リーダーシップへの舞台裏Vol.24 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
目次
~美しさは、“生き方”に宿る~
ホリスティックビューティーの先駆者が描く新境地
長年、美容の世界で“人の可能性”を引き出してきた中原社長。その活動は、スキンケアやヘアスタイルの枠を超え、心や体、そして魂にまでアプローチする“ホリスティックビューティー”へと進化していきました。今回は、中原社長の原点から、ヨガ・仏教との出会い、そして今後の挑戦まで、人生をまるごと美しく整える哲学に迫ります!
【プロフィール】
18歳で美容師としてのキャリアをスタートし、22歳で単身ニューヨークへ。マンハッタンで約20年にわたりヘアスタイリストとして活躍する傍ら、ヨガや瞑想、食といった心身の探究を深める。現地で3人の子どもを出産・育児後、2006年に帰国。看取りや介護といった「生と死」の現場と向き合った経験を経て、人が本質的に“変容”していくプロセスに深い関心を抱くようになる。2013年、一般社団法人魅力アカデミーを設立し、外見や知識にとどまらない“あり方”の美を探求。自律型美容法やスキンケア指導などを展開する中、同年に株式会社Visioneを設立。さらに2023年にはアカデミー事業部を立ち上げ、腸律師養成講座や懐石水月道場オンライン講座などの教育プログラムを運営中。今後は「魅道プレミアム講座」の開講も予定している。志は「女性が自立し、美しく豊かに生きる社会を創ること」。
仕事とプライベートの境界がわからないほど、日々をまるごと情熱で生きる。
外見だけではない、“生き方と
しての美しさ”を届ける仕事
倉橋:さて、第24回目となる今回ご登場いただくのは、株式会社Visioneの代表取締役、中原晴美さんです!中原社長、本日はどうぞよろしくお願いいたします!早速ですが、御社の概要や事業内容について詳しくお聞かせいただけますか?
中原:はい、よろしくお願いします!今は大きく2つの事業をやっております。まず1つ目は美容事業で、「モイスティーヌ」という医療機器メーカーの化粧品と美容器を扱っています。正規代理店として、卸と小売の両方をやってまして、本店(町田サロン)と契約店(表参道サロン)でお客さま対応もしています。それからもう1つは、現在休眠状態ですがアカデミー事業もやっています。これは、“心と身体の美と健康”に関するコンテンツを持っている方をプロデュースするというものです。実は12年前に「一般社団法人魅力アカデミー」っていう形で立ち上げて、当時はリアルで講座をやってたんですけど、今はオンラインがメインです。あとは、私自身のコンテンツもそろそろ形にしていこうかなと思って、今まさに準備中というところです。
倉橋:美容とアカデミー、どちらの事業も「人の可能性を引き出す」ことをテーマにされているのが印象的です。アカデミー事業に関しては、現在休眠状態とのことですが、もう少し詳しくお伺いできますか?具体的には、どんな内容になるのでしょうか?
中原:はい、アカデミー事業では2つのコンテンツをメインで扱っています。ひとつは「食の稽古」というもので、懐石料理をベースにしたオンラインの料理講座です。ただのお料理教室ではなくて、自己開示や自己肯定感の向上を目的とした、心の在り方にフォーカスした内容になってるんです。月額制で運営していて、食を通してメンタルを整えていく、そんなプログラムですね。もうひとつは「腸律(ちょうりつ)」といって、いわゆる“腸活”とは違って、腸を整えることで感情や脳の状態にアプローチするものです。たとえば、お通じが良くなるのはもちろん、股関節や膝の痛みといった身体的な不調、さらには引きこもりや鬱、認知症などメンタル面にも効果が出ている方がいます。
基本的には、美容家としての35年間ずっと“心と身体の美と健康”っていうテーマでやってきていますので、その一環としてスキンケアがあったり、もともと美容師だったのでヘアのことだったり、あとはダイエット…というより「体をキレイに整える」っていう感覚ですね。アンチエイジングっていうよりは、ウェルビーイング。つまり、“よりよく生きる”ための方法を、トータルでお伝えしているような感じです。
倉橋:なるほど…お話をうかがっていると、美容師としてのキャリアからスタートされたところから、体の内側やメンタルケアにまで事業が広がっていった背景に、とても興味が湧いてきました。どうしてそこまで幅広いアプローチをされるようになったのでしょうか?
