会社経営にとって重要な「経費の価値」について

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

冬らしく、本当に寒さ厳しい毎日が続いていますね。

年始には緊急事態宣言も出され、なかなか落ち着かない日々ですが、
いかがお過ごしでしたか?

厳しい寒さに加えて外出自粛となれば、
これはもう猫のようにコタツで丸くなるしかない…
と言いたいところですが、
ここはグッと堪えて、今日も一日頑張っていきましょう!

はじめに

さて今日は、創業したばかりの経営者からよくある質問をテーマに、
みなさんにお伝えしたいことがあります。

それはずばり、『経費』のことです。

必要最低限の『経費』のほか、
広告宣伝費やビジネスコミュニティ参加のための『経費』など、
一口に『経費』と言っても、使い道は様々です。
そしてその経費が価値のある支出であったかどうかの判断は重要です。

けれども『経費』として、果たしていくらまで使ってよいのか、
そもそも何をもって価値のある支出であったと判断するのか、
あまりピンときていない経営者の方も多いようです。

そこで今回は、『経費』を掘り下げ、価値ある経費の使い方についても考えていきたいと思います。

分かりやすく、実際に私が相談された例を取り上げて考えてみましょう。

相談はこうです。
「先生、私売上を上げるために〇〇コミュニティに参加しようと思います。年間24万円かかるのですが、これくらいなら大丈夫ですよね?」

さて、ここで質問です。
そのビジネスコミュニティからの紹介で、年間いくらの売上があったら、「元を取った」、つまり価値がある経費の使い方だったと言えるでしょうか?

皆さんのビジネスだったらどうですか?
だいたいで良いので、売上の予想金額を出してみてください。

いかがですか?だいたいの予想金額は出せたでしょうか?

では早速、目次に沿って話を進めていきましょう。

まずは、経費がいくらなのか正確に把握する

そもそも「元を取る」ということは、

ビジネスコミュニティに参加するために係る経費 を 
粗利(=ビジネスコミュニティからの紹介による売上仕入原価) を 

だとした場合に、粗利が経費とイコールか、もしくは粗利の方が経費より多い状態になることです。

つまりA(経費)≦B(粗利)の状態になることを言いますよね。

そこでまずは最低ラインの、利益が0(A=B)になる粗利を考えていきます。
いわゆる「損益分岐点」を考える訳です。

そのために、まずはビジネスコミュニティに参加するにあたって発生する、
様々な経費を正確に把握しましょう。

経費には、見える経費と見えない経費の2種類があります。

●見える経費は、この場合はコミュニティに参加するにあたって直接かかる経費のことです。
●見えない経費というのは、直接はかかっているようには見えないが、発生していると考えることができる経費のことです。

まずは、見える経費(コミュニティに参加するにあたって直接かかる経費)を見ていきます。

見える経費

参加費や、交通費、参加者同士の交流費など直接かかる経費を、仮にそれぞれ次のように仮定します。

参加費…24万円
交通費…5万円(会場まではもちろん、お付き合いにかかる交通費も含む)
交際費…12万円 (参加者同士の交流など)
合 計 41万円…①

つまり、合計で見える経費は、41万円ということになりますね。
次に、見えない経費(直接はかかっているようには見えないが、発生していると考えることができる経費)について考えてみましょう。

見えない経費

見えない経費と言われても、分かりづらいかもしれません。見えない経費というのは、直接かかる経費のように見えている経費ではないものの、この場合はコミュニティに参加することで発生していると考えることができる経費のことを指します。

では、具体的に説明していきますね。

例えばビジネスコミュニティに参加しなければ、 その分の時間は他のことをして稼ぐことができますよね。

そのため、ビジネスコミュニティに費やしている自分の人件費も、経費の一部だとして考えることができます。ですので、今回の見えない経費は、自分の人件費になります。

他にも、コミュニティに参加するにあたり、自分の代わりに誰かを雇うのであれば、雇う人の分の人件費も加算してくださいね。

例えば、1日8時間労働で月20日間働いており、自分の人件費は月50万円であったと仮定します。そして、コミュニティに参加するために必要な時間が、月4回で1回あたり5時間だとします。

この場合、ビジネスコミュニティに参加する際にかかる自分の人件費の計算方法は、次の通りになります。

<自分の人件費>
単価:50万円/月給÷20日÷8時間=3,150円/1時間
工数:5時間/1回あたり×4回/月×12か月=240時間/年間
単価×工数=75万円…②

つまり、見えない経費は75万円ということになります。

よって、ビジネスコミュニティに参加するための総経費は、
見える経費①+見えない経費②=116万円(…A)だということになります。

そうすると、粗利(…B)も116万円であれば、最低ラインであるA=Bとなり、「元を取った」(=価値ある経費の使い方だった)と言える状態になります。

さらに、この116万円という金額は「粗利」です。
つまり、「売上−売上原価(仕入など)」です。
あなたの会社のサービスがコンサルティング等、仕入のない売上であるなら「粗利=売上」と考えて良いです。
けれども、もし物販など物を仕入れて販売しているような場合は、この粗利を獲得するために必要な売上を把握しておかなくてはなりません。
116万円の粗利を獲得するための売上を見てみましょう。

粗利を獲得するために必要な売上

例えば、あなたが水回り専門のリフォーム会社を経営していて、トイレ改修の平均単価が50万円だとします。さらにあなたの会社は粗利率(粗利÷売上高で計算できます)30%だと仮定します。

