【図解】決算書の読み方と簿記の仕組み~会社の財務状況を把握しよう!~

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

日ごとに暑さが厳しくなってきましたね。

夏本番に向けて、今の時期からバテない体づくりを心がけましょう!

さてみなさんは、「決算書」はなぜ必要なのか、考えたことがありますか?

「税務署に申告するために必要だから」とか、「会社の債権者や投資家に対して、会社の経営状況を報告するために必要だから」という考えももちろん、決算書の大きな役割であることに間違いはありません。

ですが、私がみなさんにお伝えしたいことは、決算書を読み込むことで、「自社の財務状態を把握できるだけでなく、会社を成長させるための対策まで打てるようになる」ということです。

今の会社をより良く、より強くしていくためには、まず今の会社の状態をしっかり把握することが大前提ですよね。

そこで今回のブログでは、会社の財務状態を把握するために知っておきたい、「決算書の読み方」と「簿記の仕組み」について、分かりやすい図表などを用いて詳しく解説していきたいと思います。

ぜひみなさんの会社の決算書もお手元にご準備いただき、一緒に読み進めてまいりましょう!

決算書とは

そもそも決算書とは、次の3つの書類から成っています。

・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書

これらの中でも今回は、「貸借対照表」と「損益計算書」の2つを中心に解説していきたいと思います。

というのも、中小企業の場合「キャッシュフロー計算書」の作成が義務ではなく、ほとんどの会社は「貸借対照表」と「損益計算書」で済ませているからです。

ではまず、「貸借対照表」と「損益計算書」はそれぞれ何を表しているのか、詳しく見ていきましょう。

貸借対照表は「一定時点」

貸借対照表は、「一定時点」の会社の財政状態を表しています。

この「一定時点」というのが貸借対照表の特徴であり、同表には必ず「〇月〇日現在」と明記されています。

ここで例として、“サムライズ商事”の貸借対照表を見てみましょう。

上の表では「2020年12月31日現在」と明記されています(黄色のハイライト部分)。

つまりこの貸借対照表は、設立時点からずっと積み重なってきたものを、決算期末の「2020年12月31日現在」の時点で切り取った時の状態を表している、ということになります。

ただし、この「一定時点」が示す時期については、貸借対照表の作成時期が「毎月」なのか「決算期」なのかで、その意味が異なってきますのでご注意ください。

今回の例のように、「決算期」における貸借対照表の場合は決算期末時点を示すのに対し、「毎月」作成している貸借対照表の場合はその月の末日時点を示すことになります。

損益計算書は「一定期間」

一方、損益計算書は「一定期間」の会社の経営成績を表します。

ですから必ず、「自:〇月〇日 至:◎月◎日」などというふうに、対象となる事業年度の期間が明記されています。

こちらも例として、“サムライズ商事”の損益計算書を見てみましょう。

上の表の青色のハイライト部分が、この損益計算書の「一定期間」を表していますね。

つまりこの損益計算書は、2020年1月1日から2020年12月31日までを対象とし、この1年間だけの成績を示していることになります。

ここでみなさんに知っておいていただきたいのは、貸借対照表と損益計算書が示す数字の根拠はそれぞれ全く違う、ということです。

設立時点から今までの業績が全て詰まっている貸借対照表に対し、損益計算書が表す会社の成績は、その事業年度1年間だけに限定されていますよね。

ということは、会社の状態が良好なのか、それとも不安定なのかは、損益計算書だけでは判断できないのです。

ですから私たちが決算書で会社の経営状況を見る時には、貸借対照表を重視して分析するようにしています。

けれども損益計算書は、1期分だけでなく直近3期分を分析することで、会社の収益性や、会社が採ってきた戦略というものが見えてきます。

このように、貸借対照表と損益計算書、それぞれの特徴を生かしながら分析することで、会社がもっと良くなるにはどんな手を打つことができるか、ということを判断できるようになるのです。

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決算書の構成

では次に、貸借対照表と損益計算書が、それぞれ具体的にどのような構成になっているのかを見ていきましょう。

一見難しそうに見えますが、実は下の図のように5つのブロックしかなく、いたってシンプルなものなのです。

貸借対照表は「資産」「負債」「資本」の3ブロック、損益計算書は「費用」「収益」の2ブロック、合わせて5つのブロックです。

このいずれかが増減することで、会社は良くなったり悪くなったりします。

貸借対照表の読み方

ではそれぞれの表を、さらに細かく読み込んでいきましょう。

まずは貸借対照表からです。

お金をどのように調達し、どのように運用しているか

貸借対照表は、下の図のように右(=調達部門)と左(=運用部門)とに分かれていて、視覚的にも分かりやすく資産状況が示されています。

先に右側を見てみると、「負債(=借入金)」と「純資産(=資本金や利益)」のブロックによって、会社がどのようにお金を調達したか、というところが分かるようになっています。