中原:ありがとうございます。実は私の祖母は、代々木にある「山野美容専門学校」の創始者なんです。両親も美容師で、私は美容院の2階で育ちました。テレビや雑誌に家族が登場するような環境で、子どもの頃から“山野家の孫”として撮影モデルなどもしていました。ただ私は父似でぽっちゃり体型だったので、いわゆる“かわいいモデル”とはちょっと違って(笑)。それでも自然と「将来は美容の道に進むんだ」と思っていて、小学5年生の作文には「祖母や母の名前ではなく、自分の力で有名になりたい」「人に美しさを伝えたい」と書いていたんです。
その後は高校時代に通信制で日本美容専門学校を卒業し、18歳から現場に出ました。でも5年ほど働いた頃、「このまま日本で続けていくのはつまらない」と感じて。知名度のある家族の存在も、当時はプレッシャーに思えてきて、思い切って単身でニューヨークへ渡りました。そこから約20年間、美容師として現地で働くことになります。当時のニューヨークはエイズが深刻で、肌に症状が出ている人も多く、「美しさって何だろう?」「健康とは?」と深く考えるようになりました。そこで出会ったのが“ホリスティックヘルス”という概念です。心・体・魂をひとつとして整える考え方で、見た目だけでなく内側から満たされることが、本当の美しさにつながるという価値観に共感しました。その流れでヨガに出会い、日本発祥の「沖ヨガ」にも触れました。これが単なるエクササイズではなく“生き方を整えるヨガ”だったことに衝撃を受け、どんどんのめり込んでいきました。マクロビオティックや最新の栄養学も学び、ヨガの指導も始めましたが、ある時生徒さんから「晴美さんは子どもを産んでないから。現実はそんな理想通りにいかないよ。」みたいなことを言われて悔しくて(笑)。
その後結婚して3人の子どもを出産しましたが、妊娠8ヶ月のときには10日間の沈黙修行「ヴィパッサナー瞑想」に参加したり、逆立ちして出産に向かったり…そうやって心・体・魂すべてと向き合いながら生きてきたことが、今の私の美容スタイルの土台になっているんです。
倉橋:すごいですね……!美容師としての道を極めながら、ホリスティックな生き方を実践されてきた歩みに、ただただ圧倒されます。
マンハッタンで3人の子どもを育てながら、美容師として働いたニューヨーク時代。異国での子育てと仕事の両立は決して楽ではなかったと中原社長。その日々が視野と価値観を大きく広げました。「美しさとは何か」「健康とは何か」を追い求め、ヨガや食、瞑想など、心と体と魂に向き合う礎がこの時期に築かれました。
明日の自分を、今日の行動でつくる―
美容は「自分を変える力」の入り口
倉橋:そんなふうに全力で生きてこられた中で、「これは乗り越えるのが大変だった」と感じた瞬間やエピソードがあればお聞かせください!
中原:……ないですね。
倉橋:えっ、ない!?(笑)
中原:はい、ないです(笑)。私、何か問題が起きても、「じゃあどう解決しよう?」って考えるタイプなんです。だから、あんまり悩むってことがないんですよ。悩むとしたら人間関係くらいかな。若い頃は、恋愛で「あの人、どう思ってるんだろう…」とか、そういうことでモヤモヤすることはあっても、仕事ではあまり悩まないんですよね。問題が起きたら解決策を探せばいい。それだけのことだと思ってるんです。
逆に、解決できないことは悩んでも仕方ない。考えても変えられないことってあるじゃないですか。たとえばコロナが流行ったとき、「どうしよう」って思っても、それ自体は変えられない。だったら、その状況でどう動くかを考えた方がいい。私の場合すぐに「じゃあ、人に会えないならどうする?」と切り替えて、オンライン講座を始めたり、お客さまに向けて動画を撮ったり、ハガキを出したりしました。「サロンにお客さんが来ない、どうしよう…」って立ち止まってる暇なんてなくて、じゃあ今できることをやろう!って。当時は動画編集も自分でやって、完全に独学でしたけど、試行錯誤しながら一人で学んで。今では、動画もサクサク作れるようになりました。
倉橋:なるほど……「悩むより、まず動く」。本当にその通りですね。できることに集中するって、シンプルだけど一番難しい。でも中原社長は、それを当たり前のようにやっていて、本当にかっこいいです!では、美容家としてこれまでやってこられた中で、一番のやりがいって、どんなところにあると感じますか?
