税務調査に入られやすい「個人事業主」の特徴5つ|税務調査の「確率」「時期・頻度」、税務調査が入ると「どうなるか」も併せて解説
目次
本記事では、税務署による「税務調査」に入られるのかどうかと不安を持つ「個人事業主」の方向けに、「税務調査に入られやすい個人事業主の特徴」について詳しく解説しています。
税務調査に入られやすい個人事業主の特徴は、以下のとおりです。
税務調査に入られやすい個人事業主の5つの特徴
- 申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
- 申告漏れが多い業種である
- 売上高が1,000万円に僅かに届いていない
- 経費など申告内容に不審点がある
- 開業後3年以上経過し売上が増えている
1.個人事業主に対する税務調査について
個人事業主に対して行われる税務調査について、以下の3つの項目に分けて簡単に解説します。
- 税務調査が入る確率
- 税務調査が入る「時期」や「頻度」
- 税務調査が入るとどうなるか
税務調査が入る確率
個人事業主に対して税務調査がくる確率は、約0.7~1.3%です。
税務調査が入る確率について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
税務調査が入る「時期」や「頻度」
税務調査が入る時期は、
確定申告後の4~5月頃や、税務調査官の人事異動後の7~11月頃が多いです。
また、税務調査が入る頻度は、
5~10年に1回程度です。
個人事業主の場合、「所得隠し」や「申告ミス」をしているところをピンポイントで狙って税務調査に来る場合が多いです。
税務調査が入りやすい時期や頻度について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
税務調査が入るとどうなるか
税務調査で、「申告漏れ」や「所得隠し」が発覚すると、
「過少申告税」や「延滞税」が課され、個人事業主の場合、平均で約224万円の追徴課税を徴収されています。
令和5年(2023年)において、申告漏れを指摘された個人事業主の数は約27万件で、「税務調査に入られた個人事業主の約49%」となっています。
2.税務調査に入られやすい個人事業主の特徴
税務調査に入られやすい個人事業主の特徴は、以下のとおりです。
税務調査に入られやすい個人事業主の特徴5つ
- 申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
- 申告漏れが多い業種である
- 売上高が1,000万円に僅かに届いていない
- 経費など申告内容に不審点がある
- 開業後3年以上経過し売上が増えている
以下より詳しく解説します。
特徴①:申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
確定申告していない(無申告)者は、国税庁の「重点調査項目」に挙げられており、税務調査に入られやすいです。
近年、国税庁では、収入に関する情報をビッグデータ化し、AIで調査対象を絞り込む取組みを強化しているため、確定申告していない(無申告)者が特定されやすくなっています。
特徴②:申告漏れが多い業種である
「経営コンサルタント」や「ホステス、ホスト」、「コンテンツ配信」等、申告漏れが多い、収入を誤魔化しやすい業種は、税務調査に入られやすいです。
また、所得金額が高額であることも、税務調査が入られやすい理由の一つです。
以下のデータは、国税庁が公表している「申告漏れ所得金額の高額な業種」ですので、当てはまる人は注意しましょう。
特徴③:売上高が1,000万円に僅かに届いていない
売上高が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者になるため、何年間も1,000万円に届かないくらいの売上を維持している場合は税務調査に入られる確率が上がります。
毎年1,000万円を超えない売上高だと、意図的に納税義務を避けていると税務署から疑われてしまいます。
正しく売上計上している場合でも900万円台の売上が毎年続いている個人事業主は、税務調査の対象となる能性が高いと認識しておきましょう。
特徴④:経費など申告内容に不審点がある
事業に関係ない経費が多額に計上されているなど経費に不審な点がある場合は、税務調査に入られる確率が高くなります。
税務署は業種ごとの申告データを膨大に保有しているため、平均的なデータと比較して明らかに数字に差がある場合は、疑われる可能性が高くなります。
公私混同を疑われるケースが多いため注意しましょう。
特徴⑤:開業後3年以上経過し売上が増えている
開業して3年以上が経過しており、かつ売上が増えている個人事業主は、税務調査に入られやすいです。
税務調査の対象となりやすい理由は、以下のとおりです。
- 消費税が課税されるのは最短で事業を開始して3年目からになる
- 利益も順調に出始める
- 売り上げが伸びているため、経理処理が正しくできているか疑われる
開業後3年を経過して、かつ売上が急激に伸びている場合は注意しましょう。
3.税務調査に入られやすい個人事業主が行うべき4つの対策
税務調査に入られやすい個人事業主が、税務調査に備えて行う対策は、以下のとおりです。
税務調査に入られやすい個人事業主が行うべき4つの対策
- 無申告や過少申告を意図的に行わない
- 計上できる経費と計上できない経費を把握する
- 日々の税務処理を怠らない
- 税理士に相談する
以下より詳しく解説します。
対策①:無申告や過少申告を意図的に行わない
個人事業主に税務調査が入る場合は、無申告や過少申告が疑われているケースが多いのが実情です。
税金から逃れたいからといって、以下のようなことは絶対に行わないようにしましょう。
よく行われる意図的な無申告や過少申告 一覧
- 申告義務があるのに確定申告しない
- 確定申告時に正確ではない金額を申告する
- 税額を減らすためにわざと売上を少なくする
- 本来計上できない経費を計上する
- 領収書や請求書を捏造する
対策②:計上できる経費と計上できない経費を把握する
個人事業主は経費を公私混同しがちなので、計上できる経費と計上できない経費をしっかり把握することが重要です。
計上できない経費の主な例は、以下のとおりです。
計上できない経費の主な例
- 個人事業主本人の給料や年金、保険料
- プライベートな出費(衣服代や飲食費など)
- 事業で使用していない住居費
- 個人として納める税金
- 本人の福利厚生費(健康診断費用など)
ただし、事業で使用するものに関しては、合理的に説明できれば経費として計上できます。
対策③:日々の税務処理を怠らない
故意に行っていなくても税務申告内容にミスがあった場合は税務調査の対象にされてしまうことがあるため、日々の税務処理を丁寧に行うことが大切です。
日々の税務処理を行う上で気を付けるべきポイントは、以下のとおりです。
日々の税務処理を行う上で気を付けるべきポイント
- 請求書が来たタイミングで処理を行う
- 入金があった時点で仕訳処理を行う
- 勘定項目に迷った場合に放置せず、調べる
- 会計ソフトを活用する
確定申告前にまとめて税務処理を行うとミスが起きやすくなるので、こまめに行うことをおすすめします。
対策④:税理士に相談する
税務調査に対して不安がある方は、あらかじめ税理士に相談しておくことも選択肢の1つです。
税理士に相談するメリットは、以下のとおりです。
税理士に相談する3つのメリット
- 税務処理の負担を軽減できる
- 申告漏れや申告ミスを防止できる
- 税金に関する不安を解消できる
また、万が一税務調査が入った場合でも、税理士に立ち会いしてもらえるため安心です。
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税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。