そしてこれらの調達で得たお金をどのように運用しているのか、を表しているのが左側のブロック=「資産」となるのです。

つまり貸借対照表全体で見ると、会社がどのようにお金を調達し、そのお金をどのように運用しているのか、が分かるようになっています。

「他人資本」と「自己資本」

ここでみなさんに考えていただきたいのが、右側のブロックで調達したお金が「他人資本」なのか「自己資本」なのか、ということです。

前項でもお伝えしたように、会社がお金を調達する方法は「借入金」「資本金」「利益」の3つのみなのですが、これらがそれぞれ、「他人資本」なのか「自己資本」なのかをまとめてみましたので、下表をご覧ください。

ではひとつずつ見ていきましょう。

・借入金 = 「他人資本」

他からお金を借り入れるわけですので、100%他人のお金になります。

また、当然ながら返済義務がありますし、借入の限度額がありますので、借入金で調達するには限界があります。

今お金持っているけれども自分のものではないし、いずれ返さなければいけない、という一番窮屈な調達ですね。

・資本金 … 「自己資本」

自分あるいは他人が会社に出資したお金を調達することになります。

資本金は返済義務がありませんので、借入金よりも安定した資金調達と言えますが、誰でも彼でも出資してくださるわけではありませんので、調達には限界がありますよね。

・利益 … 「自己資本」

会社が自社努力で出した資金です。

ですから当然誰かに返さなくてはならない、という返済義務はありません。

さらに、会社の努力次第ではいくらでも利益を出すことはできます。

ということは、調達の限界もありませんよね。

そうするとみなさん、「他人資本」と「自己資本」のどちらを多く持つ会社と取引したいと思いますか?

例えば、同じ1億円を持っている会社が2つあるとして、その1億円の内訳が次のような時を考えてみてください。

いかがでしょうか?

返済義務があって調達限界もあるような、不安定な「他人資本」が多い会社とは、できれば取引を避けたいですよね。

つまり、「自己資本」の歩合が大きければ大きいほど、取引したいと思える会社、ブレにくく安定している会社だと言えるのです。

勘定科目の並びに注目する

次に注目していただきたいのが、貸借対照表の勘定科目の並びです。

まずは下の貸借対照表の図をご覧ください。

まず左側の「資産」ブロックですが、実は上に行くほど現金化しやすいもの、下に行くほど現金化するのが困難なもの、というような勘定科目の並びになっています。

ここで重要なのは、会社が信用されるかどうかは、現金あるいはすぐに現金化できる資産をどれくらい持っているかで決まる、ということです。

例えば、1億円の評価があるビルを持っている会社より、1億円の現金を持っている会社の方が、信用があって強いと思いませんか?

ですから、貸借対照表でいうと左上の方にある勘定科目の資産を持っていれば持っているほど、信用があって強い会社である
という風に考えられます。

また右側の「調達」ブロックは、上に行くほど返済義務があり調達限界もある危険性の高い資金、下に行くほど返済義務もなければ調達限界もない安全性の高い資金、というような勘定科目の並びになっています。

ということは、貸借対照表における数字のボリュームは、上の図の緑色の三角形で示すような形になるのが望ましいことになりますね。

みなさんの会社の貸借対照表でも、左側の「資産」ブロックは逆三角形に、右側の「調達」ブロックは三角形になっているかどうか
、確認してみてください。

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損益計算書の読み方

続いて、損益計算書も詳しく読み込んでいきましょう!

5つの利益を理解する

まずは、損益計算書を簡易的に表した、下図をご覧ください。

損益計算書には、上の図で赤く記入しているとおり5つの利益があります。

①売上総利益
売上高から、その売り上げにかかる直接的な原価(=売上原価)を差し引いた、損益計算書の中で一番大きな利益のことをいいます。

②営業利益
①売上総利益から、人件費や家賃・光熱費など、会社を経営していくにあたって基本的にかかってくる経費(=販売費及び一般管理費)を差し引いた利益のことをいいます。

③経常利益
②営業利益からさらに、預金利息など、会社の目的や営業に直接かかわってくる費用ではないが経常的に収入になる収益(=営業外収益)や、お金を借りていた場合に払う利息など営業外の経常的な費用(=営業外費用)を、加算あるいは減算した利益のことをいいます。

④税引前当期利益
③経常利益からさらに、不動産売却益など、経常的ではなく突発的に得た利益(=特別利益)や、台風で本社が損失を被った際の修繕費など突発的に損失したもの(=特別損失)を、加算あるいは減算した利益のことをいいます。

⑤当期利益
④税引前当期利益から、法人税及び住民税を引いた最終的な利益のことをいいます。

いちばん大切な利益は「営業利益」

ここでみなさんに考えていただきたいのは、会社にとって一番大切な利益はどれか、ということです。

もちろん全ての利益が大切ですが、中でも一番大切なのは「営業利益」だと私は考えます。

なぜかというと、この「営業利益」が出ていない会社があるとしたら、その会社はそもそもビジネスモデル自体が間違っている、ということになるからです。

というのも、経常利益や税引前当期利益は、営業外の収益や損失を加減算して出すものなので、例えば生命保険の解約返戻金などで、ビジネスの本業がうまくいっていなくても出せてしまう利益ですよね。

