賞与引当金の計上と取り崩し
目次
決算では引当金の設定を行いますが、本日は賞与引当金の計上と取り崩しについて整理しておきましょう。
賞与引当金はどういうものかといいますと、規定では「法人と職員の雇用契約に基づき、毎月の給与の他に賞与を支給する場合において、翌年度に支給する職員の賞与のうち、支給対象期間が当年度に帰属する支給見込み額を賞与引当金として計上する」とあります。
文章ではわかりにくいので、例を挙げて説明します。
◆×1事業年度の決算にあたり、賞与引当金を計上する。
支給対象期間:12月〜5月(6月支給)・6月〜11月(12月支給)
翌年度6月の支給見込額:1,200
上記の場合、今年度の賞与引当金の計上額は、
1,200×4/6=800
となります。
図で表すと下記のようになります。
賞与引当金繰入時の仕訳は下記の通りです。
賞与引当金繰入 | 800 | 賞与引当金 | 800 |
◆×2事業年度になり、6月に賞与1,200を支給した。
賞与引当金繰入 | 800 | 現金預金 | 1,200 |
職員賞与 | 400 |
ここで注意しなくてはならないのが、「職員賞与」の金額と資金収支計算書上の「職員賞与支出」の金額が異なる点です。
事業活動計算書上は、既に×1事業年度に賞与引当金として800を計上しています。
したがって、支給額1,200と賞与引当金800の差額400については、×2事業年度に職員賞与として計上されることになります。
一方、支払資金としては、×2事業年度に1,200の減少となり、支給時に支給額全額が職員賞与支出として計上されることになります。
通常会計ソフトでは、事業活動計算書の仕訳を入力すると、資金収支計算書に自動的に展開される仕組みになっていることが多いため、金額が正しく入力されているか確認するようにして下さい。
また、企業会計上、引当金の戻入処理に関しては「洗替法」と「差額補充法」の考え方がありますが、社会福祉法人会計においては、前期に計上した800を全額戻入れて職員賞与として1,200を計上する、という処理はせず、上記のように差額を職員賞与として計上することになります。
では本日はここまでです。
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