損益計算書の分析ポイント解説!これさえできれば、今後の戦略が見えてくる!

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

一雨ごとに、秋の到来を感じられるようになってきましたね。少しずつ出回り始めた秋の味覚を楽しみつつ、あと少しの残暑を元気に乗り切りましょう!

さて、前回のブログでは、貸借対照表の見どころについて解説させていただきました。ポイントを押さえて読み込むことで、会社の財政状態が把握できる、ということについて理解を深めていただけたかと思います。

今回は、貸借対照表と同じように、決算書などの書類として重要視されている「損益計算書」について、どのような構成になっているのか、そしてどのように読み込むことで何が分かってくるのか、ということを詳しく解説していきたいと思います。

この損益計算書の読み込み方次第では、会社の今後の戦略まで見えてきますよ。ぜひ最後までご一読いただき、みなさんの会社経営にお役立てください!

損益計算書の構成

まずは、損益計算書とはどういったものなのか、その構成などのおさらいから始めていきましょう!

5つの利益を理解する

早速、損益計算書を簡易的に表した、下図をご覧ください。

損益計算書には、上の図で赤く記入しているとおり5つの利益があります。

①売上総利益
売上高から、その売り上げにかかる直接的な原価(=売上原価)を差し引いた、損益計算書の中で一番大きな利益のことをいいます。

②営業利益
売上総利益から、人件費や家賃・光熱費など、会社を経営していくにあたって基本的にかかってくる経費(=販売費及び一般管理費)を差し引いた利益のことをいいます。

③経常利益
営業利益からさらに、預金利息など、会社の目的や営業に直接かかわってくる費用ではないが経常的に収入になる収益(=営業外収益)や、お金を借りていた場合に払う利息など営業外の経常的な費用(=営業外費用)を、加算あるいは減算した利益のことをいいます。

④税引前当期利益
経常利益からさらに、不動産売却益など、経常的ではなく突発的に得た利益(=特別利益)や、台風で本社が損失を被った際の修繕費など突発的に損失したもの(=特別損失)を、加算あるいは減算した利益のことをいいます。

⑤当期利益
税引前当期利益から、法人税及び住民税を引いた最終的な利益のことをいいます。

一番大切な利益は「営業利益」

ここでみなさんに考えていただきたいのは、会社にとって一番大切な利益はどれか、ということです。

もちろん全ての利益が大切ですが、中でも一番大切なのは「営業利益」だと私は考えます。なぜかというと、この「営業利益」が出ていない会社があるとしたら、その会社はそもそもビジネスモデル自体が間違っている、ということになるからです。

というのも、経常利益や税引前当期利益は、営業外の収益や損失を加減算して出すものなので、例えば生命保険の解約返戻金などで、ビジネスの本業がうまくいっていなくても出せてしまう利益ですよね。

けれども「営業利益」はそうはいかず、本業の取引だけでしか出せない利益になります。つまり、この「営業利益」がしっかり出せているかどうかで、今後どのような手を打っていくべきかが決まってくるのです。

「一定期間」の経営成績表

これまでのブログでも何度かお伝えしているように、損益計算書はそもそも、「一定期間」の会社の経営成績を表しています。

設立時点から今までの業績が全て詰まっている貸借対照表に対し、損益計算書が表す会社の成績は、その事業年度1年間だけに限定されているのです。

そのため損益計算書だけでは、会社の状態が良好なのか、それとも不安定なのかは判断できません。ですが、これからお伝えする分析ポイントを押さえて読み込むことにより、貸借対照表では見えなかった様々なことが見えてくるのです。

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損益計算書の分析ポイント

それではいよいよ、損益計算書をどう見たら何が分かるのかについて、詳しく解説していきたいと思います。みなさんの会社の損益計算書もお手元にご準備いただき、一緒に確認してみてくださいね。

売上総利益率を分析する

先ほどもお伝えした通り、利益の中で一番大きな利益というと、売上総利益になりますよね。ということは、売上総利益が小さければ、その後の利益がどんどん小さくなってしまいます。

ですからまずは、売上総利益がどれくらいある会社なのか、ということを分析していきたいと思います。具体的な算式は、次のとおりです。

単純に、売上総利益を売上高で割る、というものなのですが、この売上総利益率がどれくらいの大きさなのかによって、利益を拡大するための今後の戦略も異なってきます。

どういうことかというと、次のような2社を比べてみましょう。

・売上総利益率100%のサービス業A社
・売上総利益率20%の建設業B社

原価のないサービス業であるA社は、売上総利益率100%となりますので、売上高がそのままダイレクトに利益へとつながります。

そのためA社は、売上を上げるか経費を下げるか、このどちらかでかなり利益改善できるということが分かります。

一方、建設業のB社は売上総利益率20%なので、もし売上高を1,000万円上げても、利益に結び付くのはそのうちの200万円だけ、ということになります。

ですからB社はもしかしたら、売上を上げることに力を注ぐよりも、利益率を上げる戦略という方に力を注ぐ方が向いているのかもしれない、ということが分かります。

このように、業種によっては、利益を拡大するための今後の戦略も異なってくるのだということを知っておいてください。

ちなみに、この売上総利益率は、経済産業省によって業種別平均値が公開されています。実に細かく業種を区切って数値を出されていますので、自社が今どのくらいの位置にいるのか、ご興味のある方はぜひ調べてみてください。

損益分岐点を分析する

次は、先ほど算出した粗利率を使って、損益分岐点の分析をやっていきましょう。損益分岐点の分析とは何か、というと、利益がゼロになる売上高がいくらなのか算出することを言います。

