貸借対照表の見どころ解説!ここさえ押さえれば、会社の財政状態が分かる!

こんにちは、川越の税理士法人サム・ライズの林亜由美です。

日中はまだまだ残暑が厳しいですが、朝夕は幾分過ごしやすくなり、少しずつ秋が感じられるようになってきましたね。季節の変わり目ですので、くれぐれも健康にはご注意ください。

さて、これまでのブログでは何度か、財務諸表や決算書から会社の状態を読み取ることができる、ということについてお伝えしてきましたね。

様々な書類を分析することによって、会社を成長させるための対策まで打てるようになるということも、お話してきました。ところがもしも、財務諸表や決算書のうち一つだけしか見ることができないとしたら、みなさんはどの書類を選びますか?

私たちは迷わず、貸借対照表を選びます。

なぜかというと、貸借対照表は、会社を設立してからこれまでのすべての積み重ねによってその数字が出来上がっているからです。ある設定した期間だけを表している損益計算書等とは違い、貸借対照表はそれだけで今の会社の状態を良く表している、と言えるのです。

けれども当然のことながら、貸借対照表をただ見ているだけでは、会社の状態を把握することはできません。貸借対照表を読み込むためには、いくつかのポイントを的確に押さえることが必要となります。

今回のブログでは、そんな貸借対照表を読み込むためのポイントとなる「見どころ」をご紹介したいと思います。ぜひみなさんの会社の貸借対照表もお手元にご準備のうえ、最後までご一読いただき、みなさんの会社経営にお役立てください!

貸借対照表から分かること

まずは、貸借対照表を読み込むことで分かることは何なのか、おさらいの部分もあると思いますが、いくつか以下にあげてみたいと思います。

・会社の体力が分かる
・資金力や、資金の余裕の有無が分かる
・社長の経営姿勢や、節税思考かどうかが分かる
・借入金の額の適否が分かる
・在庫をどれだけ持っているかが分かる
・資産をどれだけ持っているかが分かる
・回収や支払いが適正かどうかが分かる
・資本政策への取り組み方が分かる   ・・・など

この他にも、貸借対照表からは本当に様々なことが分かりますが、上記はその中でも代表的なものです。

それぞれを具体的に言うと、昨今のコロナ禍のような不測の事態となった時でも、倒れずにやっていけるような会社の体力や資金がどれだけあるのか、また社長がどれだけ財務にこだわっているのか、あるいはこれまでにどのような資本政策を打ってきたのか、などということが分かるのです。

会社を良くしていくためには、どれも大切な内容ですね。

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貸借対照表の見どころ

では、上記のようなことを読み取るためには、貸借対照表のどのようなところを見ると良いのでしょうか。そのポイントとなる見どころは、ひとつだけではありません。

ここからは、貸借対照表の見どころを順に解説していきたいと思います。

当座比率を見る

例えば、1億円持っている会社と3億円持っている会社があるとします。

みなさんは、どちらの会社が良いと思いますか?単純に金額だけで言うと、当然ながら3億円持っている会社が良い、ということになりますよね。

けれどもその3億円持っている会社の短期負債が、30億円だったとしたらどうでしょうか。3億円持っている会社は、短期負債の十分の一しか現金を持っていない、非常に危ない会社だということが分かります。

一方、1億円持っている会社の短期負債が1千万円だったとしたら、この会社は、短期負債の十倍の金額の余裕がある会社だということが分かります。

こういった、会社に必要なお金をどれだけ準備できているか、という指標を見るのが「当座比率」と言い、次のような算式になります。

「当座比率」は、当座資産を流動負債で割って算出し、その指標は150%あれば安全だと一般的には言われています。

けれども、当座比率が150%では「普通」の会社だと、私たちは思っています。十分な資金調達ができていると言える会社にするためにはぜひ、当座比率300%を目指しましょう!

自己資本比率を見る

次に、「自己資本比率」を見ていきます。

そもそも自己資本というのは、会社が調達した資金のうち、返済義務が無いものを言います。つまり、資本金や利益などです。一方、借入金など返済義務が有る資金は、他人資本と言いますよね。

ですから、会社が調達した資金のうち、自己資本と他人資本のバランスがどうなっているのかを見るのが「自己資本比率」という指標になり、その算式は次のとおりとなります。

「自己資本比率」は、自己資本を総資本(総資産)で割って算出します。半分ぐらいは自己資本を持っていたいという意味で、この指標は50%になると良いと言われていますが、より強い会社にするためには70%を目指すことをお勧めします!

年間返済額と利益のバランスを見る

「当座比率」と「自己資本比率」の次は、借入金に焦点を当てて見ていきましょう。

借入金というと、そのほとんどが銀行からの借り入れだと思いますが、その本質は何かというと、「利益の前借り」です。つまり、利益が出ていなければお金の返済ができない、ということになりますよね。

ですから、返済に必要な利益がしっかり出ているのかということを確認するために、次のような算式があります。

当期利益 + 減価償却費 > 年間返済額

もしもこの算式の不等号が逆向き(当期利益+減価償却費<年間返済額)になってしまった場合、このままの条件で返済を続けていくと、またどこかで必ずお金を借りなければならなくなります。

そうした事態を防ぐためにはまず、借入金の条件を考え直してみてください。

例えば現在、1億2千万円を銀行から5年で借りていて、年間2,400万円返済しているとします。この5年という条件を10年に変更すると、年間返済額が1,200万円で済むことになり、そのうえ差額の1,200万円は現金として手元にプールしておくことができるようになるのです。

そうすると、ここで先ほど解説した「当座比率」について考えてみてください。

借入金の条件を変更したことにより、年間返済額(=流動負債)が減り、その結果手元の現金(=当座資産)が増えたわけですから、当然「当座比率」が改善する、ということにも繋がっていくのです。

