コロナ対策関連の消費税経理処理

こんにちは。川越の税理士法人サム・ライズの中西です。

前回の記事では、消費税の基本的な考え方について紹介していきましたが、今回は新型コロナウイルス対策関連で消費税の取り扱いが気になったものや、従来からある取引の中で間違いやすいものについて紹介していきます。

新型コロナウイルスに関する給付金の消費税は?

新型コロナウイルス関連で様々な給付金が支給される事となりましたが、それらが支給された際の消費税の課税関係はどうなるのでしょうか?代表的なものを見ていきます。

・持続化給付金…消費税は課税対象外(不課税)となります。

・家賃支援給付金…消費税は課税対象外(不課税)となります。

・雇用調整助成金…消費税は課税対象外(不課税)となります。

・新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金…消費税は課税対象外(不課税)となります。

その他様々な給付金・補助金がありますが、いずれも消費税は課税対象外となります。考え方はどれも同じで、「対価性がない」ことを理由に消費税の課税対象外とされています。

ここで注意したいのは、「消費税は課税対象外ですが、法人税・所得税の課税関係は別である」ということです。

例えば、持続化給付金は対象の法人なら200万円、個人事業主は100万円給付されるわけですが、法人税・所得税では益金・所得となり課税されます。消費税では課税対象外ですので注意が必要です。また、家賃支援給付金も法人税・所得税では課税されるので、消費税の取り扱いとは異なります。

この様に、法人税・所得税の課税関係については、消費税の取り扱いとは区別して考える必要があります。

GOTOトラベル事業の消費税は?

GOTOトラベル事業では国が旅行代金の35%を負担することになっていますので、旅行業者や宿泊業者においては国から給付金を受ける事が出来ます。その給付金について消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか?

例えば、旅行業者が10万円の商品を販売した際、旅行者からは65%分(税込み71,500円)を受け取り、残り35%分(税込み38,500円)について国から給付を受けます。この時、消費税でいう「資産の譲渡等の対価の額」は商品の値段の10万円ですので、10万円が課税売上になります。ここでの考え方は、商品の35%分代金については国が負担しますが、商品の値段自体は変わっておらず、消費税上の「対価の額」が変わるわけでもないという事です。旅行業者は旅行商品の値引きを行ったわけではないという考えです。従って商品代金の10万円が消費税の課税売上になります。

これをGOTOトラベルの利用者側(旅行者側)から見てみれば、旅行商品10万円が課税仕入れになります。会社が経理処理する際は、国から充当された金額(35%分)について、従業員との間でそれを含めて精算した場合は次のようになります。

35%分を含めて従業員との間で清算する場合
旅費交通費 100,000円
(課税仕入)
現金 110,000円
仮払消費税等 10,000円

充当された35%分を従業員との間で精算しない場合は、雑収入などで計上し、国からの補助金の取り扱いのため消費税は不課税となります。

35%分を従業員との間で清算したい場合
旅費交通費 100,000円
(課税仕入)
現金 71,500円
仮払消費税等 10,000円 雑収入 38,500円
(不課税)

※観光庁によりますと2020年11月6日販売分よりビジネス目的をGOTOトラベルから除外すると発表がありました。上記の記述はそれ以前の取引を前提としています。

PCR検査費用(自費)の消費税は?

新型コロナウイルス対策として、社員を対象に自費でPCR検査を受けさせる事も増えてきたと思います。自費でPCR検査を受けた場合、その費用は消費税の課税仕入れとなります。そもそも、消費税の非課税となる医療費は公的医療保険の対象となるものに限られていますので、自由診療のものについては消費税が課税されます。自費のPCR検査も自由診療ですので、消費税が課税されます。

健康診断や予防接種は消費税の課税仕入れ

先ほども述べましたが自由診療については消費税の課税対象ですので、会社で負担する健康診断や人間ドック、予防接種代は消費税の課税仕入れとなります。その他にも、会社の福利厚生の一環として自由診療のものを負担した場合には、消費税の課税仕入れになります。

産業医の報酬は課税仕入れ

その他に医療関連の消費税の取り扱いで注意したいものとして、産業医の報酬があります。

会社で産業医を雇っている場合が少なくないと思いますが、提携している医療法人への委託料の支払いは消費税の課税仕入れとなります。産業医報酬が医療法人において保険適用外のその他の医業収入となるため、消費税の非課税取引とはならず課税になります。

ただし、個人の産業医へ報酬を支払っている場合、その報酬は給与扱いとなり、消費税は不課税となります。

ここまで新型コロナウイルス対策関連の消費税について、気になる取り扱いを紹介してきましたが、続いては従来からある消費税の取り扱いで間違いやすいものについて紹介していきます。

諸会費の消費税は?

会費の消費税の取り扱いについては、対価性があるかどうかに注目します。例えばセミナーや講座などの会費は、会費を支払う事でその講義や講演が受けられるので、役務の提供の対価として消費税は課税されます(課税仕入れ)。一方、同業者団体に支払う通常会費の場合は、それを支払う事で何か直接サービスを受けたりはしないので、一般的には対価性がないものとして消費税は不課税となります。

通勤手当は課税仕入れ(所得税の非課税は関係ない)

通勤手当については、全額消費税の課税仕入れとなります。よくある間違いとしては、所得税上の非課税と混同したものです。所得税上は一定金額以内の部分については給与課税されず非課税となりますが、消費税においては関係ありません。会社が従業員に支払った全額が課税仕入れとなります。所得税と消費税を混同することがあるため、注意が必要です。

有価証券売却は5%分が非課税売上に!

有価証券の売却は「金銭債権の譲渡」にあたりますので、非課税売上になります。ただし、非課税売上として認識する金額に注意が必要になります。有価証券を売却した際は、その売却額×5%を非課税売上として認識します。さらに注意が必要なのは、売却益や売却損の金額ではなく、売却額×5%であるという点です。

つまり有価証券を売却して利益が出たか損失が出たかは関係なく、その売却額がいくらであったかが重要になります。

ところで、なぜ有価証券の売却額全額ではなく5%分のみが非課税売上になるのか疑問に思うかもしれませんが、それは課税売上割合が極端に下がってしまう事を避けるためです。

そもそも課税売上割合は

$$\frac{課税売上高+免税売上高}{課税売上高+免税売上高+\textcolor{red}{非課税売上高}}$$

このように計算しますので、有価証券の売却が増加するほど課税売上割合がどんどん下がってしまします。課税売上割合が下がれば控除できる消費税額も減り、結果的に納付する消費税が増えてしまいます。その様な事態を避けるために、有価証券については売却額の5%を非課税として認識するという配慮がなされているのです。

 まとめ

今回は、新型コロナウイルス対策関連の消費税の取り扱いを中心にまとめてみました。給付金の消費税の処理においては、「対価性があるかどうか」に着目して処理することとなります。そして法人税や所得税の取り扱いとは異なる点に注意が必要です。また、GOTOトラベル事業における国の負担額については、「値引きではない」という点が重要になります。

新型コロナウイルスはいまだ収束の兆しを見せず、これからさらに新しい保障制度が出てくる事も考えられますが、経理処理をする際には必ずその都度、その取り扱いを確認していく事が重要になります。

参考(観光庁「GoToトラベル事業Q&A集」Q127)

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