消費税納付額の計算と仕入税額控除を受けるためのルール。必要な保存書類について

こんにちは。税理士法人サム・ライズの中西です。

前回までの記事で、消費税の課税、非課税、不課税について基本的な考え方を紹介したところで、今回は消費税納付額の計算の際、仕入税額控除を受けるためのルールについて紹介していきます。

消費税の仕入税額控除とは

そもそも消費税の仕入税額控除とは何でしょうか?

消費税は納税者が自ら税額を計算し納付する「申告納税方式」の税金ですが、その納付額を計算する際は、
売上にかかる消費税-仕入れにかかる消費税=納付する消費税
で計算します。

この仕入れにかかる消費税をマイナスする事を仕入税額控除といいますが、仕入税額控除ができないという事は、単純に納付税額が増えてしまい損をしてしまう事になります。

仕入税額控除の適用を受けることが欠かせない事がわかると思います。

控除を受けるためには

仕入税額控除の適用を受けるためには、決められた事項が記載された帳簿と請求書等の両方を保存することが法律で求められています。
そして、保存期間は7年間です。

正式には「課税期間の末日の翌日から2か月(※)を経過した日から7年間」となっています。
例えば2021年3月31日が事業年度の末日である場合、2021年6月1日から7年間ということになります。
(※)延長特例を受けている法人は3ヶ月

帳簿の記載事項

帳簿に記載すべき事項は以下の通りです。
なお、仕入税額控除の対象となる取引は「課税仕入れ」「保税地域からの課税貨物の引取り」の2パターンありますが、それぞれで記載事項が異なります。

課税仕入れを行った場合

① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れの内容
④ 課税仕入れで支払った金額

保税地域から課税貨物を引き取った場合

① 課税貨物を引き取った年月日
② 課税貨物の内容
③ 課税貨物の引取りにかかる消費税等の額←支払った消費税の額です。課税貨物の金額ではない点に注意が必要です。

通常、会計ソフトなどに仕訳を入力する際、日付や金額は入力欄がありますので、摘要欄等で取引の相手方の名称と内容を記載する事に気を付ければよいでしょう。

これらの内容を決算の際にまとめて確認する作業は大変ですので、日々の仕訳入力の段階で記載事項に注意することが大切です。

なお、法人税・所得税の要件を満たす帳簿書類と消費税の帳簿書類を二重で作成する必要はなく、両方の要件を満たす帳簿書類を作成すればOKです。

請求書等の記載事項

請求書等については、取引の相手から交付を受ける場合のほかに、自社で仕入明細書等を作成する場合もあります。
その場合は、取引相手の確認を受けなければなりません。

請求書等を取引の相手から交付される場合

① 書類作成者の氏名又は名称
② 取引を行った年月日
③ 取引の内容
④ 取引で支払った金額
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称←小売業・飲食業など、不特定多数の相手に交付する場合は必要ありません。①~④のみでOKとされています。

仕入明細書等を自社で作成する場合(※相手方の確認を受ける事が必須)

① 書類作成者の氏名又は名称
② 相手の氏名又は名称
③ 取引を行った年月日
④ 取引の内容
⑤ 取引で支払った金額

保税地域から課税貨物を引き取る場合

① 納税地の所轄税関長
② 課税貨物の引取りが可能になった年月日
③ 課税貨物の内容
④ 課税貨物の課税標準額及び消費税等の額
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

なお、自社で仕入明細書等を作成する場合は基本的に取引の相手方の確認(サインや押印)が必要なのですが、次の方法も認められています。

① 仕入明細書等の内容を相手方の端末に出力し、相手方の確認の通信を受けた上で、自社の端末で出力したもの
…通信で相手の確認を受ける方法です。この方法は少し手間が省けますが、基本的にその都度内容確認が必要ですので、取引の多い会社などは次の②の方法を採用することが多いようです。

② 仕入明細書等の写し等を相手方に交付した後、一定期間内に誤りがある旨の連絡がない場合には、記載内容の確認があったものとする基本契約を締結しておいた場合の、その一定期間を経たもの
…前もって契約で「誤りがあった等の連絡が一定期間内にない場合は、内容の確認があったものとする」という取り決めをしておけば、その都度内容の確認をする必要もありませんので、取引の多い会社の実務においてはこちらが現実的な方法であるといえます。

請求書等の保存が必要ない場合

消費税の仕入税額控除を受けるためには、帳簿と請求書等の両方セットで保存するのが基本的なルールですが、特例として以下の場合は請求書等の保存が必要ないとされています。

支払った金額が3万円未満の場合

税込みの支払い金額が3万円未満の場合は、請求書等の保存は必要なく、帳簿のみの保存で仕入税額控除が受けられます。

自動販売機で購入した場合

自動販売機は領収書の発行がありませんので、特例的に領収書がなくても仕入税額控除が受けられます。
帳簿の保存は必要ですので、記帳の際、摘要欄に自動販売機の購入である旨を明示すると良いでしょう。

電車などの切符で回収されてしまう場合

電車などの切符も、降りるときに回収されてしまいますよね。このように領収書等が回収されてしまうような場合も、特例的に領収書がなくても仕入税額控除が受けられます。

軽減税率の導入で帳簿や請求書等の記載内容はどう変わったか?

ここまでで、帳簿と請求書等の基本的な記載内容についてお伝えしましたが、軽減税率の導入でこの記載事項も変更されています。
税率ごとに区分して記帳することが求められるようになりました。

区分記載請求書等保存方式

2019年10月1日から導入された軽減税率制度により、対象品目を取り扱う事業者には「区分記載請求書等」の発行が求められ、税率ごとに区分した請求書等を発行する必要が出てきました。今までの請求書等の記載事項と比べると変更したのは③と④です。
① 書類作成者の氏名又は名称
② 取引を行った年月日
③ 取引の内容(軽減税率対象の場合には、その品物の内容と軽減税率の対象である旨)
④ 税率ごとに合計した支払金額(税込価格)
⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称←小売業・飲食業など、不特定多数の相手に交付する場合は必要ありませんでしたね。
③の軽減税率の対象である旨は、スーパーのレシート等でもよく見られますが、軽減税率の対象となる商品に※や☆を付けて、これらの記号が軽減税率の対象である旨を別途表示している場合があります。
この様な表示方法も認められています。

また、税率ごとに請求書等を分けて作成し、軽減税率対象分にはその旨を明示するという方法も認められています。

また、帳簿の記載事項については、③の内容が変更されています。

① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れの内容(軽減税率対象の場合は、その品物の内容と軽減税率の対象である旨)
④ 課税仕入れで支払った額
帳簿の記載事項では、軽減税率の品物の内容と、軽減税率対象である事を記帳する点が変更されました。
多くの会計ソフトは、消費税率の欄に軽減税率である旨が明記されますので軽減税率を選択し、摘要欄に品物の内容を記帳する事になります。

まとめ

消費税の計算において仕入税額控除を受けることは欠かせませんが、その仕入税額控除を受けるためには、「帳簿と請求書等の両方の保存」が必要であると定められています。

それぞれの記載事項について上記の様にルールが定められていますので、そのルールに則った方法で保存するように注意しましょう。

2019年10月から複数税率制度が開始され、区分記載請求書等保存方式に変更されましたが、2023年10月には、適格請求書等保存方式(インボイス制度)というさらに大きな改正が予定されています。

継続して的確な情報収集を行うことが大切ですね。

参考
消費税法基本通達11-6-2 11-6-3 11-6-4 11-6-5

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