中原:やっぱり、「人が変わる瞬間」っていうのが、私にとっては何よりも面白いんです。人を“変容”させたいっていう想いが根っこにあって。でもそれは、私が誰かを変えるんじゃなくて、その人の中にあるポテンシャルが、パッと開いていくような瞬間。それがたまらなく面白いんですよ。
たとえば、肌が変わるとか、髪が生き生きするとか、ヨガを通して姿勢が整うとか──。あるいは、会話をしているうちに、その人の言葉や表情が変わっていくこともありますよね。そうやって「あり方」そのものが変わっていく、そのプロセスを見るのが本当に楽しくて。特に髪って、自分ではどうにもならないから人に任せる部分ですけど、たとえばスキンケアや食事、運動なんかは自分で続けていくもの。つまり「自分で自分を変えていく行動」なんですよね。
私はそういう、“明日の自分を作る人”を応援したい。
だから、その人が自分で変わっていくためのヒントやきっかけを渡すことが、私の仕事の一番のやりがいです。そして最終的には、その変容を自分自身の力で続けていける人に育っていってくれると、すごく嬉しいですね。
倉橋:「明日の自分を作る」って、すごく刺さる言葉です。私たち一人ひとりの中に、変わる力があるんだって、改めて勇気をもらえる気がします。
人生100年時代の“後半戦”に
光を灯す「魅道®」構想
倉橋:それでは最後に、これから挑戦していきたいことをぜひお聞かせください!
中原:ありがとうございます。実は今、仏教を勉強しているんです。
倉橋:えーっ!?また一段とスケールが大きくなってますね(笑)。
中原:きっかけは、長年取り組んできたヨガにあって。ヨガって本来、痩せるためのエクササイズではなく、瞑想を深めるための準備であり、ベースには仏教や禅的な思想があるんですよね。そんな中で出会ったのが、真言宗の大阿闍梨でもあり、臨床瞑想を実践・研究されているお坊さんです。
たとえば、看取りの場での瞑想や、亡くなる方・ご家族・医療従事者の心を穏やかにするようなケア。すでに学会でも発表され、論文も世界で評価されています。その方の教えを通して、瞑想の本質に仏教があるとあらためて気づかされたんです。仏教というと、日本では“お葬式”のイメージが強いかもしれませんが、本来は違います。そもそも仏教の起源や、古代インドの社会背景、そして医療や予防、教育といった広い役割を担ってきたお寺の在り方──それらを知るほどに、「これはまさに私が長年やってきた“ホリスティックビューティー”と重なる」と感じたんです。仏教の核心にある「四苦八苦」、その中の「四苦」とは、生・老・病・死。人間が最も恐れや不安を感じるこの4つを、どう軽減できるか──それが本来の仏教の役割だった。生きづらさをどう和らげるか、病気を予防するには何ができるか、老いをどう受け入れ、どう美しく年を重ねるか。そして、死をただ怖れるのではなく、魂の視点からどう捉えるか。
そうした「生き方の智慧」が、実は仏教の中には何千年も前からあるんですよね。そう考えると、ヨガも仏教も、すべて繋がっていて──私がこれまでやってきたことのすべてが、1本の道になっているように感じました。そしてそれを、私は「魅道(みどう)®」という名前で体系化したいと思っています。「魅道®」は、特に更年期以降の女性に向けた新しい“学びと再出発の道”です。かつての時代なら、人生50年。でも今は、50歳からが“第2の人生”。女性としての役割が終わったように感じてしまう時期こそ、実は自分の内なる魅力を再発見し、これまでの経験を社会に還元していくステージなんです。
実際、閉経後まで生き続ける哺乳類は、人間以外ほとんどいません。私たちが長く生きる意味は、自分の知恵や経験を次の世代に伝えること。だから、“終わり”ではなく“始まり”なんですよ。今後は、この「魅道®」をベースに、人生の後半を主体的に生きる女性たちが、学び合い、高め合えるようなコミュニティを作っていきたい。それが、これからの私の挑戦です。
倉橋:いやぁ…すごい。お話を伺って、思わず鳥肌が立ちました。ヨガ、美容、仏教──まったく異なるようでいて、実は全部が“人の心と身体を整える”という一点で繋がっているんですね。
「魅道®」のこれからに、大いに期待が高まります!
中原社長、本日は貴重なお話を、本当にありがとうございました!!
50歳からを“第2の人生”と捉え、更年期以降の女性が自分の魅力を再発見し、経験を社会に還元していくための学びの場──それが「魅道®」。
会社概要
【事業内容】
●化粧品の販売 ●腸律師養成講座 ●懐石水月道場オンライン講座
●魅道プレミアム講座(開講予定)の運営
【所在地】
〒107-0061 東京都港区北青山三丁目5番40号住山邸101
(TEL)042-850-8489
最近の投稿
- 2025.09.26
- リーダーシップへの舞台裏Vol.24 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~
- 2025.09.26
- リーダーシップへの舞台裏Vol.23 ~今を駆ける社長のインタビューシリーズ~