仕事を続けていこう」と決意されたきっかけについても、ぜひお聞かせください!
下地:最初は本当に、アルバイトのような感覚で手伝っていましたね。「自分には向いてないな」と思うこともなく、ただ仲の良い同僚や先輩と一緒にいることが楽しかったんです(笑)。でもある時から、作業を終えて完成したものを見た時に「自分がこれを作ったんだな」と実感するようになって、それからだんだんとこの仕事にのめり込んでいったような感じです。もともと、プラモデルやラジコンを作ることが好きだったので、その延長のような感覚だったのかもしれません。
倉橋:お好きなことが仕事につながっているなんて素敵ですね。それに、やはり職場の雰囲気や人間関係は、仕事を続けるうえで大切だと思います。当時、一緒に働いていた仲の良い同僚の方は、今も会社にいらっしゃるのでしょうか?
下地:それが実は、入社当時からとても慕っていた先輩が、6年ほど前に突然亡くなってしまって。病気が原因でした。前日の夜まで一緒に元気に過ごしていたので、あまりに突然のことで…本当にショックでした。「もう自分もいいかな」「辞めようかな」と思うほど、気持ちが落ち込んでしまったんです。
倉橋:そんな大変な状況があったのですね…。そこから、どのように立ち直られたのでしょうか?
下地:その時、すでに会社で一緒に働いていた次男に相談したんです。すると彼が、「俺が頑張るから、一緒にやろう」と言ってくれて…この会社を継ぐ決意を固めてくれたんです。その言葉があったからこそ、今の自分があると思っているので、次男には本当に感謝しています。とはいえ、普段はなかなか面と向かって言えませんが(笑)。そんな彼も今では30歳になり、社内で最も経験の長い社員の一人になりましたよ。
倉橋:息子さんの支えがあったからこそ、ここまで乗り越えられたんですね!家族や社員との絆が、会社の力強い基盤となっているのだな、ということがよく伝わってきます。
次世代とともに築く、新たな企業のかたち
倉橋:では、息子さんが会社を支える存在になられた今、これからどのような未来を思い描いていらっしゃいますか?また、今後取り組んでいきたい課題についてもお聞かせください!
下地:一番の課題は、やはり人材の確保ですね。この仕事には体力が求められますし、朝早くから夜遅くまでの勤務になることも多いので、続けるのが難しいと感じる人も少なくありません。
さらに、当社を第一志望として入社を希望する方が少ないという現状もあります。ですから、これからは労働環境の改善に力を入れて、より働きやすい職場をつくっていかなければならないと強く感じています。
倉橋:
働き手の確保は、どの業界でも大きな課題になっていますよね。特に第一志望で入社される方が少ないとなると、会社の魅力をどのように発信していくかも重要になりそうですね。労働環境の改善については、具体的にどのような取り組みを考えていらっしゃいますか?
下地:まず取り組みたいのは賃金の見直しですね。体を使う仕事だからこそ、それに見合った報酬をしっかりと確保していきたいと考えています。
さらに、プライベートの時間を確保しやすくすることも重要だと思っています。ただ、現状ではなかなか難しい面もありまして…。
その点については、若い世代の考えにも柔軟に対応できるよう、次男の意見を大いに取り入れながら、より良い環境づくりを進めていければと思っています。
倉橋:下地社長のお話を伺っていると、お仕事の内容としては安定した需要があり、今後もその需要が継続する可能性が非常に高い分野であることがわかります。ただ、業界全体に共通する最大の課題は「働き手の確保」ですよね。
例えば、賃金の見直しや働きやすい環境づくりを進めることが、当面の重要な課題となるわけですね。今後の労働環境の改善や、働き手のワークライフバランスの確保に重点を置きながら、会社の発展を見据えている下地社長の視点が印象的でした。 息子さんとのタッグにも期待が高まります! 社長のお話を聞きながら、「この業界がもっと見直され、さらに活気づいていくといいな」と強く感じました。それでは最後になりますが、これから独立を考えている方や若い世代へのアドバイスをいただけますか?
下地:アドバイスですか…。正直、あまり偉そうなことを言うつもりはないのですが(笑)、もし聞かれたら、「常にお客様の目線で仕事をすることが大切だ」と伝えたいですね。どうしても「稼ぐこと」に意識が向いてしまうと、仕事の丁寧さや、お客様の気持ちを考えて行動することを忘れがちになってしまいます。でも、長く仕事を続けていく上で本当に大事なのは、そうした姿勢だと思うんです。結果として、それがお客様や周囲からの信頼につながり、自然と評価されるようになると考えています。
倉橋:本当にその通りですね。お客様目線を大切にすることで、自然と信頼が生まれ、仕事の評価にもつながるのだと思います。下地社長のこれまでのご経験が詰まった、素晴らしいお言葉だと感じました!本日は貴重なお話をありがとうございました。下地社長の仕事への姿勢や、会社をより良くしていこうとするお考えを伺い、大変勉強になりました。これからのさらなるご活躍を心より楽しみにしております!
下地社長のご家族。仕事に真剣に向き合う姿勢の裏には、温かく支えてくれる家族の存在があります。どんなに忙しくても、家族と過ごす時間が社長の活力の源。今は、将来3代目となる息子さんとの会話は少ないそうですが、頼もしい働きぶりを見ていると、下地社長自身の次の挑戦への活力にもなっているそうです。
有限会社エス・エム・ジェイ施工サービス
【事業内容】
内装、物流棚組み立て工事 など
【所在地】
〒125-0063 東京都葛飾区東堀切3-1-3
(TEL)03-3690-6461
(携帯)080-5402-5322