けれども「営業利益」はそうはいかず、本業の取引だけでしか出せない利益になります。

つまり、この「営業利益」がしっかり出せているかどうかで、今後どのような手を打っていくべきかが決まってくるのです。

みなさんの会社の損益計算書では、どこの利益が最も出ているでしょうか?ぜひ確認してみてください。

貸借対照表と損益計算書の関係性

さてここまでは、貸借対照表と損益計算書、それぞれの読み方についてお伝えしてきましたが、これら2つは一体どのような関係性なのでしょうか。

「純資産」と「当期利益」

ここでは簡易的ですが、貸借対照表と損益計算書を並べて見てみましょう。

上の図の赤枠のとおり、損益計算書の最後の「当期利益」、これが貸借対照表の「純資産」のうちの③利益にどんどん貯まっていくことになります。

ということは、貸借対照表の③利益を改善していくには、損益計算書で出した「当期利益」を毎年毎年少しずつ積み増していくしかありません。

つまり、貸借対照表の改善にはものすごく時間がかかるのです。

このことはぜひ、覚えておいてください。

「当期利益」を改善するためにやるべきこと

では、「当期利益」を毎年毎年少しずつ積み増すためにはどのようにすればよいのでしょうか。

前項の図に、オレンジ色の矢印を足してやるべきことを表してみましたので、下図をご覧ください。

このオレンジ色の矢印は、「当期利益」を上げるために、上げるべきもの・下げるべきものを示しています。

まず売上高は↑上げて、売上原価は↓下げる、すると売上総利益は↑上がりますよね。

そして経費を↓下げると、当然ながら税引前当期利益は↑上がります。

すると、税金は↑上がりますが、当期利益も↑上がるのです。

これを毎年繰り返すことによって、貸借対照表も改善され、会社の資産状況も良くなっていきます。

ここでもうひとつ、注目していただきたいのが青色の矢印です。

こちらは、節税をしようとした結果、当期利益を下げてしまう場合を表しています。

どういうことかというと、税金払うぐらいなら経費に使ってしまおうと考えて、経費を↑上げると、税引前当期利益は↓下がり、そうすると税金は↓下がりますが、当期利益も↓下がってしまう、という結果になるのです。

つまり、こういう間違った節税をしていては、貸借対照表の③利益がいつまでたっても増えず、他人資本ばかりで運用していかなければならない会社になってしまいます。

もちろん無駄な税金を払う必要はありませんが、ある程度の純資産(=自己資本)を持てるようになるまでは、しっかりと「当期利益」を出してコツコツと貯めていくことが大切
になります。

簿記の仕組み

最後になりましたが、ここからは簿記の仕組みを見ていきたいと思います。

まず、決算書の5つのブロックを下図のように頭の中でイメージしてみてください。

簿記は、この5つのブロックの動きを仕訳で表したものになります。

そして、仕訳の考え方は、次の通りになります。

【仕訳の考え方】

1. 5つのブロックのうち、どれが登場してくる取引なのかを判断する。
2. そのブロックが増えるか減るかを判断し、借方か貸方かを決める。
3. 最後に、そのブロックを勘定科目に置き換える。

この時、借方・貸方について、どちらが右でどちらが左か分からなくなることが良くあります。

そこでイメージしていただきたいのが、上の図の「り」と「し」の平仮名です。

借方(か「り」かた)の「り」は左払いですので、借方は左側になります。

一方、貸方(か「し」かた)の「し」は右払いですので、貸方は右側ですね。

ここでいくつか例をあげてみましょう。

【例①】借入金100を返済した

1. 登場するブロックは、借入金→「負債」と、返済→「資産」
2. 負債が減るので「借方」
資産が減るので「貸方」
3. 勘定科目は、負債→「借入金」と、資産→「預金」

よって、借方に「借入金100」、貸方に「預金100」と書きます。

【例②】商品500を売り上げて、代金を振り込みで受け取った

1. 登場するブロックは、商品売上→「収益」と、振り込みで受け取った→「資産」
2. 収益が増えるので「貸方」
資産が増えるので「借方」
3. 勘定科目は、収益→「売上」と、資産→「預金」

よって、借方に「預金500」、貸方に「売上500」と書きます。

以上、会社での取引を例にあげてみましたが、みなさんの日々の生活での取引を簿記で考えると、より分かりやすくなるかもしれません。

今度、コンビニでコーヒーを買う時など、ぜひ簿記に置き換えて考えてみてくださいね。

まとめ

ここまで、決算書の読み方と簿記の仕組みについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

決算書や簿記というと、ものすごく複雑で難しそうなイメージではありますが、実は5つのブロックしかない、ということが分かるとシンプルに考えられますよね。

今回お伝えした決算書の読み方、簿記の仕組みをぜひ身につけていただき、みなさんの会社の状態をより正確に把握していただきたいと思います。

そして、より良い会社・強い会社にするための改善策へと繋げていきましょう!

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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