未来会計とは?普通会計との違いと具体的に行うべきこと
目次
こんにちは、埼玉県川越市の税理士法人サム・ライズの林公士郎です。
会社を運営していくうえで欠かせない「未来会計」ですが、あまり耳慣れない言葉かもしれません。一般的な会計と未来会計とは、どのような点に違いがあるのか?また、「未来会計」とは具体的にはどのようなものなのか、今回の記事で分かりやすくご説明していきたいと思います。
例えば今、会社について以下のような課題はありませんか?
✔ 経営を行っていくうえで「ヒト」「モノ」「カネ」すべてのことについて常に不安を感じている。
✔ 目指すべき明確なビジョンが打ち出せていないため、社員と目標共有が出来ずにいる。
✔ 社員に満足してもらえる給与や賞与を出せていないため、人の流動が激しい。
「未来会計」は、上記のような課題についても根拠ある経営方針を打ち出していくことにより、解決するための役割を果たします。
そのため、「未来会計」を取り入れているかいないかで、5年後、10年後の会社経営に大きく影響するといっても過言ではありません。
このコラムではそんな「未来会計」を取り入れるメリットや、取り入れるためにする必要があることについて解説していきます。
未来会計とは
目標予算をたて、過去の実績と比較していくことで現状の経営状態を正しく把握し、先の未来にむけて何が足りていないのか、どのような方針・努力をおこなっていく必要があるのかを管理していくための会計方法となるのが「未来会計」です。
会社を「思い描く未来の姿に構築していくため」の指針となるため、いわば会社の方向性を示す羅針盤と言えます。
羅針盤を正しく設定し長く経営を続けていくためには、単なる理想ではなく、しっかりと数字に基づいた根拠あるビジョンが必要です。
未来会計は、これまでの経理集計データを単なる税金計算のためだけに利用するのではなく、未来を創るために活用して経営ビジョンを打ち出しいくことで、単なる黒字決算だけを目指すのではなく、その先の会社の未来を創っていくという根本的な思想も打ち出すことができるため、経営者の意思決定サポートにも役立つ管理会計なのです。
未来会計と過去会計との違い
未来会計の対義語に「過去会計」があります。
過去会計は、年間売上と費用集計をおこなって決算書を作成し税金を算出する、いわば税務申告のための会計のことを指します。過去会計は、単に実績に基づいた数値算出を行う「作業」です。
「未来会計」と「過去会計」は、用途も視点も、まったく異なります。どちらか一方だけを行なえばいいということではなく、会社を経営していくうえではどちらも重要で、欠かすことのできない大切な内容といえます。
未来会計を行なうメリット
未来会計を行なうことで得られるメリットは大きく3つです。
お金の流れ(キャッシュフロー)を明確にできる
お金の流れを明確にし、正しい管理を行うことで、経営の安定度を高めると同時に、経営上の意思決定を行う際の自由度も上げることができるようになるため、必要な時に必要な経営判断がしやすくなります。
また、資金ショートのリスクを早めに予見できるようになり、銀行などへの対外的な信頼度もあげることができるため、資金繰りもしやすくなるといったメリットがあります。
現状の問題点を明確に把握し、実施すべき体制転換の指針になる
場当たり的な会計ではなく、数年先を見据えた計画をもとに節税対策や資金繰り対策、黒字化プランなどを作成することで、現状の課題を抽出し、あるべき姿に転換するための明確な指針を策定することができます。
資金繰り対策の見通しが立ち、未来を見据えた明確な経営判断を行うことができる
根拠ある指針のもと、いつどのタイミングで投資をおこなえるか、いつまでにいくらの売り上げが必要なのかなどが明確化されるので、目先の数字だけで一喜一憂する必要がなく、期末業績予測から状況に応じて毎月の売り上げ目標を見直し続けていくことができるようになります。
未来会計で具体的に行うこと
未来会計を具体的に行う流れは以下のとおりです。
①会社の現状を正しく把握する
↓
②事業の内容・財務状況・収益状況から経営課題をまとめる
↓
③経営課題を解決するための策をまとめる
↓
④【PLAN(計画)】経営課題解決策を実行するための経営計画をまとめる