すると、1件のトイレ改修工事を受注すると、
50万円×30%=15万円の粗利を得られることになります。

ということは、116万円の粗利を獲得するために必要な売上は、
116万円÷30% ≒ 387万円となり、
このリフォーム会社の場合は387万円必要だということになります。

いかがでしょうか?
仕入(原価)のない事業とある事業では、目標設定が大きく異なることに注意しなくてはなりません。

何がいくつ売れたら、元が取れるのか?商品に置き換えて考える

さて、「元を取る」ために得るべき目標売上は分かりましたが、漠然とその売上金額を知っていてもなかなかピンときませんよね。

そこでぜひやっていただきたいのが、
「自分の商品に置き換えて把握する」ということです。

つまり、自分の商品がいくつ売れたら元が取れるのかを、知っておくということです。

例えば、先程のリフォーム会社の例で言うと、
・50万円のトイレ改修工事だと、387万円÷50万円≒8件、
・100万円のお風呂改修工事だと、387万円÷100万円≒4件、
・200万円のキッチンリフォームだと、387万円÷200万円≒2件
という感じです。

自分の商品の何件分にあたるのか、と考えれば、
経費の元を取るのに必要な粗利が、よりイメージしやすくなりませんか?

その上で、ビジネスコミュニティに参加するかどうかを考えてみると良いと思います。
上記件数以上の売上が見込める(=元が取れてさらに利益が出る)コミュニティだなと期待できるのであれば、参加してOK!ということになりますよね。

また、1年間やってみて利益が出たのかどうか、コミュニティへの参加を継続するかどうかを検討するときにもこのように計算して検討するとよく分かります。

これは、広告宣伝費などを考える時も同じです。
元をとる以上の件数が見込まれるなら、広告宣伝費をかけられる、と判断することができます。

利益を出す目標を達成するための管理方法

ここまで、経費の元が取れる粗利の最低ライン(=利益が0)の場合を考えてきましたが、みなさん商売ですので、利益がないと困りますよね。

ではどこからが利益になるのか。
ここでも、自分の商品に置き換えて考えることが有効です。

例えば、上記のリフォーム屋さんがコミュニティに参加をして、そこからの紹介で得た現在の売上が300万円だとしたら、

①獲得した利益
300万円×30%=90万円
②かかった経費
116万円
③ ①―②=26万円
となり、このままでは26万円のマイナスです。

ということは、あと27万円の利益を上げられたら1万円黒字転換する、ということになりますね。
27万円の利益をあげられる売上は、
27万円÷30%=90万円となります。

つまり、90万円の売上を取ったら利益転換!
ということになります。

このときに大切なことは、「あと90万円」という意識をするのではなく、
「あと2件のトイレ改修工事のお客様に出会ったら黒字!」とか
「あとお風呂工事の相談が1件あれば黒字!」というように、
自分の具体的な仕事で意識することが大切です。

わかりますか?
自分に言い聞かせる言葉は「あと90万円」という数字ではないのです。

「お風呂工事のお客様1人」です。
不思議なもので、このような意識を持つことでお風呂工事を必要としている人を呼び寄せます。

そこから先の利益は自分でセッティングすることになります。
そのコミュニティに参加をする自分の労力に見合う金額はどのくらいか等、目標金額を設定し、「どんなお客様と何件出会う!」というふうに考えていきます。

このように、利益転換するための目標金額を自分の商品で具体的に設定することで、経費を利益転換することに繋がっていきます。

損益分岐点を超えない場合の考え方

経費を利益転換できれば良いのですが、どうしても利益転換できない時もあります。

つまり損益分岐点を超えない場合です。

利益転換することができないと、元が取れないままとなり、マイナスだととらえがちですが、考え方によっては「価値ある経費の使い方である」と捉えることもできます。

利益転換することができない場合に、どのように検討すれば良いのか、
ポイントを3つ、お伝えしようと思います。

広告宣伝費としての効果は得られるか

今すぐ客にはつながらないけれど、その支出による効果が自分のブランディングになったり、3年くらいの間に急激に利益を獲得するための種まきになっている、など、未来に利益が確立できるものにつながる可能性があるならば、経費としての価値がある、と考えることができます。

人脈への投資だと考えられるか

こちらも上記と同じで、今すぐ客にはつながらなかったけれども、そこにお金をかけることにより得られる人脈が、時間とお金をかけた以上のものであるならそれは、十分に経費としての価値がある、と考えられます。
人との出会いは縁ですし、人脈はお金では買えないものですから、縁を大切にしてビジネスに発展させていただきたいです。

自己成長のための投資だと考える

自分のプレゼン力が上がったり、新たな知識を得られたり、など
自分や組織の成長を高めるための投資としてその支出を吸収できるのであれば、経費としての価値があると考えられます。つまり、研修費ということですね。

このように一見するとマイナスであることのように見える経費も、会社や自分自身の成長に繋がっているのでは?と考えることで、もしかしたら売上以上の価値をもたらしてくれているかもしれません。

まとめ

今回は『経費』についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
まずは経費を正確に把握し、少しでも価値ある経費の使い方をしていくことが大切です。

また、経費の価値ある使い方など普段なかなか考えることがないとはいえ、
会社を経営していくにあたっては、とても重要なことになります。

目先の利益にはならない、一見無駄とも思える経費が、実は会社の将来に関わる重要な役割を果たしていることもあるかもしれません。

未来の計画を立てるタイミングにはぜひ、
経費について、もう一度その価値を考えてみてください。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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