借入金の返済余力を見る

借入金に関してはもうひとつ、次のような算式があります。

借入金 ÷(売上高÷12)

借入金の残高を、会社の月間売上高で割るのですが、これによって算出された指標を「月商倍率」と言います。この「月商倍率」を算出することにより、借入金残高が月商の何倍あるのか、つまり借入金の返済余力がどのくらいあるのか、ということが分かります。

では、どのくらいの数値であれば良いのかというと、一般的には、月商の3倍までが健全な借入限度額だと言われています。

この「月商倍率」の数値が5や6というふうに大きくなってくると、だいたい年収の半分ぐらいの借入金があるということになるので、返済余力が少し不安になってきます。

そうなると、銀行がお金を貸すことを渋るようになってきたり、金利が高くなってきたり、というようなこともありますので、ここは見落とさずにチェックしておきましょう!

回収条件と支払条件のバランスを見る

貸借対照表では次のような算式により、仕入れによる資金の支払いと、売上による資金の回収のバランスも読み取ることができます。

これを「回収支払バランス」と言います。一見するとややこしく感じるかもしれませんが、ひとつひとつは簡単な計算ですので、順番に見ていきましょう。

まずは左側です。これは、売上債権(売掛金や受取手形の合計額)を一日当たりの売上で割ることになります。つまり、一日当たりの売上の何日分の売上債権を持っているか(=回収条件)、ということが算出されます。

次に右側です。

これは、仕入債務を一日当たりの仕入れで割ることになります。

つまり、一日当たりの仕入れの何日分の仕入債務を持っているか(=支払条件)、ということが算出されます。

そして、売上債権の日数(=回収条件)から仕入債務の日数(=支払条件)を引くことで、最終的な指標となる日数を算出し、回収条件と支払条件のバランスを見ていくことになります。

これにより算出された日数は、マイナスであればあるほど理想的で、逆にプラスで大きい数字の場合は運転資金が苦しい時だということになります。

このように、回収支払バランスを算出してみることによって、自社の回収にかかる日数と、支払いにかかる日数の平均的な数値が分かり、それによってどれだけキャッシュを持っていなければいけないのか、ということが分かるのです。

さらに、これを3期分出してみると、資金繰りが良くなっているのか、悪くなっているのか、というところも知ることができます。

固定資産の内容を見る

さてここからは、貸借対照表の科目ごとに具体的な内容を見ていきます。

まずポイントとなるのは、固定資産の内容です。固定資産の内容を見るだけなのですが、それだけでその会社の特徴がよく分かるようになっています。

例えば、自社ビルを持っているのであれば、貸借対照表には土地も建物も計上されていますよね。また他社所有のビルの一室を借りている場合は、建物だけ計上されているはずです。

それがもし、テレワークを推進したことによって引っ越したり、事務所の規模を小さくしたりすると、貸借対照表を数期分並べて見た時に、建物の部分が減ってくる、ということになります。

土地がある場合はもしかすると、個人名義の土地を会社名義に変更した、などの過去の資本取引も見えてくるかもしれません。

それから、社用車を要する会社では、もちろん車も計上されていますよね。けれども中には、社長が会社のお金で高級外車を購入し私物化している、ということが見えてくる場合もあります。

会社にとって大切な資産ですので、適切に使われているか、無駄なく使われているか、などチェックすることも必要ですね。

役員借入金・役員貸付金の内容を見る

次に、役員借入金と役員貸付金の内容を見ていきます。

まず、社長が会社に貸しているお金を「役員借入金」、社長が会社から借りているお金を「役員貸付金」と言います。

役員借入金については、銀行側から見ると資本金と同じような扱いになりますので、貸借対照表に役員借入金が計上されていることは、会社にとって特に悪い事ではありません。

役員貸付金に関しては、利息をきちんと支払わなければいけなかったり、銀行側からの評価が下がったりしますので、もしも貸借対照表に役員貸付金が計上されている場合には、十分にご注意くださいね。

さらに、役員借入金・役員貸付金ともに共通して注意していただきたいのは、社長がしっかり認識していなければならない、ということです。

社長がこのことを認識できておらず、会社のお金と個人のお金を混同して私物化している、というような会社の場合、いずれ会社の現金が足りなくなります。

そうすると、せっかく素晴らしいビジネスモデルを持っていたとしても、社長がしっかりと財務を見ていないばかりに、良い会社になっていけない、ということも起こり得るのです。

投資その他の資産の内容を見る

最後に、投資やその他の資産の内容を見てみましょう。

「投資その他の資産」とは、貸借対照表の中で、固定資産のうち有形固定資産と無形固定資産以外のものを言います。具体的には、関係会社株式や投資有価証券、出資金、長期貸付金、保険積立金、長期前払費用などがあります。

ここで注目していただきたいのは、それぞれ資産価値が増えているのか減っているのか、また、すぐに現金化できるものなのか、ということです。

こういったことを把握していれば、いざというときに、これらの資産をすぐに資金化することで、会社を立て直す方法のひとつになり得るのです。

まとめ

今回は、会社の状態を把握するための、貸借対照表の見どころについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

会社のある一面だけを見ていても、当然その全体像は見えてきません。

今回解説したように、貸借対照表を様々な角度から読み込むことができれば、会社の状態を様々な面から見ることができ、財政状態などを正確に把握することができます。

そしてそれを分析していくことによって、より良い会社、より強い会社への道筋が見えてくるのです。ぜひみなさんの会社の貸借対照表も、とことん読み込んでみてください!

今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。弊社では、経営者様の伴走者として経営サポートも行っております。オンラインでのご相談も可能ですので、ぜひ川越の税理士法人サム・ライズへお気軽にご相談ください。

関連ページ:税理士法人サム・ライズの経営支援について

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