↓
⑤【DO(実行)】策定した課題解決策を実行する
↓
⑥【CHECK(評価)】解決策の状況をモニタリングし状況を把握する
↓
⑦【ACTION(改善)】場合によっては追加施策を検討し続ける
未来会計では現在と未来のギャップを見える化し、未来に近づけるための施策を行い続けることが重要です。
これは、計画にない目先の目標や場当たり的な対応行うことを防ぎ、社内の全員が共通目標を持ったうえで進んでいくことを当たり前にする体制を作っていくことを意味します。
未来会計で行うPDCAの重要性
未来会計で大切なのは、現状を正しく把握し、未来の理想とする姿を現実化するために対策を打ち続けていく「PDCA」を出来るようにすることです。
PDCAは、「PLAN(計画)」「DO(実行)」「CHECK(評価)」「ACTION(改善)」という4つのステップを繰り返しおこなっていくことで、経営に良い循環をつくっていくことを指します。
このPDCAを着実に行っていくことで、会社は間違いなく成長していくと言えます。
しかし、PDCAは実際に自社内で行おうとすると難しく、苦戦する企業が多いのが現状です。なぜなら、未来のあるべき姿を決めるPLANの方法と、現在の状況を正しく評価するCHECKの方法がいざ行ってみると難しいからです。
そのため、未来会計を成功させるための最も良い方法は、PLANを共に考え、正しいCHECKをサポートすることができるお金のプロである税理士と共に進めていくことです。
未来会計の提案ができる会計事務所とできない会計事務所の違い
企業が会計事務所に求めることの一つに「事業についての提案力」があります。それは、お金のプロである税理士の視点が経営者にとって非常に重要であるためと言えるでしょう。
しかし日々の会計処理や試算表作成といった過去会計にあたるルーチンワーク、相談を受けてからの応対といった受け身対応に主軸を置いている税理士は意外と多いものです。
日々のルーチンワークをミスなくこなしていく税理士も会社にとっては重要ですが、会社の未来を築いていくためのパートナーとしての税理士を求めるのであれば「未来会計」を正しく導入し提案していくことができる税理士に依頼をすることが大切です。
そのためには、単なる税金計算だけではなく、会社の声を聞き、数字を活かした事業についての提案を行うことができる税理士がいる会計事務所に相談を行いましょう。
未来会計とは?普通会計との違いと具体的に行うべきこと、まとめ
未来会計について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
未来会計を行なうことで当初課題として挙げていた以下の内容について、どのように解決できるようになるかを見てみましょう。
✔ 「ヒト」「モノ」「カネ」などすべてのことについて経営を行っていくうえで常に不安を感じている。
→ 数年先の目標が明確化されたことにより、その場しのぎの対応ではなく、未来を見据えた対応ができるようになる
✔ 目指すべき明確なビジョンが打ち出せていないため、社員と目標共有が出来ずにいる。
→ 経営計画が明確化されたことにより、目標の共有化ができ、社員一丸となって同じ方向で進むことができるようになる
✔ 社員に満足してもらえる給与や賞与を出せていないため、人の流動が激しい。
→ 経営計画を着実に達成していくことにより、社員への利益分配を増やすことができるようになり、人の流動も抑えることができるようになる
未来会計は、その名の通り会社の未来を創っていくための重要な取り組みです。そのためにはより良いパートナーとなる会計事務所とタッグを組んで進めていくことが大切です。
弊社は、お客様と課題を共有し、会社の未来を創り上げていくお手伝いをしていくことを大切にしています。
現在会社の経営方針策定にお困りごとがある、あるいは「未来会計を導入してみたいが、どのように始めればよいかわからない」といったお悩みのある経営者の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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