【2025年度版】税務調査が来る「確率」は約1〜5%!タイプ別に確率を解説
目次
税務調査がくる確率は、以下のとおりです。
個人事業主の場合 | 約0.7~1.3% |
---|---|
法人の場合 | 約1.9% |
個人(相続をした人)の場合 | 約5.4% |
本記事は、税務署による「税務調査」に関して不安を持つ方向けに、「個人事業主」「法人」「個人(相続をした人)」の3タイプそれぞれに分けて、「税務調査が来る確率」を具体的に解説しています。
1.税務調査がくる確率は?
税務調査が行われる確率を、「個人事業主」「法人」「個人」に分けて解説します。
個人事業主の場合|約0.7~1.3%
国税庁の直近のデータから、
個人事業主に対して税務調査がくる確率は、約0.7~1.3%であるといえます。
国税庁が発表したデータによると、令和5年(2023年)の個人事業主の「所得税(復興特別所得税を含む)」の申告状況は以下の通りです。
所得税申告件数 | 実地調査件数 | 左記から計算する 税務調査確率 |
---|---|---|
約668万7千件 | 4万7,528件 | 約0.7% |
消費税申告件数 | 実地調査件数 | 左記から計算する 税務調査確率 |
---|---|---|
約197万2千件 | 2万6,576件 | 約1.3% |
参照:
国税庁|令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について
国税庁|令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
法人の場合|約1.9%
国税庁の直近のデータから、
法人に対して税務調査がくる確率は、約1.9%であるといえます。
国税庁が発表したデータによると、令和5年(2023年)の法人の「法人税」の申告状況は以下の通りです。
法人税申告件数 | 実地調査件数 | 税務調査確率 |
---|---|---|
317万6,000件 | 5万9,000件 | 約1.9% |
参照:
国税庁|令和5事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要
国税庁|令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要
個人(相続した人)の場合|約5.4%
国税庁の直近のデータから、
個人(相続した人)に対して税務調査がくる確率は、約5.4%であるといえます。
国税庁が発表したデータによると、令和5年(2023年)の個人(相続した人)の「相続税」の申告状況は以下の通りです。
相続税申告件数 | 実地調査件数 | 税務調査確率 |
---|---|---|
15万5,740件 | 8,556件 | 約5.4% |
参照:
国税庁|令和5年分 相続税の申告事績の概要
国税庁|令和5事務年度における相続税の調査等の状況
2.税務調査がくる「時期」や「頻度」は?
「税務調査が来やすい時期」と「頻度」は以下の表のとおりです。
税務調査が 来やすい時期 | 頻度 | |
---|---|---|
個人事業主 | 4~5月、 7〜8月頃 |
5~10年に1回 |
法人 | 4〜6月、 8〜11月頃 |
3~10年に1回 |
個人 (相続をした人) | 相続税の申告書を提出した1~2年後の8~11月頃 | 5年以内に1回あるかないか |
税務調査がくる確率について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
3.税務調査が来やすい人の特徴
税務調査が来やすい人の特徴を「個人事業主」「法人」「個人」に分けて解説します。
個人事業主の場合
税務調査が来やすい個人事業主の特徴は、以下のとおりです。
税務調査が来やすい個人事業主の特徴5つ
- 申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
- 申告漏れが多い業種である
- 売上高が1,000万円に僅かに届いていない
- 経費など申告内容に不審点がある
- 開業後3年以上経過し売上が増えている
以下より詳しく解説します。
①申告義務があるのに確定申告していない(無申告)
確定申告していない(無申告)者は、国税庁の「重点調査項目」に挙げられており、積極的に調査される対象です。
近年、国税庁では、収入に関する情報をビッグデータ化し、AIで調査対象を絞り込む取組みを強化しているため、確定申告していない(無申告)者が特定されやすくなっています。
②申告漏れが多い業種である
「経営コンサルタント」や「ホステス、ホスト」、「コンテンツ配信」等、申告漏れが多い、収入を誤魔化しやすい業種は、税務調査に入られやすいです。
また、所得金額が高額であることも、税務調査が入られやすい理由の一つです。
以下のデータは、国税庁が公表している「申告漏れ所得金額の高額な業種」ですので、当てはまる人は注意しましょう。

