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決算手続きの進め方【その4】未収金・未払金の計上①
目次
前回に引き続き、決算手続きの進め方です。
今回は(4)未収金・未払金の計上について。
(4)未収金・未払金の計上について・その①月次処理で注意すること
社会福祉法人における収益計上および費用計上は、その年度中は現金主義(支払った時点で収益および費用として計上する方法)で行い、決算時に発生主義(入金や支払いの有無に関わらず発生した時点で収益および費用として計上する方法)に直すやり方をされている施設も多いかと思います。
原則的な方法は発生主義ですが、月次処理レベルで発生主義を用いて試算表を完成させようとすると、かなり手間がかかってしまい、事務担当者の負担を増やしてしまうことにもなりかねません。
なので、これらの処理は下記のいずれの方法も認められています。
① 月次処理から発生主義で処理をする。
② 月次処理では現金主義で処理をして、決算時に発生主義に直す。
なぜなら一年という区切りで見ると、どちらの方法で作られた決算書も結果的に同じ数字になるからです。
けれども上記②の方法を選択している社会福祉法人の場合、月次報告をより実態を表す計算書類として活用する場合には、ちょっとしたコツがあります。
その事をまずお伝えしますね。
そのコツとは、
「決算処理で計上した未払金・未収入金は、月次処理で入金・支払の処理をせず決算時に洗い替える」です。
具体的に説明します。
例えば介護保険収入の事業未収入金をイメージしてください。
もしも上記の反対で「決算処理で計上した未払金・未収入金を月次処理で入金・支払の処理をする」としたならどうでしょう。
まず、決算書には前年度2・3月分の2ヶ月分の介護保険収入が「事業未収金」として計上されています。
それを4月と5月、介護保険収入が入金された時に月次処理で事業未収入金を減少させる処理をしてしまったら、事業活動計算書には4〜5月の2ヶ月間、収入がゼロとして表示されることになってしまいます。
けれども実態は2ヶ月間収入がないはずはなく、いつもと変わらない運営がされています。それなのに、上記のような会計処理をしてしまうと、帳簿上だけが収入がなかったことになってしまうのです。
こういうことを避けるためにはどうすれば良いか。
それが「決算時洗い替え」法です。
つまり、月次処理では事業未収金を消し込まずに期首からいつも通り現金主義で入金時に収入計上をします。
そして、決算処理で前期末に計上した金額を今期末の金額に洗い替えるのです。
こうすると、多少(前期末と当期末の未収入金の差額分)は収入が違いますが、2ヶ月分収入がない、などという現実離れした月次報告書となってしまうことを避けることができます。
この方法、「当たり前にやっています」という社会福祉法人の方々は、今回の内容はスルーしていただいて良いです。
けれども、特に会計事務所に処理を丸投げで任せているような場合に、こういう月次報告となっている施設が多いため、今回はあえてここに書かせていただきました。
次回は決算で注意することについてお話ししますね。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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