つまり、仕入原価や様々な経費の「元を取る」ためには、どれだけの売上をあげれば良いのかを把握する、ということです。

具体的な算式は次のとおりです。

一見すると難しく見える算式ですが、右側の分数部分に注目してください。分子にある「変動費」というのは、売上原価と同じことですので、分子は(売上高―原価)、つまり売上総利益となります。

ということは、右側の分数部分は、先ほど解説しました「売上総利益率」だということになるのです。

次に「固定費」というのは、販売費及び一般管理費のことだと思ってください。そうすると先ほどの算式は、次のように置き換えられます。

この指標は、経営計画を立てたり、来期の売り上げ目標を立てたりする時に、使っていくと良いと思います。ただし、この指標をそのまま売り上げ目標にしてしまうと、利益はゼロになってしまいますのでご注意ください!

必ず、損益分岐点売上高以上の数値を目標値に設定するようにしてください。そうすれば、その差額に売上総利益率をかけた分だけ利益が出る、ということになります。

一か月あたりの売上高を分析する

さて、前項までの分析を踏まえた上で、ここからは、“一か月あたり”の分析をしていきたいと思います。まずは、売上高を12か月で割ってみましょう。そして、そこで算出された一か月あたりの平均売上高(=月商)と、借入金の残高を、次の算式のとおり比較してみてください。

こうすることで、借入金の返済余力が見える「月商倍率」という指標が出てきます。

では、どのくらいの数値であれば良いのかというと、一般的には、月商の3倍までが健全な借入限度額だと言われています。この「月商倍率」の数値が5や6というふうに大きくなってくると、だいたい年収の半分ぐらいの借入金があるということになるので、返済余力が少し不安になってきます。

そうなると、銀行がお金を貸すことを渋るようになってきたり、金利が高くなってきたり、というようなこともありますので、ここは見落とさずにチェックしておきましょう!

一か月あたりの固定費を分析する

もうひとつ、“一か月あたり”の分析をしていただきたいのが、販売費及び一般管理費=固定費になります。一ヶ月に必要な固定費が把握できると、より具体的な金額になるため、どの経費をどれくらい減らすことができるのか、またそれによってどのくらいの利益を出すことができるのか、ということを考えやすくなります。

さらに、この一ヶ月あたりの固定費を売上総利益率で割ると、一ヶ月に必要な損益分岐点売上高が算出されます。そうすると、一ヶ月の売上目標というのも、より具体的に設定できるようになり、それがモチベーションにもつながりやすくなるかもしれません。

一人あたりの売上高を分析する

前項までは“一か月あたり”の分析をしてきましたが、ここからは“一人当たり”の分析をしていきたいと思います。まずは、一人あたりの売上高を算出してみましょう。

これにより、「パーヘッド」といわれる数値が算出されます。この数値はただ算出するだけでなく、同業他社や自社他店、目標としている会社の実績とぜひ比較してみてください。

そうすることで、自社が今どれだけのレベルなのかを把握することができるのです。

一人あたりの売上総利益を分析する

次に、一人あたりの売上総利益を算出してみます。

これは、「労働生産性」といわれる数値になります。さらに次の計算式では、より細かな労働生産性の数値を算出することができます。

総労働時間については、タイムカードなどで確認してみてください。これにより、ひとりで一時間あたりどれだけの粗利を出しているのか、ということが見えてきますよ。

この「労働生産性」を向上させるということについては、特にコロナ禍の昨今、より求められるようになってきましたよね。そのためこの数値は、会社が利益を出していくキーワードになる、と私は思っています。

ただし、今期分の数値を算出するだけでなく、毎年あるいは毎月算出していくことが重要になります。そうすることで、今年はどれだけ改善したのか、また労働生産性が悪いのはどのような仕事なのか、などということが見えてきて、今後の戦略につながっていくのです。

一人あたりの販売費及び一般管理費を分析する

それから、一人あたりの販売費及び一般管理費も算出してみましょう。

これにより、社員一人につきどれくらいの販売費及び一般管理費がかかってくるのか、ということが見えてきます。つまり今後、新入社員を一人採用するごとに、どれくらいのお金がかかってくるのか、ということをイメージしやすくなるのです。

一人あたりの営業利益を分析する

また、一人当たりの「営業利益」なども算出してみると、実は面白いですよ。

例えば、一人当たりの「営業利益」が15万円だとすると、

「今年の社員旅行、みんなをハワイには連れていけないな…」
「熱海ぐらいだったら赤字にならずに何とかなりそうだ!」

などということが分かるのです。

このように、“一か月あたり”や“一人あたり”の数値を出してみると、一気にリアルさが増してくると思いませんか?イメージしやすい数字を把握しておくと、今後の利益改善のための戦略を、より具体的に考えることができるようになります。

みなさんにはぜひ、“一か月あたり”“一人あたり”に着目する癖をつけていただきたいと思います。

損益計算書の分析ポイント解説!これさえできれば、今後の戦略が見えてくる、まとめ

ここまで、今後の戦略に繋げるための、損益計算書の分析ポイントを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?損益計算書にある項目ごとに細かい数値を算出するには、手間も時間もかかると思いますが、これをぜひ3期分分析し、並べて見てください。

そうすることで、現在上がり調子なのか下がり調子なのかという推移や、会社のトレンドというものが分かってきます。会社の状況を把握するためにとても役に立ちますので、みなさんもぜひ実践してみてください!

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。当社では、経営者様の伴走者として経営サポートも行っております。オンラインでのご相談も可能ですので、ぜひ川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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