出典:国税庁「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
③売上高が1,000万円に僅かに届いていない
売上高が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者になるため、何年間も1,000万円に届かないくらいの売上を維持している場合は税務調査が入る確率が上がります。
毎年1,000万円を超えない売上高だと、意図的に納税義務を避けていると税務署から疑われてしまうからです。
④経費など申告内容に不審点がある
税務署は業種ごとの申告データを膨大に保有しており、経費などが平均的なデータと大きく乖離している場合は、疑われる可能性が高くなります。
公私混同を疑われるケースが多いため注意しましょう。
⑤開業後3年以上経過し売上が増えている
一般的な税務調査は過去3年分について調べるので、個人事業主として開業後3年を過ぎたら税務調査の可能性があると考えておくべきです。
開業後3年を経過して、かつ売上高が順調に伸びている場合は注意しましょう。
法人の場合
税務調査が来やすい法人の特徴は、以下のとおりです。
税務調査が来やすい法人の特徴5つ
- 売上や利益の変動が大きい
- 業績が好調である
- 不正が多い業種である
- 過去の税務調査で指摘され、追徴課税等を課されたことがある
- 長期間税務調査が来ていない
以下より詳しく解説します。
①売上や利益の変動が大きい
税務調査対象者は、基本的にはAIによって選定されます。
売上高や原価、経費などに大きな変動があると「異常値」として認識され、原因が解明されなければ税務調査または、書類などによる照会が行われることになるでしょう。
②業績が好調である
毎年赤字決算の法人へ税務調査を実施しても、法人税の追徴課税は出来ないため、黒字法人の方が税務調査に入る可能性が高いというのが実情です。
③不正が多い業種である
国税庁が公表している「法人税等の調査事績の概要」において、法人の不正発見割合の高い業種が掲載されています。

「バー・クラブ」「飲食店」等の業種は、税務調査の可能性が高くなります。
④過去の税務調査で指摘され、追徴課税等を課されたことがある
過去に税務調査を受けて多額の追徴課税を受けた法人は、再度税務調査を受ける可能性が高くなります。
故意でなくても、売上の隠ぺいや不正に類する行為は税務署側の心証が悪くなるため、定期的に税務調査が行われることを覚悟しておきましょう。
⑤長期間税務調査が来ていない
長期間調査がないところでも、「あまり接触がないのは良くない」という理由で税務調査が実施されるケースもあります。
個人(相続した人)の場合
税務調査が来やすい個人(相続した人)の特徴は、以下のとおりです。
税務調査が来やすい個人(相続をした人)の特徴5つ
- 相続税がかかるのに申告をしていない(無申告)
- 相続財産の総額が大きい
- 相続財産のうち、「預貯金」の内訳が多い
- 「名義預金」が多くある
- 被相続人の資産が多い
以下より詳しく解説します。
①相続税がかかるのに申告をしていない(無申告)
死亡届を出すと税務署に連絡されるため、相続したことを隠すことはできません。
特例を利用すると相続税がかからなくなる場合もありますが、申告書を提出していなければ確定申告をしていない(無申告)ことになります。
②相続財産の総額が大きい
相続税申告をする方の相続財産総額の全国平均は2億5,000万円程度といわれており、遺産総額が3億円を超えてくると税務調査に入られる可能性が高くなるでしょう。
相続財産の金額が大きくなると財産評価や税額計算のミスが起こりやすくなり、ミスがあったときの追徴税額が大きくなるからです。
③相続財産のうち、「預貯金」の内訳が多い
「預貯金」は「不動産」などと比べると、金額がはっきりしているため、申告漏れを見つけやすく、税務調査対象となりやすいです。
また、相続の直前に預金の出入りが多い場合も、相続税を少なくするために財産を移したと疑われるため、税務調査に入られる可能性が高くなります。
④「名義預金」が多くある
「名義預金」とは、亡くなった人が家族名義で作った口座のことです。
実際に管理していたのが、名義人なら相続財産とみなされ、相続税の対象になります。
収入が少ないはずである「専業主婦」や「孫」などの預貯金が多ければ、「名義預金」ではないかと疑われて税務調査が来やすくなります。
⑤被相続人の資産が多い
被相続人自身の口座であっても、収入に比べて預金が多いと、「生前贈与」の疑いで税務調査が来やすくなります。
税理士法人サム・ライズ
代表税理士。
大原簿記学校法人税税法課専任講師を得て平成5年12月税理士試験合格、平成8年1月林税理士事務所を開業、平成16年12月税理士法人サム・ライズを設立。
税理士法人サム・ライズは、税理士顧問・創業支援・相続税・資金調達・無申告・税務調査立ち合い・クラウド会計・社会福祉法人など数多くのサービスで中小企業の皆様をサポートいたします。
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